新型コロナワクチン ブースター接種の副反応の頻度は2回目と同程度という海外からの報告
新型コロナワクチンの3回目の接種となるブースター接種が日本でも検討されています。
1回目よりも2回目の方が副反応の頻度が高くなることから、2回目よりも3回目の方が副反応が多くなるのではないかと心配されている方が多くいらっしゃると思います。
海外から、ファイザーやモデルナの新型コロナワクチンのブースター接種を行った際の副反応の頻度について報告されていますのでご紹介します。
そもそもブースター接種を行う意義は?
そもそもなぜ今ブースター接種が議論されているのでしょうか。
mRNAワクチンは接種後しばらくの間は高い感染予防効果が確認されていました。
しかし、この感染予防効果は時間とともに低下してしまうことが明らかになってきています。
カタールからの報告では、ファイザー社のmRNAワクチンは接種から半年経つと感染予防効果は20%前後にまで落ちてしまうという結果が示されています。
一方で、重症化を防ぐ効果は半年経過しても保たれていると報告されていますので、ワクチン接種者は感染はすることはあっても今も重症化はしにくい状態と考えられます。
イスラエルからの報告では、60歳以上の高齢者ではファイザー社のmRNAワクチンのブースター接種によって感染予防効果は11.3倍、重症化予防効果は19.5倍高くなったとされます。
こうしたことから、アメリカでは現在、
・65歳以上の高齢者
・18歳以上の基礎疾患のある人
・18歳以上の感染リスクの高い人(医療従事者など)
には2回接種完了から6ヶ月以上空けて3回目の接種を推奨しています(現時点ではファイザー社のmRNAワクチンのみ承認されています)。
ブースター接種の副反応は、2回目と大きく変わらない
アメリカでは、2021年8月から免疫不全者を対象に3回目となるブースター接種が行われています。
ワクチンの副反応情報を収集するV-safeというプラットフォームに集積された、ブースター接種の副反応についての約22000人の解析結果がアメリカCDCから発表されました。
この報告では、ファイザー社、モデルナ社のmRNAワクチンの3回目の接種の副反応の頻度についてそれぞれ詳細が述べられています。
ファイザー社、モデルナ社のワクチンを、2回目の接種から約6ヶ月後に接種をした際の副反応について、それぞれ1万人以上のデータが解析されました。
ファイザー社もモデルナ社も、1回目よりは2回目の方が全身症状(だるさ、熱、関節痛など)の頻度が高くなりますが、2回目と3回目とを比較すると3回目の方がやや低くなっています。
一方、接種部位の反応(かゆみ、痛み、腫れなど)は2回目よりも3回目の方が少し多くなるようです。
これらの副反応は接種の翌日にみられる頻度が最も高かったという点も1回目や2回目と同様です。
2回目まではファイザー社よりもモデルナ社のmRNAワクチンの方が副反応の頻度は高いことが知られていましたが、3回目においてもモデルナ社のワクチンの方が副反応の頻度が全体的に高くなっています。
ただし、現在申請されている非免疫不全者へのブースター接種については、モデルナ社のワクチンは半分の量で申請をしていることから、ご紹介している免疫不全者に対する3回目の接種の副反応よりは頻度が低くなる可能性があります。
また、今回CDCが発表した副反応は心筋炎については触れられていませんが、370万人にブースター接種が行われているイスラエルでは、これまでに心筋炎・心膜炎は17例確認されているとのことです。
2回目よりも3回目の方が副反応が増えるのではないかとご心配されている方が多いかと思いますが、海外からの報告ではどうやら2回目とそれほど変わらないことが分かってきました。
日本でのブースター接種については、政府は「早ければ12月に開始」としていますが、対象者についてはこれから議論が行われます。
効果や副反応の情報について収集しつつ、政府の判断を待ちたいと思います。