戦後70周年を迎えた日米関係、現在のお互いへの想いの共通点と相違点
日米共に7割前後は相手を信頼できる
太平洋戦争終結から70周年を迎えた今年、日米間の双方への意識を確認する調査が数多く実施されている。日米双方はお互いを信頼しているだろうか、どのようなイメージを抱いているだろうか。米民間調査機関Pew Research Centerが2015年4月に発表した、日米双方での調査結果「Americans, Japanese: Mutual Respect 70 Years After the End of WWII」から、その実情を確認していく。
次に示すのは日本人におけるアメリカ(国民)に対する、アメリカ人における日本(国民)に対する意識の現状。最後の「日本はアジア太平洋地域において今以上の軍事的役割を果たすべきか」のみ、肯定/否定の2選択肢だが、それ以外は強肯定・肯定・否定・強否定の4選択肢から回答者の心境に一番近いものを選んだ結果となっている。
相手国を信頼できるかについては、日本は75%、アメリカは68%が信頼している。アメリカの方がやや少なめだが、その分強度の肯定派が多い。もっともアメリカは強度の否定派も多く、意見が二分しているようだ。
昨今では日本との関係が複雑な状況で、アメリカでも頭の痛い状況な中国や韓国に対する信頼だが、日本は対中国が7%、対韓国が21%に留まっている一方、アメリカではそれぞれ30%・49%と高めな値にある。実際に対峙しているか否か、物理的な距離感の違いも多分に影響しているのだろう。
他方、それらにも大いに関係がある「日本はアジア太平洋地域において今以上の軍事的役割を果たすべきか」の項目では、当事国となる日本自身は肯定派が23%に留まっているが、アメリカでは47%が肯定している。双方とも過半数に届かないが、日本では圧倒的多数で否定派が多いのに対し、アメリカではわずかだが肯定派の方が多い。あくまでも一般国民の意識だが、アメリカが日本に求める東南アジアでのポジションに関する想いを認識できる。
アメリカ人の94%は「日本人は勤勉」と思っている
それではそれぞれの相手国の国民に対する一般的な行動様式、イメージとしてはどのような感想を抱いているのだろうか。6つの項目について肯定できるか否かを尋ね、肯定意見を連ねたのが次のグラフ。
肯定的意見が多いものをまとめると「日本人はアメリカ人に勤勉で創造性豊かで正直者に見られている」「アメリカ人は日本人に創造性豊かで強引で利己的に見られている」となる。理解できる部分もあれば、それこそ強引な解釈を覚える部分もある。さらに言葉の持つニュアンスそのものの、日米間における印象の違いも多分に反映されている感はある。
例えば今回「強引」と訳した項目だが、原文では「Aggressive」。日本語の「強引」はマイナスのイメージが強いが、「Aggressive」は強引以外に意欲的、活動的、積極的などの意味もある(カタカナ表記で「アグレッシブ」とした場合、必ずしも否定的な意味で使われていないのと同じ)。このセンスの違いもまた、今回の調査で現れたと見ると、興味深いものがあるに違いない。
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