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ロシア民間軍事会社ワグネル、1か月約40万円でドローンの操縦士と組立作業員を募集

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年4月にウクライナ侵攻に部隊を派遣しているロシア民間軍事会社ワグネルがドローンの操縦士(オペレーター)とドローン組立作業員を募集していた。1か月に24万ルーブル(約40万円)の給料から開始するようだ。募集の動画も公開されている。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ロシア軍では監視ドローンとしてロシア製の「Orlan-10」を多く使用している。監視・偵察ドローンは上空からの目として戦場では敵軍の動向を監視するために24時間常時飛来している。ウクライナ軍を探知したらミサイルで攻撃を行ったり、ドローンから爆弾を投下したりしている。

また攻撃ドローンとしてイラン製軍事ドローン「シャハド」やロシア製「Lancet」を使用している。「シャハド」も「Lancet」も標的に突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンと呼ばれるタイプの攻撃ドローンである。特に大量のイラン製軍事ドローン「シャハド」で早朝や深夜にウクライナの軍事施設や民間インフラへ奇襲を行っている。

ウクライナ軍もロシア軍もドローンによる攻撃した動画や写真をSNSで公開している。ウクライナ軍やウクライナ兵はツイッターやFacebookなど日本人や欧米諸国の人が利用しているSNSでも公開しているので、目に留まりやすい。ロシア軍やロシア兵はテレグラムという日本では馴染みがないロシアやウクライナで多く使用されているSNSに多く投稿している。

そんななか、ウクライナにも部隊を派遣しているロシア民間軍事会社ワグネルがドローン操縦士と製造者を募集していた。今回のウクライナ紛争ではドローンによる上空からの監視・偵察、攻撃までドローンの存在感がとても大きい。ドローンの操縦は戦闘機や戦車の操縦のような長期間にわたる訓練や特殊なスキルは不要である。

またドローン組立作業員は、ドローンの開発や生産を行うのではない。既存の中国製などの市販されている小型民生品ドローンに爆弾を搭載する「組み立て」である。小型民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいき爆発させる神風ドローンによる攻撃はウクライナ軍だけでなく、ロシア軍も多く行っている。このような神風ドローンは一度標的に突っ込んでいき爆発すると再利用できないので、神風ドローンは何機あっても足りない。

▼ロシア民間軍事会社ワグネルがドローンの操縦士と組立作業員を募集する動画

▼「Lancet」

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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