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現金はゴミなのか、分散投資にもリスクは存在する

久保田博幸金融アナリスト
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

 米ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は15日、CNBCに対し「まず知っておいてほしいのは、現金はゴミであり、資産を現金で持つなということだ」と語った(16日付ブルームバーグ)。

 現金はゴミなのか。ゴミという表現は極端だが、ダリオ氏が言いたかったのは、投資家は現金に頼りすぎないようにするべきだということであったようだ。つまり現金はそのままにするのではなく働かせるべきだと言いたいのであろう。

 現金を働かせるというのは、それをリスク資産に投じろということになる。リスク資産といってもそのリスクの大きさは投資先資産によって異なってくる。

 株式の運用、ダリオ氏が保有しているとする金への投資、さらにはビットコインなど暗号資産にいたるまで、現金ではなく分散して投資すべきとの主張であろう。

 特に現金保有が多い日本人にとってはこれは違和感があるかもしれない。それでも若い年代を中心にしてビットコインへの投資も躊躇なく行っている人もいるようで、世代間によってのリスクの許容度は異なっているようである。

 注意すべきはこのリスクに対する認識である。その資産のリスクの度合いがわからなければ、その投資は当然すべきではない。そのリスクの大きさと自分の許容できるリスクの度合いを測りながら、投資をすべきである。

 分配投資をすればリスクが低減するわけでもない点に注意すべきである。それぞれの投資先資産のリスクの許容度を理解しなければ分散投資をしてもリスクの度合いは測れない。

 ダリオ氏は暗号資産(仮想通貨)ビットコインを保有しているとしながらも、同市場は政府に破壊される恐れがあると警告した。このようにそのリスクを認識しながら投資は行うべきである。

 そして分散投資の際にも、リスクがそれで軽減されることではない点にも注意すべきである。リスク資産である限り、あらたなリスクが加えられるという認識も必要ではなかろうか。

 このため、場合によっては自分でリスクの度合いが認識できるものに、リスク資産については集中投資するというのもひとつの手段ともなろう。その際にも現金比率や国債など安全資産への投資はゼロにすべきではないと思う。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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