NY金11日:ドル高・金利上昇で、根強い投機売り
COMEX金12月限 前日比3.50ドル安
始値 1,088.50ドル
高値 1,093.50ドル
安値 1,083.20ドル
終値 1,084.90ドル
米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ警戒を織り込む動きが強まり、反落した。下値切り下げ傾向を維持し、7月31日以来の安値を更新している。
アジアタイムは安値拾いの買いが膨らみ、1,090ドル台前半を中心に底堅く推移する展開になった。しかし、欧州タイムに入るとドル高連動で上値を圧迫され、マイナス圏に沈んでいる。大きく値崩れを起こすには至らなかったが、ニューヨークタイム入り後も下げ止まらず、終日下値模索の展開になっている。
シカゴ地区連銀エバンス総裁は、FRBのバランスシートを、現在の米経済にとって正常で通常の状態に戻したいとの意向を示した。また、FF金利がゼロを上回る中立水準で安定推移するポイントに戻りたいともしている。同総裁はハト派の政策スタンスで知られているが、米金融政策の正常化の必要性を訴えたことは、金価格に対してネガティブ。あくまでも一般論的な発言だが、FRB内のムードが変わっていることが再確認できる。
また、サンフランシスコ連銀ウィリアムズ総裁は、利上げに非常に強い根拠があるとの見方を示している。同総裁は以前から利上げ支持の発言を行っていたためにサプライズ感は乏しいが、利上げ着手を支持する声が一段と強くなっていることは間違いなく、ドル高・米金利上昇圧力がドル建て金相場の上値を強力に圧迫している。
インドなどでは需要期に突入しているが、金上場投資信託(ETF)の換金売り圧力が強いこともあり、現物市場主導で安値是正を進めるような動きは確認できない。なおドル高・金利上昇傾向が続き易い地合に変化はみられない。1,100ドルの節目割れで短期的な目標達成感もあり、既に年内利上げ着手の流れを70%前後の確率まで織り込んだ現状で、金相場が急落するリスクは限定される。ただ、ドル高傾向が維持される中で金相場の安値是正が進む可能性は極めて低く、年初来安値1,072.30ドル割れからの一段安を打診する流れは維持されよう。