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まさかの「使用済み紙おむつ」持ち去り男、ベビールームのごみ箱から…何罪か?

前田恒彦元特捜部主任検事
(提供:R_design/イメージマート)

 千葉で大型商業施設のベビールームからごみ箱に捨てられた使用済みの紙おむつを持ち去ったとされる30歳の男が逮捕された。目撃した利用客が通報し、防犯カメラで特定に至ったという。男には何罪が成立するか。

 性欲をみたすため、女子トイレのサニタリーボックスから使用済みの生理用品を持ち去るといった事件は現にある。しかし、さすがに赤ちゃんの紙おむつの例は聞いたことがない。男の動機が気になるところだ。

「資源ごみ」ではない

 もっとも、ごみの持ち去りが地域のコミュニティで問題になることはある。アルミ缶などの「資源ごみ」だ。ごみとして捨てられたものであることに変わりはないし、集積所は自宅の外、それも路上近くやマンションの一角にある。

 法的には誰のものなのかが問題となり、そのままだと窃盗罪に問えない場合が多いから、条例で規制する自治体もある。自治体の所有だと規定し、窃盗罪で処罰できるようにしたり、指定業者以外による回収を禁止し、違反者に罰金などを科せるようにしたものだ。

 しかし、今回のケースは明らかにこうした条例の対象外だ。しかも、使用済みの紙おむつは資源ごみと違って財産的価値がなく、窃盗罪の対象である「財物」にすら当たらない。ベビールームのごみ箱に捨てられており、店舗の占有下にあるから、遺失物横領罪も成立しない。

 そこで、ごみ箱から紙おむつを持ち去るためにベビールームに立ち入ったという点をとらえ、男は建造物侵入罪に問われている。店舗側がその目的を知っていたら、入室を拒否するはずだからだ。

 男は容疑を認めているという。最高刑は懲役3年、罰金だと10万円以下だ。警察が事件の経緯や余罪の捜査を進めている。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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