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ジョニデ離婚:出会いから現在までの経緯を時系列に沿って振り返る

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
2011年11月8日「ラム・ダイアリー」ヨーロッパプレミア(写真:ロイター/アフロ)

アンバー・ハードがジョニー・デップに対して申請した接近禁止命令に関する裁判が、米西海岸時間来週金曜日に迫った。デップの弁護士ローラ・ワッサーは、裁判に先立ち、示談の場や、ハードの宣誓供述書の取得を行う機会をもうけようと努力をし続けているが、ハード側は、時間を作ることができないという理由で避け続けているようだ。デップ側が出した、ハードもデップに近づけないという、相互の接近禁止命令に了承することを条件に、1ヶ月5万ドル(約550万円)の配偶者サポートを8ヶ月間払うと提案にも、ハードは返事をしていないという。ハードは、どうしても裁判所で決着をつける姿勢らしい。

これからの1週間の間に、どんな動きがあるかわからないが、ふたりの出会いまでさかのぼって、ここまでの経緯を整理してみる。

2009年3月25日:

デップがプロデューサーと主演を兼任する「ラム・ダイアリー」のロケが、プエルトリコで始まる。彼の恋のお相手役にはハードが抜擢され、ふたりは初共演をする。

2009年9月14日:

シアトル空港で、ハードが、当時のパートナーのターシャ・ヴァン・リーに暴力をふるい、DVで逮捕される。ハードは一晩を刑務所で過ごし、翌朝、裁判所に出廷するが、起訴には至らなかった。

2011年10月13日:

「ラム・ダイアリー」のL.A.プレミア。この後数週間、さまざまなプレス活動で、デップとハードは行動を共にする。

2011年11月14日:

弁護士を通じ、ハードは、シアトルの裁判所の犯罪記録から、2年前のDV事件を削除してほしいと要請。

2012年6月19日:

ジョニー・デップが、14年間連れ添ったヴァネッサ・パラディと別れたことを公表。同じ頃、デップがハードのために馬を買ってあげたという報道が出る。デップはニュー・メキシコ州で「ローン・レンジャー」を撮影中で、一緒に乗馬ができるようにとの思いでプレゼントしている。

2013年7月16日:

「ローン・レンジャー」ジャパン・プレミアのため、デップがハードと子供たちを同伴し、来日。

2014年1月17日:

デップとハードの婚約が公となる。

2014年5月25日:

デップにDVを受けている件で、ハードがデップのパーソナルアシスタントのスティーブン・ドイターズとテキストメッセージのやりとりをする。そのメッセージは2016 年6月1日に、テレビ番組「Entertainment Tonight」が報道する(ドイターズは、そのテキストが改ざんされていると主張している。)

2015年2月3日:

L.A.の自宅で結婚式を挙げる。8日には、デップが所有するバハマの島でも挙式をした。デップはこの島を2004年に購入している。

2015年5月13日:

「パイレーツ・オブ・カリビアン」5作目のロケ地オーストラリアにいるデップをプライベートジェットで訪ねたハードが、許可申請と検疫を得ずして2匹の愛犬を持ち込んだことがわかり、政府から、72時間以内にアメリカに連れ戻さなければ犬を殺すと警告を受ける。

2015年9月10日:

デップがテレビのトーク番組に出演。話題は犬の密輸の件にも及び、オーストラリアの農相について、デップは、「(もしハードが刑務所に入れられることになったら)僕もオーストラリアに行って、あの男を殺してやる。僕も刑務所に入れるように」とコメントする。

2016年1月2日:

パーム・スプリングス映画祭にカップルで出席。この映画祭で功労賞を受賞したデップは、受賞スピーチで、「僕の妻アンバーに感謝したい。いろいろなキャラクターになって生きる僕みたいな人と一緒にいるのは大変なはず。僕自身にとっても大変なんだから、彼女は大変なはずだ」と、ハードに愛の言葉を贈った。

2016年4月18日:

2匹の犬を密輸した容疑で、ハードとデップはオーストラリアの裁判所に出廷。ハードは罪を認め、実刑を免れる。ふたりは裁判所の命令で謝罪ビデオを録画し、提出した。

2016年4月21日:

この日はハードの30歳の誕生日。その夜、お祝いを欠席し、酔っ払った状態でL.A.ダウンタウンの家に戻ってきたデップに暴力をふるわれたとハードは主張している。

2016年5月2日:

METガラに、ハードがひとりで出席する。

2016年5月20日:

長い間、病気を患っていたデップの母ベティ・スー・パルマーが81歳で亡くなる。

2016年5月21日:

L.A.ダウンタウンの自宅に酔って帰ってきたデップにハードが暴力をふるわれたことを知ったハードの友人iO・ティレット・ライトが警察に通報。だが、警察は、ケガも、家が荒らされた形跡も発見できなかった。ハードも被害届を出すことを拒否したため、警察は名刺だけ渡して帰っている。

2016年5月23日:

ハードがデップへの離婚申請を裁判所に提出する。この日、デップは、「アリス・イン・ワンダーランド2/時間の旅」のL.A.プレミアに出席していた。この後、デップは、バンドのツアーでニューヨークとヨーロッパに旅立つ。

2016年5月25日:

ハードが離婚申請をしたことが、マスコミに発覚。

2016年5月27日:

ハードが顔に痣のある姿で裁判所に訪れ、デップから家庭内暴力を受けていたとし、接近禁止命令を申請。証拠写真を裁判所に提出する。

2016年5月29日:

デップの友人でコメディアンのダグ・スタンホープが、「ジョニー・デップはアンバー・ハードにゆすられていた:僕が知ることを語る」と題する記事をthewrap.comに寄稿。デップの親しい人たちには、いつかこんなふうにハードにはめられることは見えていたが、誰も正面切ってそれをデップ本人に伝えることはしなかったと告白している。

2016年5月31日:

デップを弁護する意見が世間で相次いでいるのを受けて、ハード側の弁護士が、声明を発表。「被害届を出さなかったのは、ハードがデップのキャリアを思いやったからだ」とし、そのせいでハードの言っていることの真偽が疑われることになったので、これから被害届を出すと宣言した。しかし、結局、被害届は出されていない。

2016年6月3日:

ハードがスタンホープを名誉毀損で訴訟。

2016 年6月7日:

ハードにDVの逮捕歴があったことがマスコミに発覚。

2016年6月10日現在:

デップ側は示談として5万ドルの配偶者サポート8ヶ月の支払いを、相互の接近禁止命令を条件に提案したが、ハード側は返答しないまま。ハードは裁判で決着をつけるかまえと見られる。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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