NY金13日:ドル高で株価の不安定化が警戒され、小幅続伸
COMEX金4月限 前日比0.50ドル高
始値 1,152.60ドル
高値 1,160.90ドル
安値 1,150.40ドル
終値 1,152.40ドル
週末を控えてのショートカバー(買い戻し)が膨らみ、小幅続伸した。
アジアタイムに1,155~1,160ドル水準で底固い展開になるも、欧州タイム入り後はドル高連動で改めて売られる展開になった。ただ、前日安値(1,147.50ドル)を下抜くには至らず、ニューヨークタイム入り後はポジション調整に伴うショートカバーに下値を支えられ、概ね前日終値と同水準まで切り返して引けている。また、米株式市場がやや不安定な値動きを見せていることも、金相場を売り込む動きにブレーキを掛けた模様。
為替市場ではドル高傾向が維持されており、ドルインデックスも100ポイントの大台確立を試す展開になっている。米長期金利には目立った変動が見られないが、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ着手に対する警戒感が、ドル高トレンドを促している。本日発表の2月米生産者物価指数(PPI)は前月比-0.5%となり、市場予測+0.3%に反して4ヶ月連続のマイナスになった。このため、低インフレ環境を理由にFRBの利上げ着手が先送りされるリスクがあることも再確認できるが、改めて金相場を買い進むような動きまでは見られなかった。コアPPIベースだと、前月の-0.3%から横ばいまで回復しており、金価格に対してネガティブとまでは言えないが、ダウントレンドに修正を迫るレベルの動きとまでは評価されていない。
下値サポート要因として警戒すべきは、株価動向の方だろう。急激なドル高進行で輸出企業の業績懸念が強まる中、米株価の上値が圧迫されている。S&Pはこれで3週連続の下落となっている。米金融政策が転換期を迎えるに当たって当然に想定されていた動きだが、3月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に株安傾向が一段と強まると、金相場が短期リバウンドを迫られるリスクがあることは認識しておきたい。
ドル相場が年初来高値を更新する一方、本日はCRB商品指数が逆に年初来安値を更新しており、通貨としてもコモディティとしても、金価格に対しては強力な逆風が継続している。ドルやCRB商品指数との比較では依然として割高感が強い価格水準であることに加えて、価格低下でもアジア現物筋からの物色意欲は旺盛と言いがたく、なお下値不安の大きい相場環境を想定している。FOMCで何かハト派色の強い動きが出てくる可能性も低く、ドルや株価の調整を警戒しつつ、下値切り下げを打診する展開を想定しておきたい。