“じゃない方”のPPAP 政府が廃止を決めた、メールの「PPAP」って何? 詳しく解説!
霞ヶ関での廃止を宣言「PPAP」
4年前に流行った、ピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン」。覚えている方も多いのでやないでしょうか。
先日、政府が、中央官庁での「PPAP廃止」を決めました。PPAPといっても、ピコ太郎「じゃない方」のPPAPです。
メールにパスワード付きZIPファイルを添付し、その後に送るメールで、パスワードを知らせる。
中央官庁だけでなく、日本の企業など多くの場で普及している、「PPAP」とも呼ばれる”セキュリティ対策”ですが、「無駄だ」「むしろセキュリティリスクを上げる」と指摘されてきており、セキュリティ専門家たちは「廃止すべき」と訴えてきていました。
なんで「無駄」なの?
"セキュリティ対策”とされてきたPPAP。なぜ、無駄なのでしょうか。
PPAPは、「ファイルをZIP形式で圧縮し、そのZIPファイルをパスワードで保護し、メールに添付する」「それを解凍するパスワード入りメールを別送する」ことで、ZIPで固めたファイルを悪意のある第三者が見られないようにしよう、という考え方です。
第三者が最初のメール「だけ」を盗聴した場合、パスワードなしではZIPファイルを開けないので、セキュリティ対策になる……ということなのですが、実のところ、最初のメールを盗聴できた場合は、次に送られたパスワード入りメールも盗聴できる可能性が高いですから、セキュリティ対策としてほぼ無意味です。
また、パスワード付きZIPは、メールサーバー上のウイルスチェックをすり抜けることもありますから、ZIPファイル内にウイルスが含まれていた場合、むしろセキュリティリスクが高まります。
このように問題点だらけにも関わらず、なぜか日本で広く普及してしまったこの”慣行”。最近は、専門家からは「PPAP」と呼ばれ、揶揄されていました。
なんでPPAPなの??
これを「PPAP」と呼ぼうと提唱したのは、ITコンサルタントで、現在はPPAP総研代表の大泰司章(おおたいし あきら)さん。ピコ太郎さんが2016年に発表したPPAP(ペン・パイナップル・アップル・ペン)が由来です。
大泰司さんは16年、ピコ太郎さんのPPAPの響きが「プロコトルっぽい」と言う人がいたことからヒントを得て、パスワード付きZIPメールの“セキュリティしぐさ”に、PPAPと命名したそうです(情報処理2020年7月号別刷「《小特集》さようなら,意味のない暗号化ZIP添付メール」より)。
いわく、
つまり「(P)パスワード付きZIP暗号化ファイルを送り、(P)パスワードを送る、(A)暗号化 (P)プロトコル」というわけです。
ちなみにプロコトルとは、手順や規格、儀式のことです。
ようやく廃止の方向へ
セキュリティ専門家たちこのようにして以前から、PPAPの廃止を強く訴えてきました。
それが今回、政府が民間などから広く意見を募る「デジタル改革アイデアボックス」に投稿され、多数の賛成票を得て政府を動かした、というわけです。