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関西大学から3名がJリーグ入り! DF黒川圭介は将来を見据え、3年生でガンバ大阪への加入を決断。

高村美砂フリーランス・スポーツライター
左から前田監督、黒川選手、荒木選手、河野選手、黒田勇サッカー部顧問(筆者撮影)

 元ガンバ大阪の前田雅文監督が率いる関西大学サッカー部から、3名のJリーガーが誕生する。

 黒川圭介(法学部3年次生/ガンバ大阪 *2020年より加入)、荒木隼人(商学部4年次生/サンフレチェ広島)、河野貴志(人間健康学部4年次生/ギラヴァンツ北九州)だ。

 12月26日には同大学としては初の試みとなる『決意表明記者会見』が開かれ、それぞれが加入するJクラブの強化責任者や同サッカー部の仲間が見守る前で、その決意を語った。

「2020年よりガンバ大阪への加入が内定しました。来シーズンは関西大学サッカー部のためにも、ガンバ大阪のためにも力になれるように、日々感謝の気持ちを胸に頑張っていきたいと思っています。近い目標は東京五輪に出場することで、将来的には日本代表になってワールドカップに出場したいと思っています。大学時代に学んだ一体感を持って戦うという気持ちをこれからも大事にして頑張っていきたいと思います(DF黒川圭介)」

「1年目から試合に出るというより、開幕戦から出場することが目標です。そしてサンフレッチェ広島を代表する選手になり、日本代表としてW杯に出場することを目標にやっていきたいと思います。プロの世界において、すべてがうまくいくとは思っていませんが大学時代の経験を生かして、あきらめず、しっかりと目標を据えてやっていきたいと思っています(DF荒木隼人)」

「自分が生まれ育った九州の地でギラヴァンツ北九州という素晴らしいチームの一員になれることを嬉しく思います。ギラヴァンツにとってのこの2年は、苦しいシーズンでしたが来季こそは必ずJ3リーグで優勝して、再びJ2リーグの舞台で輝けるように自分の持っている力をチームのために捧げて頑張ります。大学生活を通して学んだ人と人との繋がりを大切にすることや、ひたむきに努力し続けることを忘れずに、誰からも愛され、応援される選手になります(DF河野貴志)」

 会見に出席した3選手のうち、唯一、大学3年生ながらプロ契約を交わしたのが黒川だ。

 在学中にガンバへの加入を決めた理由について「近い目標に据えている五輪代表、将来的な目標である日本代表を目指すにあたって、早い段階からプロの世界の練習を体感することで、より高いレベルでの課題を見つけることが目標への近道と考えたから」と語った彼は、左利きの左サイドバック。スピードを生かしたドリブル突破やビルドアップが持ち味で、来年開催が予定されている第30回ユニバーシアード競技大会(2019/ナポリ)を目指すユニバーシアード日本代表候補にも選ばれている。

 彼の獲得にあたってガンバの松波正信強化アカデミー部長兼アカデミーダイレクターは「攻撃力が最大の魅力。練習に参加してもらった際も、宮本恒靖監督が求める『効果的な突破からのクロスボール』という部分で精度の高さを示してくれていた。来年は特別強化指定選手として登録する予定なので、その中でより持ち味を磨いてもらいたい」と評価。関大の前田監督も「まだまだ成長できるところはたくさんある」としながらも、在学中にプロへの道を選んだ彼の背中を押す。

「黒川にはいくつかのチームから声を掛けていただいていた中で、ガンバのスカウトをされている中澤聡太さんや松波さんは練習から見学に来ていただくなど、本人ともかなり熱心にコミュニケーションをとっていただいていました。基本的に、進路の選択は学生自身に任せていますが、黒川からはそうしたガンバさんの熱意も含め、ご両親にも相談して結論を出したと聞いています。その中で3年生のうちに進路を決めた点については、プロの世界の選手寿命は決して長くはないからこそ、彼のキャリアにとっても大きいことだと思います。僕が現役時代、プロ1年目に経験した『壁』を、1年早く経験できると考えても尚更です。彼が本職とするポジションには経験豊富な藤春廣輝選手がいて、それを奪うのは決して簡単ではないと思いますが、2020年の東京五輪を見据えてプロという道を決断した自分の選択に自信と責任を持って臨んでもらいたいと思っています(前田監督)

 これに対して黒川も会見後、今夏にガンバの練習に参加した時の印象や将来の青写真について改めて胸の内を聞かせてくれた。

「練習に参加して感じたのは、全てにおいて質が高いということ。その中で僕の持ち味である攻撃面はある程度通用するのかなと思いましたが、いろんな動き出しをしてくる相手に対して、とか、1対1の対応といった守備面はもっと成長しなければいけないと感じました。またチーム全体の印象としてビッグクラブというか…環境面はもちろん、一人一人のプロとしての振る舞いや熱いファン・サポーターの方々の姿を見ても、過去にたくさんのタイトルを獲得してきたクラブらしい風格を感じました。来年、僕は4年生になりますが、次のテストで単位が取れれば、ほぼ来年は授業に出なくても卒業できる状態なので、サッカーと勉強との両立は心配していません。基本的には大学をベースにしつつ、ガンバで練習をさせてもらう機会も増えると思いますが、まずは学生としての行動をしっかり心掛けながら、ガンバで学んだことを自分のものにすることはもちろん、関大に還元することも意識してやっていきたいです。来年は少しずつガンバで試合に絡むことから始めて、正式な加入となる、東京五輪の2020年にはスタートから試合に出場し、試合経験を重ねることでステップアップをしていきたいと思っています」

 今夏の練習参加の際には同じ大阪桐蔭高校出身の先輩で、彼が目指す『日本代表』のDF三浦弦太と食事に出掛け「『目標から逆算した上で自分がどうしたいのかをしっかり考えればいい』とアドバイスをもらった」と言う。それを踏まえて自ら下した決断を、まずもっての目標である『東京五輪出場』につなげるため、来シーズンは正念場の一年になる。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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