社会人に求められる「勉強」の定義とは? アップスキリング、リスキリング等4種類を徹底解説
日本では5割以上が「ゼロ勉強社会人」と言われる。しかし本当にそうなのだろうか? 私は8割以上が「ゼロ勉強」ではないか、と考えている。
ちなみに、ひとえに勉強といっても、勉強にもいろいろな種類がある。
たとえば高校生が学校で勉強していることも、
・受験のための勉強
・就職のための勉強
などに分けられるだろう。当然種類によって、勉強の中身や勉強に対する姿勢も変わる。社会人の勉強でも同じだ。
この定義が揃っていないと「勉強している/勉強していない」を正しく判定できないだろう。
昨今「リスキリング」という言葉がよく使われる。「学び直し」と略されることがあるが、本当にその略し方で正しいのだろうか。
社会人の勉強とは? リスキリングとは? リスキリングは学び直しなのか? について、似たような言葉と並べて解説していこう。
似たような用語は以下の4つだ。
(1)アップスキリング
(2)リスキリング
(3)アウトスキリング
(4)リカレント教育
この中でよく耳にするのは「リスキリング」と「リカレント教育」の2つだろう。では1つ目からカンタンに解説していく。
(1)アップスキリング
まずアップスキリングだ。この用語に馴染みがある人は少ないだろう。おそらくリスキリングと区別させるために登場したのだと思う。
アップスキリングとは、一般的なビジネスシーンで使われる「スキルアップ」「スキル向上」と同義である。
業務に必要な知識やスキルを手に入れることを指す。システムエンジニアであれば、プログラミングやシステム設計の知識、スキルを身につけないと仕事にならない。
税理士なら、税務業務の知識やスキルがないと仕事を任されないだろう。働くうえで「マスト(Must)」の勉強だ。
(2)リスキリング
いっぽうリスキリングは違う。リスキリングとは、新しい職業に就くために、新しい知識やスキルを手に入れることを指す。
システムエンジニアが会計の勉強をしたり、税理士がマーケティングのスキルを身につけたりすることはリスキリングと呼べる。
目先の仕事をするのに必ずしも役立つわけではない。しかし将来のことを考えたら勉強しておいたほうがいいと受け止め、勉強に取組む。
アップスキリングのように「マスト(Must)」ではなく、どちらかというと「ナイストゥハブ(Nice to have)」だ。
(3)アウトスキリング
アウトスキリングは、リストラ対象となった従業員が、成長産業への就職に役立つ知識やスキルを手に入れることを指す。
勉強する内容は、アウトスキリングする場合も、リスキリングも同じようなものになるかもしれない。
違うのは、リスキリングがまだ確定していない未来に向けていることで、アウトスキリングは確定している近い将来に向けていることだ。
(4)リカレント教育
リカレント教育はわかりやすい。仕事と切り離して学び直すことだ。いったん仕事を辞めて大学に入りなおし、専門教育を受けようとする取組みは典型的なリカレント教育である。
リカレント教育は個人が主導するものであり、基本的には企業が奨励することはない。
こう考えると、社会人の勉強で必要なのは2つ目の「リスキリング」と言える。「アップスキリング」は基本的に「マスト(Must)」なので、やらなければ仕事ができなくなる。意識して取り組む必要がない。
そう考えると、「ゼロ勉強社会人」は52.6%では済まないと言えるだろう。
<参考記事>