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桜島を背景に花火が咲いた!鹿児島の春を彩る「桜島と芸術花火2024」レポート

やた香歩里花火鑑賞士な旅ライター

「桜島と芸術花火」は、鹿児島県鹿児島市の、桜島を見渡す「マリンポートかごしま」で開催される花火大会。2022年に第1回開催され、2024年で3回目を迎えました。2024年は4月13日(土)に開催され、会場にはたくさんの歓声が響きました。その様子をレポートします!

花火開始前には雲も晴れ、最高の花火日和に

開催数日前の天気予報では雨が懸念され、当日も昼頃まではぐずついた天気だったものの、夜が近づくにつれてどんどん青空が広がっていき、桜島も見事に姿を現す最高のロケーションに。

会場内には少しぬかるみが残ったものの、観覧には影響のない程度、芝の上を走り回る子供たちもたくさん見られ、親子連れで楽しむ方も大勢いらっしゃいました。

私は今回はカメラマンチケットを購入して参加。

カメラマンチケットに関しては座席・エリア指定はなく自由に(もちろん他の観客の邪魔にならないなどルールはありますが)三脚を立てる場所を選ぶことができました。会場内の小さな丘になったエリアが一番人気で、ここはカメラマンチケット所有者だけが入れるエリアになっていたのですが、私もこの場所を確保し、開始を待ちました。

いよいよ打ち上げスタート!

すっかり日が暮れて、花火は定刻19:15スタート!

オープニングは「アナと雪の女王2」の「Into the Unknown」(Panic! at The Disco)。力強く広がりのある男性ボーカルで幕を開けました。伸びる歌声に合わせてスーッと花火が上空に上がり、開催を祝すような花火が夜空に広がりました。

序盤はセンター中心の打ち上げでしたが、終盤に一気にワイドに!

続いてはDREAMS COME TRUEの「JET!!」。軽快な楽曲でリズムよく花火が上がります。

今回の打ち上げの最大号数は10号玉(尺玉)※。3曲目の「Never Grow Up」(ちゃんみな)では、長野県の老舗煙火店・伊那火工堀内煙火店の五重芯※が上がりました。

大きく広がる多重芯の花火に、驚きの声と歓声が広がりました。個人的には、伊那火工堀内煙火店の五重芯を見たのは初めてだったように思います。若干芯が崩れ気味に見えましたが、親星※がキラキラと点滅して終わる、余韻の残る花火でした。今後ブラッシュアップされて、今年の花火競技大会でも出品されるとしたら、とても楽しみです。

  • ※10号玉:直径約30cmの花火玉。約330m上空に上がり、開いた時の直径も約330m。
  • ※五重芯:丸い花火の中にさらに小さい同心円がある花火を芯入といい、五重芯は芯が五重に入り、全体で六重の円に見える同心円状の花火。
  • ※親星:多重芯花火の一番外周の円。芯には数えないので、五重芯なら六重目の円。

プログラムは進み、5曲目はサザンオールスターズの「シュラバ★ラ★バンバ」。

過去何回か「芸術花火」を見ていますが、ドリカムとサザン(桑田佳祐)、あいみょんあたりは遭遇率が高いです。

そして6曲目があいみょんの「ノット・オーケー」でした。
そして6曲目があいみょんの「ノット・オーケー」でした。

洋楽・邦楽、ポップスからロック、映画音楽からクラシックと、使用される楽曲は幅広く、それが立て続けに上がるのが「芸術花火」シリーズの特徴。

ポップスから一転、7曲目は映画「ザ・ミッション」のテーマ曲「ガブリエルのオーボエ」
ポップスから一転、7曲目は映画「ザ・ミッション」のテーマ曲「ガブリエルのオーボエ」

最新の話題曲からちょっと前の人気曲、はたまた昭和の名曲まで、幅広いジャンルにわたっています。演歌だけは記憶がないのですが、それすらもどこかで上がったことがあるのではないかと思います。

実は私、ほとんど音楽を聴かないので流行りの曲もよく知らなかったりします。でもそんな私でもだいたいいつも半分くらいは聞き覚えのある曲なので、どんな年代の人でも何かしら知っている曲が流れるのではないでしょうか。

8曲目はまたしても全く雰囲気の違う、ジェームス・ブラウン「It's A Man's,Man's,Man's,World」。

時折シャウトも混じる力強い男性ボーカルに呼応するように、密度の濃い打ち上げが展開されました。

9曲目はOfficial髭男dism「Cry Baby」、アニメ「東京リベンジャーズ」の主題歌で、耳なじみのある人も多いでしょう。アップテンポでエモーショナルな曲に会場も盛り上がります。

ちなみに筒場(打ち上げ筒設置場所)は、陸上と、海上の台船(花火打ち上げ用の船)3隻。海上の打ち上げだと盛大に斜め打ちができるので、とてもワイド感が出ます。

この曲では、こぶしを打ち合うような左右からのクロスが多かったのも印象的でした。

10曲目のONE OK ROCK 「Make It Out Alive」もアップテンポなカッコいい曲ですが、使われる玉も細かい変化のある個性的なものが多かったように思います。

11曲目の緑黄色社会「花になって」も人気アニメ「薬屋のひとりごと」の主題歌。ビートの効いた曲に合わせ、花火の構成もドラマチックに。序盤は曲調の割に抑え目でしたが、サビの「花になって」のフレーズで一気にカラフルな花火が咲きました。

全体的に色鮮やかで、特に下から吹き上げる花火は多彩な色でした。

アツい曲が続いたかと思えば、12曲目はサラ・ブライトマン「Who Wants To Live Forever」。落ち着いた歌声に合わせ優雅に花火が広がります。

終盤は錦冠がいくつも咲きました。曲調といい打ち上げ方といい、フィナーレ感があるので、これで終わりと思った方も多かったのでは。

しかしもう1曲ありました。ラストの13曲目はAI「アルデバラン」。この曲もNHK朝ドラ「カムカムエブリバディ」の主題歌だったのでご存じの方も多いと思います。

「芸術花火」シリーズはこういう、メッセージ性の高い曲で締めくくることが多いように思います。花火と音楽の織り成すドラマでしばし現実を忘れた爽快感を、また明日からの日常を生きていくエネルギーにスイッチしていく時間のように感じます。

ちょっとびっくりするくらい大きく広がる花火も。
ちょっとびっくりするくらい大きく広がる花火も。

美しい金色の花火が海に落ちていく演出で、すべての花火が終了しました。

終わってみればあっという間の1時間。途切れることのない音楽と花火のコラボレーションを堪能しました。夢中になって見ていると「もう終わり!?」と感じてしまうのですが、途中で席を立つのが難しい連続したプログラムなので、これくらいがちょうどよいのだと思います。

花火だけでなく会場も魅力

会場の「マリンポートかごしま」は、目の前に桜島が広がる爽快なロケーション! そして会場内には広い芝生のエリアがあり、花火が始まる前からピクニック気分でのんびり楽しめます。お子さん連れだと、遊ばせるスペースがあるのは嬉しいのではないでしょうか。キッチンカーなどもたくさん出ていてとても賑わっていました。

私は見ることができなかったのですが、花火打ち上げ前にはティラノサウルスレースなども行われていましたし、ステージイベントなど、昼間から多彩なイベントが用意されていました。

カメラマンチケット購入者には特典も

「芸術花火」シリーズのカメラマンチケットは、はっきり言って高いです。各地の「芸術花火」で価格が異なり、今回の1枚20000円(税込)は「芸術花火」シリーズでは高い方ではないのですが、イス席や芝席が3500~6500円なのに比べると、やはり別格の高さ。ですが、他にはない特徴があります。

1つは、写真のようなカメラマンビブスがもらえること。もう1つが重要で、開始前に当日の花火についてのレクチャーがあることです。

カメラマンチケット購入者がもらえるカメラマンビブス。各地の「芸術花火」で色やデザインが異なります。
カメラマンチケット購入者がもらえるカメラマンビブス。各地の「芸術花火」で色やデザインが異なります。

レクチャーの内容は各地の「芸術花火」で異なると思われますし、購入者特典なので詳述は控えますが、その日のプログラムについて、曲ごとの特徴(曲名はこの時点でも教えてもらえません)や大玉などの見どころ、会場内の場所による見え方の違いなど、撮影のポイントになる部分について教えてもらえます。また、こぼれ話的に煙火店の特徴などが話題に上ることもあり、なかなか貴重な機会です。

なお、花火撮影の方法など技術的な解説はないので、ある程度の花火撮影の経験や、花火の知識(●号玉とかアルマジロと言われて理解できる程度の)がない、完全に花火撮影初心者だと、解説の意味が理解しづらいかもしれません。

最近はカメラ撮影用の席はどの花火大会でも高騰しており、2万円、3万円のチケットも珍しくなくなってきました。かつては「特別高い」イメージだった「芸術花火」のカメラマンチケット代に追い付いてきた感があります。ですが、このような撮影者に配慮した特典は、「芸術花火」以外の花火大会では経験したことがありません。チケット代が高くなるのは、昨今の花火事情的にやむを得ないとは思うのですが、他の花火大会でも高価なりにこういった特典を考えていただけたらなあと、正直なところ思います。

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春は気候も穏やかで混雑もほどほど、旅行するにも最高の季節。地元の方はもちろんですが、遠方から九州旅行の際にご覧になるのもおすすめです。また来年の春にもぜひ、開催を期待したいです。

来年は行ってみようかな?と思われた方、2024年の開催内容は下記公式サイトにてご覧ください。2024年のセットリストも掲載されています。

「桜島と芸術花火2024」公式サイト

花火鑑賞士な旅ライター

宮崎生まれの大阪育ち。人生の約半分を京都で過ごし、現在は千葉在住。もとからの旅好きが、関東移住を機に花火にはまり、旅の目的に花火鑑賞が加わりました。遠くへの旅行も好きだけど、身近なお出かけも好き。どこかで見た素敵なものを、誰かに伝えたい。知って欲しい誰かと知りたい誰かを繋ぎたい。日本酒ナビゲーターで温泉ソムリエで花火鑑賞士な旅人。

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