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子育てと政治をつないだら。ベビーカーデモと無関心の間

原田謙介政治の若者離れを打破する活動を10年以上
子育てと政治をつないだら

【子育てと政治をつないだら】

若者と政治をつなぐ活動を行ってきたYouthCreateでは、子育てと政治をつないだらという視点での企画を数年前から続けている。親の学び・対話・実践を行っているKURASOU.との共催だ。

子育てを始めることにより物理的にも気持ち的にも政治行政との距離が近くなるようだ。例えば、出産一時金の申請や、赤ちゃんが大人になったときに将来の日本が気になったりという感じだ。とはいえ、一度も選挙に行ったこともなく、政治のことをこれまで何も考えてこなかったという方も多い。そのような人たちが政治を知ろうと思っても何から手を付ければよいのか、どこで誰に聞けばよいのかわからない。政治に関しては、子育て仲間との会話の中で気軽に出せるものではない。

であれば、20代・30代の若い子育て世代に対して、何らかの政治を知る入口を作れないかと考え色んな実施をしてきた。

ハンドブック
ハンドブック

昨年は、「子育てと政治をつないだら」と題したハンドブックを作成し、累計100冊以上を購入いただいている。

デモなどの積極的なアクションをするほどでもない。といっても、無関心というわけではない。そんな人と政治の事を考えていきたい。

「わたしの選択」を導こう|子育てと政治を近づける・都議選キックオフワークショップ

今回は、7月の都議会議員選挙を前に3回連続企画を組んでみた。

1回・2回は議会の傍聴(本会議・委員会)にみんなで行く。当然、議会の傍聴は基本的にはいつでも誰でも可能だが、なかなか一人で足を運ぶ気持にはならない。そして、足を運んでも、仕組みなどよくわからん点も多いのでは。

ということで企画した。

傍聴の際の様子はこちらより1回本会議傍聴2回委員会傍聴

都議会傍聴の様子
都議会傍聴の様子

その2回を踏まえて3回目はワークショップ・トークショーを実施した。狙いとしては、3か月後の都議選において、「主体的な判断ができる準備をすること」

せっかくなので、なんとなく投票する(棄権する)ではなくて、自分なりの意思決定として投票先を選ぶ事ができればという目的だ。

参加者は全部で12名。託児も設けたので、お子さん連れでの参加の方も多くいらっしゃった。

会場はヤフー株式会社オープンコラボレーションスペース「LODGE」をお貸しいただき実施。日頃はスマートな感じのビジネスパーソンが集っているこの場に、赤ちゃんがいるという図が実に面白い。

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トークセッション:変化を作るための参加

冒頭は自分とKURASOU.代表の藤岡さんの2人でのトークセッション

自分からは、政治の中における子育てに関しての意識の違いについてを話した。少し前までは社会保障といえば、基礎年金・老人医療・介護の3分野と捉えられていた。それが8%への消費増税の際に、社会保障4経費(年金・医療・介護・子育て)という表現に変わった。そして選挙の大きな争点に、子育てや教育関連のものが出るなんてことは10年前であれば考えられないこと。

その結果、”良い”政治になっているかはわからないし、子育て世代の票を取り込もうと意図もあっての議論だとは思うが、すくなくとも変化は起きた。

東京都に目を向ければ、長期ビジョンの一番目の項目に「子供たちが健やかに成長できる社会の実現」と挙げられており、高齢者や東京オリパラよりも上に言及をされている。もちろん、これもたかが順番の話なのだが、それでも政治側の意識にある程度基づいているものであることに違いはない。

子育て世代が何かアクションを起こせば、政治に”届く”可能性は高くなっていると言える。(政治が”変わる”とは違いますが)

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そして後半部分では藤岡さんより公募委員制度の話。ご自身が住まいの自治体の外部評価委員として何回も会議に参加して議論を行ったそうだ。参加する中で、当事者の視点や意見の重要性を感じられたそうです。藤岡さん以外に若い世代の方はいなくて、どうもピントのずれた議論と思うこともあったそうだ。でも、その場での子育て世代当事者として、そして長期での街のことを考えていく立場の者の発言は重要だったんだろうと推測される。多様な声が議論の場に載ることが民主主義社会においては非常に重要だ。

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都議会傍聴の感想:遠い世界なのか!?

都議会の本会議・委員会傍聴に来てくださった方に感想を話してもらいました。

・そもそも、子連れで傍聴をできるような場所だとは思ってもいなかった。(本会議の時は託児サービスの利用が可能で、委員会は子連れで入ることが出来る)

・とはいえ子連れで委員会室に入ると目線がいたかった

・傍聴にあたっての対応などはとても丁寧で、「閉ざされている」感はなかった

・議員、職員の双方が原稿を読み上げているだけで”討論”の感じがなかった。

・委員会傍聴の際には傍聴者への資料などがなく、何が議論されているのかなどが分かりにくかった

などなど。

おそらく一度傍聴に行ってしまえば、「遠い世界」「あっちの話」ではなくなるのだろう。そして、いろんな評価が出てくる。これってすごく大事な事だと思う。どうでもいいやではなく、自分視点での想いがそこに現れているということ。

傍聴経験者は「百聞は一見に如かずだと思った。知らないで済まさずに、少しずつ知っていきたい」と最後に話してくれた。

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ワークショップ:この3ヶ月間でなにをしよう?

最後は都議選までの3か月でやることを考えてみるワークショップを実施。

狙いは、ただ受け身で漫然と情報に触れるのではなく、主体的に自分の必要だと思う情報を取りに行くための準備をすること

東京都のこと、各政党の主張、選挙区の候補者の事などなどの多くの情報を戦略的にどのように集め扱うかを考えることで、受け身ではなく選挙に参加できると考えている。

流れとしては以下の3ステップ。

1:グループ内で東京都に関しての8個の政策テーマを選ぶ

2:各テーマが人生のどのような時にどのように関わるのか

3:各テーマに関してどのように情報を取得していくのか

どうも日本の選挙は、「選ばれる側」が一方的に言いたいことを言っている感じが強いことを問題視しています。しかも、フォーマットもなく各候補者が政策分野なども各自の想いをもとに選んでいる。

就活で言えば、会社側ではなく、就活生側が各々好きなことを白紙のエントリーシートに、好きな量だけ書いていて、そして面接の時も面接官側が質問できずただただ聞いていなければいけない感じになるのかなと。

面接官のように、候補者に質問はできないとしても、せめて選ぶ側である有権者側が戦略を持って知る視点を持ってほしいと思っている。

でも、それを選挙直前に一気にわーっと調べようと思うと大変だし、面白くないから、毎日ちょっとずつ知っていくことができれば良いのかなと思っている。

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終わりに

数年前から子育てを始めた時期の方を対象として企画を様々に行っている。

自分は、社会との接点を多様に持ち始めた状況の人にこそ伝えられる事があると思っている。もちろん小中高生を対象に学校現場の中で主権者教育を行うことも必要だが、学びは学生だけが行えばよいものではない。

実際に子育て世代に限定したアンケートによると、「86.2%が投票に行く」と答えたという調査もあり、やはり関心が高いようだ。

同時に「少子化・男女共同参画担当・加藤勝信大臣の認知は4.2%止まり」でもあり、関心にこたえるだけの学びの機会がないともいえる。

※株式会社 ブライト・ウェイ【こそだて】アンケートより

関心に気軽に応える形で、そして重荷でもない形で、政治や行政に関わる入口や学びの場づくりを今後も模索していきたい。

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政治の若者離れを打破する活動を10年以上

1986年生まれ。岡山在住。愛媛県愛光高校、東京大学法学部卒。「学生団体ivote」創設。インターネット選挙運動解禁「OneVoiceCampaign」。NPO法人YouthCreate創設。「若者と政治をつなぐ」をコンセプトに活動。大学非常勤講師や各省有識者会議委員などとして活動を広げていく。18歳選挙権を実現し、1万人以上の中高生に主権者教育授業を行う。文科省・総務省作成「政治や選挙等に関する高校生向け副教材」の執筆者でもある。2019年参議院選挙・2021年衆議院選挙に立候補し敗れる。元岡山大学非常勤講師。元グローバルシェイパー東京代表。元中野区社会福祉評議会評議員

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