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出場辞退者続出の米女子ゴルフ2023年開幕戦、選手にロッカールームが提供されないウソのような異常事態

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
レイク・ノナは数々の大会が開催されてきた名門コース(写真:ロイター/アフロ)

 米女子ツアー(LPGA)の2023年開幕戦、ヒルトン・グランドバケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ(1月19日~22日)で「珍事」が起こっている。

 大会に出場する女子選手たちにロッカールームが用意されておらず、彼女たちは着替える場所も私物を置く場所もないという。

 米ゴルフウィーク誌は「LPGA選手たちが駐車場でシューズを履く姿を目にしても、どうか驚かないでほしい」と、皮肉を込めて記している。

 同大会は、過去2年間の優勝者だけが出場できるエリート・フィールドであり、今年は29名の女子選手が出場。国内外のセレブリティらとともにプレーするプロアマ形式の大会だ。

 試合会場となっているのは米フロリダ州オーランドの名門コース、レイク・ノナ・ゴルフ・アンド・カントリークラブ。広くて豪華なメンズ・ロッカールームが女子選手用のロッカールームとして提供されれば、何の問題もなかったはずだった。

 しかし、メンズ・ロッカールームは男性のプロアマ参加者や来場者に提供する必要上、それを女子選手に提供することができず、ウイメンズ・ロッカールームは狭すぎて選手用ロッカールームにはなりえないとのこと。代替案としてコース側はレンタル・ロッカーを取り寄せてクラブハウス内のどこかに設置して女子選手用の臨時ロッカールームを作ることを提案。しかし、何らかの理由で、その案はLPGA側から却下されたという。

 女子選手たちは女性用のトイレやシャワーを使用することは、できている。だが、結局、ロッカールームは提供されないまま、トーナメント・ウィークに突入するという珍事に見舞われており、「ロッカールームは着替えをするためだけの場所ではなく、私たち選手が集うオアシスでもある。それなのに、、、」と納得いかない様子だと同誌は報じている。

 近年、この大会ではアジア人選手の欠場が目立っている。その主な理由は、シーズンオフにアジアで練習を積んでウォーミングアップしてきた選手たちが、この1試合だけのために渡米し、すぐさまタイで開催される次戦(ホンダLPGAタイランド)に挑むという強行スケジュールを避けるためだと見られている。

 今年もコ・ジンヨンやミンジー・リーといった韓国勢の多くが揃って出場を辞退し、LPGAの規定違反として2万5000ドルの罰金を科された。

 世界ランキング1位のリディア・コーも欠場しているが、彼女の欠場理由は「ハネムーン」であって、スケジュール上の理由ではない。

 だが、チョン・インジなど世界トップ10のうちの実に7名が、この大会に「出ない」ことを自ら選んでおり、この事態は、もはや見過ごすことができない異常事態と言っていい。

 それに加えて、今度は女子選手にロッカールームが用意されないというさらなる異常事態が発生。

 米LPGAの2023年の始まりに、暗雲が立ち込めている。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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