10歳未満の子供達のデジタル機器の詳細な利用実情
今や子守り用ツールとしてスマホやタブレット型端末が使われる時代だが、その利用実情はどのような状態なのだろうか。内閣府が2017年5月に発表した「低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査」(※)の結果から、その詳細な実情を確認していく。
次に示すのはスマートフォンやタブレット型端末に関して、その性質から詳細な仕切り分けをした上での、調査対象母集団(子供)における利用実情を示したもの。いずれもインターネットに接続が可能、あるいは可能な商品もあるデジタル機器だが、今件ではインターネットに接続して使っているかは問われていない。
一般のスマートフォンは約1/4。格安スマホは1.3%、子供向けなどの機能限定スマホは0.5%。10歳未満に限定すれば、格安スマホの浸透率はまだごくわずかではある。他方、契約切れスマホは6.0%とかなりの高率を計上しているが、これは多分に保護者が利用したお古を提供されているものと考えられる。
従来型携帯電話は子供向けのものの方が利用率は高い。一般のと比べれば最初から子供向けとして機能が限定されていたり操作系の観点で使いやすいなどメリットがあるからに違いない。
タブレット型端末は学習用や子供向けの利用率は数%に過ぎないが、一般のタブレット型端末のみで2割を超えている。タブレット型端末はその多くが保護者との共用となっていることから、大人の間におけるタブレット型端末の利用率の高さに加え、子供との共用スタイルが浸透しているようだ。
パソコンに関してはノートパソコンが6.2%、デスクトップパソコンが3.4%で、1割にも満たない。パソコンはほぼすべてが保護者との共用利用なのが実態だが、それでもこの利用率の低さが実情ではある。保護者が利用していても、子供にはタッチさせないケースも多々あるのだろう。
これを子供の年齢階層別に見たのが次のグラフ。
一般のスマートフォンでは2歳から一定率を維持していく。契約切れスマホも値動きは似たようなものだが、絶対値は低め。子供向け従来型携帯電話が6歳に入ってから急に値を伸ばすのは、多分に小学校に上がった子供に対して防犯用に持たせるからだろう。
興味深いのはタブレット型端末などの動向。スマートフォン同様に2歳から急に値が伸びるが、さらに6歳でもう一段階上昇する。学習用タブレット型端末では6歳から値を伸ばしているのと合わせ見るに、幼い時には子守り用として提供され、さらに小学校に上がってからは学習用も兼ねて利用されているようだ。
今件はあくまでも利用しているか否かのみであり、インターネットへのアクセスは加味されていない。とはいえ、子供達のデジタル機器の利用実情がよくわかる内容には違いない。
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※低年齢層の子供のインターネット利用環境実態調査
2017年1月1日時点で日本全国の0歳から9歳の子供を有する保護者を対象に、同年1月12日から1月30日にかけて行われたもので、保護者による子供の実情などを問う形となっている。調査標本数は2000人、有効回答数は1550人。調査方法は原則調査員による訪問配布・訪問回収法だが、訪問時間などの調整ができない場合に限り、ウェブ調査法や郵送回収法が併用されている(それぞれ11人、26人が該当)。標本抽出方法は層化二段無作為抽出法。