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前代未聞! 労働新聞1面トップに「サッカーU20女子W杯優勝」記事が!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
労働新聞(9月24日付)1面トップ記事(労働新聞HPから)

 今朝の北朝鮮の党機関紙「労働新聞」は1面トップにコロンビアで行われた2024年サッカーU20女子W杯で北朝鮮が決勝で日本を破り、優勝した記事を掲載した。

 「労働新聞」の1面トップは金正恩総書記の動静を中心に労働党の主要行事で占められるのが恒例、かつ伝統となっているが、ICBM(大陸間弾頭弾ミサイルの発射)や核実験などの軍事的成果や経済成果関連記事ではなく、スポーツ関連記事が1面トップを飾るのは前代未聞である。それも写真を何枚も掲載し、大々的に伝えていた。

 「偉大な我が国の名誉を世界に轟かせた祖国の頼もしい娘ら」の見出しを掲げた記事は北朝鮮が準々決勝、準決勝で優勝候補のブラジルと米国を相次いで破ったこと、22日に日本と決勝で対戦し、「集団力」と「強い精神力」を発揮し、1-0で勝利したことを詳細に伝えていた。

 また、予選から決勝までの7試合を全勝し、25の得点をたたき出したことを誇らしげに報じていた。さらに準決勝の米国戦と決勝の日本戦で決勝ゴールを決めたチェ・イルソン選手が大会得点王及び最優秀選手賞(ゴールデンボール)に選ばれたことも合わせて報じていた。

 「労働新聞」は最後に北朝鮮が2006年、2016年に続き、3度目の栄冠に輝いたことにより「最強チームの面目を誇示した」として「女子選手の輝かしい競技成果が強国朝鮮の尊威と名声を世界に轟かせ、全面的国家発展の新たな転機を切り開いている全人民を大きく鼓舞し、力を与えた」と記事を締めくくっていた。

 珍しく、記事のどこにも「金正恩(キム・ジョンウン)元帥様のご指導の賜物」とか「金正恩元帥様に喜びを与え、党に忠誠の報告をするため」との慣用語は見当たらなかった。

 金総書記は女子が2015年8月に東アジアカップで優勝し、帰国した際には空港で自ら出迎えていたが、政敵である米国及び日本を相手に勝利しただけに喜びもひとしおで、今回は選手らの凱旋パレードが用意されているものとみられる。

 金総書記は2022年からほぼ毎年、国内のサッカー競技を観戦するほど、サッカーに熱を上げているが、2015年3月に開催された日本の国体にあたる全国体育人大会に宛てた「スポーツ大国建設に向けた綱領指針」で「祖国の名誉を懸け戦い、勝ち取った一つ一つの金メダルは勝利の信心を与えてくれる千金よりも貴重な財富である」とか、「体育人は金メダルで祖国を守り、共和国国旗を世界で最も高くはためかせる党の頼もしい体育戦士、偉大な金正恩時代の体育英雄にならなければならない」と選手らにはっぱをかけていた。今回、北朝鮮の女子チームはこれを実践したわけだから労働新聞が1面に扱う理由も頷ける。

 ちなみに、北朝鮮は昨年10月中国・杭州で行われたアジア大会女子サッカー決勝で日本に大敗(1対4)した時はたった一行、「我が国のチームは2位となった」と、さりげなく伝えただけだった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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