高速道路を走行中に突風!バイクでどう切り抜けるか!?
エルニーニョ現象の影響なのか、今年は異常に台風の多い年となっているようです。夏も終わりかと思えば雨がちで、ライダーにとっても憂鬱な日が続きますね。
さて、台風と言えば強い風が付きもの。ときに暴風となってライダーを襲います。台風のときに無理してバイクに乗らないのが一番の得策ではありますが、運悪く遭遇してしまったときにはどうしたらよいのでしょうか。今回はバイクの強風対策について考えてみましょう。
一律ではない、規制の基準
高速道路を走行中、強い横風に煽られて怖い経験をした方も多いことでしょう。本格的な台風ともなれば通行止めということになりますが、そこまでいかずとも強い風によって、バイクだとかなり不安定な状態になることが予想されます。
台風などによる高速道路の通行規制は主に「降水量」と「風速」によって決められますが、その基準は一律ではなく高速道路の立地条件によって、また道路管理者の判断によって変わるようです。
たとえば、強風の影響を受けやすい臨海地区や広い河川に架かる橋などでは基準は厳しくなるようです。
ちなみに強風が吹くことで有名な「東京湾アクアライン」ですが、通行止めとなる目安は風速20m/s以上だとか。風速15m/sで最高速度規制が入ることが多いようです。
参考までに気象庁によれば、台風において風速15m/s以上を「強風域」、風速25m/s以上を「暴風域」と呼んでいます。
風速15メートル以上はまっすぐに走れない
それがどの程度のものなのかを判断する基準として、同じく気象庁の「風の強さと吹き方」が参考になると思います。それによれば、風速15m/s以上では「風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る」。また、「高速運転中では横風に流される感覚が強くなる」としています。
さらに20m/s以上では「何かにつかまっていないと立っていられない」や「通常速度での運転が困難になる」となり、これが25m/s以上になると、「走行中のトラックが横転する」ほどのレベルに。
ということで、台風が「強風域」に入ってきたら、外出は控えたほうがよさそうですね。
台風の中心、いわゆる「台風の眼」にも注意が必要です。そこでは風は急に弱くなり、ときに青空が見えることも。しかし、眼が通過した後は風向きが反対の強い風が吹き返します。
気象庁によれば、「台風の風は陸上の地形の影響を大きく受け、入り江や海峡、岬、谷筋、山の尾根などでは風が強く吹きやすく、また、建物があるとビル風と呼ばれる強風や乱流が発生。道路上では橋の上やトンネルの出口で強風に煽られるなど、局地的に風が強くなることもある」そうです。
風が一時的に弱まっても油断は禁物ということです。
バイク走行中に突風が!自身の経験
では実際、バイクで走行中に突風に遭遇したらどう対処したらよいでしょうか。
私もアクアラインをよく利用しますが、海ほたるから木更津までの海上区間では何度か強い横風を経験しています。
無風の海底トンネルから海上に出た途端、左からの突風に煽られて、追い越し車線まで飛ばされたことがありました。
まるで、横から空気の塊を投げつけられたような感じで、その勢いに抗することはできませんでした。バイクは1200ccクラスのツアラーだったのですが、大型スクリーンやパニアケースも装備していたため特に横風の影響を強く受けたのかもしれません。
一瞬焦りましたが、すぐに気を取り直して車体をやや風上に傾けるイメージで乗るとバランスが保てることが分かり事なきを得ましたが、もし追い越し車線に速い後続車が来ていたら危なかったかもしれません。今思えば、前方を走るトラックも大きく蛇行していたので、けっこうな強風だったと思われます。
いざというときは「速度を落として風に当てる」
その後も何回か経験するうちに体得した“技”としては、横風に対して逆操舵を切るのも有効です。つまり左からの横風の場合は、ハンドルをやや右に切ることになります。こうすることで車体は左に傾き、バランスを取りやすくなるはずです。
「当て舵」とも言いますが、ライダーの感覚としては左のハンドルグリップを前に押す感じになります。バイクを自分から風に当てていくイメージでしょうか。
山間のトンネルの出口付近では、「横風が来るな」と思ったら、上体はやや伏せ気味に低く構えてリラックスしてしなやかに風を受け流しつつ、下半身はニーグリップして車体をきっちりホールドする準備しておくといいでしょう。もしもの突風に備えてハンドルグリップはしっかり握っているべきです。
その後、実際に横風に煽られたら、その強さと方向に応じて逆に下半身のホールドを緩めて股下でマシンを遊ばせる感覚で車体を風上に傾けたり、当て舵を使っていくとうまくいく場合が多いようです。
速度に関しては、「強風による速度規制」があるほどですから、やはり抑え気味にすべきです。後続車との間合いも考えて早い段階で速度をコントロールするといいでしょう。
また、ギヤの選択については、いつもより一段低いギヤを選んだほうがトルクも伝えやすく路面との接地感も増して安心できるはずです。
けっして無理をしないで
などなど、ある程度経験を重ねるうちに強風への対処法もいろいろ身についてきますが、それでも限度はあります。特にクルマに比べて不安定な乗り物であるバイクの場合、けっして無理をしないことが最善策になると言っていいでしょう。
なお、悪天候などによってこの先の道路が実際に通行できるか不安な場合は、日本道路交通情報センター(JARTIC)などのウエブサイトを活用すると便利です。台風や地震などの自然災害による通行規制を含めた交通情報をリアルタイムで表示しています。