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「トップガン」から30年。トム・クルーズ以外の人の、その後の人生は

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト

今月、「トップガン」は、北米劇場公開30周年を迎える。当時24歳だったトム・クルーズも、もう50代。今もアクションスターとして第一線で活躍する彼は、この30年の間に、3度オスカーにノミネートされ、3度の結婚と離婚をした。だが、やはりこの映画でメジャーの仲間入りをしたトニー・スコット監督は、4年前、L.A.郊外のサンペドロで飛び降り自殺をし、亡くなっている。ジェリー・ブラッカイマーと名コンビを組み、今作のほかにも次々にヒットを飛ばしたプロデューサーのドン・シンプソンも、ドラッグの乱用で96年にこの世を去った。

ほかの人たちのその後も、振り返ってみよう。

ケリー・マクギリス(チャーリー)

「トップガン」の後、「メイド・イン・ヘブン」(87)「ウインターピープル」(87)「告発の行方」(88)などに出演。だが、同年の「キャット・チェイサー」の撮影がひどい経験となったことから、もう演技はやりたくないと思い、しばらく休業する。89年に再婚し、92年、夫とともに、フロリダ州キーウェストに自らの名を冠したバーをオープン。夫妻は2002年に離婚。2009年、レズビアンであるとカミングアウトし、2010年、同性婚をした。現在はノース・カロライナに住み、時々、インディーズ映画や舞台に出演したり、演技を教えたりしている。

ヴァル・キルマー(アイスマン)

ロン・ハワード監督の「ウィロー」(88、)オリバー・ストーン監督の「ドアーズ」(91、)トニー・スコット監督の「トゥルー・ロマンス」(92、) マイケル・マン監督の「ヒート」(95)などに出演し、ジョエル・シューマカー監督の「バットマン フォーエヴァー」(95)で主役のバットマンを演じる。その後はめぼしい作品に恵まれていないが、2006年の「デジャヴ」で、スコット監督と3度目のコンビを組んだ。

昨年1月には、喉から出血して緊急入院。喉に腫瘍があったと報道されたが、本人は否定している。「ウィロー」で共演したジョアンヌ・ウォーリーと88年に結婚するが、96年に離婚。長男ジャックは、モデルおよび俳優としてデビューを果たし、現在北米で上映中のラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリング主演作「The Nice Guys」に出演している。

アンソニー・エドワーズ(グース)

88年には「ミスター・ノース/風をはこんだ男」と「ミラクル・マイル」に主演するが、その後は、「たどりつけばアラスカ」「ER 緊急治療室」など、テレビの人気ドラマに出演。「ER」のマーク・グリーン役では、映画俳優組合賞(SAG、)ゴールデン・グローブ賞を受賞し、エミー賞にもノミネートされた。

「トップガン」で共演したメグ・ライアンと交際したが、1年程度で破局。94年、メイクアップアーティストのジャニーヌ・ロベルと結婚。同年ロベルはスティラ・コスメティックスを創設。同ブランドは、99年に、エスティローダーが買収した。

メグ・ライアン(キャロル)

「トップガン」の3年後に公開された「恋人たちの予感」でトップスターに。続いて、「キスへのプレリュード」(92、)「めぐり逢えたら」(93、)「フレンチ・キス」(95、)「ユー・ガット・メール」(98)などをヒットさせ、ラブコメの女王の肩書きを確実なものにした。だが、「プルーフ・オブ・ライフ」(00)あたりを境にキャリアは低迷。同作品では、デニス・クエイドと結婚中だったにも関わらず、共演のラッセル・クロウと恋愛関係に堕ち、ゴシップ紙を騒がせる。結果的に夫妻は離婚し、クロウともまもなく破局した。2003年には、演技派路線への転向を狙い、自ら切望して主演したジェーン・カンピオン監督の「イン・ザ・カット」でヌードも披露したが、興行成績も評価もぱっとしなかった。タフな女性を演じて殻を破ろうとした翌年の「Against the Ropes」(日本未公開)も、大失敗。以後、いくつかインディーズ映画に出演しているが、ヒット作はなく、どれも日本未公開で終わっている。

クエイドとの間にはひとり息子のジャックがいるが、2006年には、中国から養女を引き取った。最近は、ミュージシャンのジョン・メレンキャンプとの関係が噂になったりもしたが、結局、破局した様子。整形手術による顔の変わり方も含め、最近は、キャリアよりも、私生活で時々話題を提供している状態だ。

ティム・ロビンス(マーリン)

映画でも、小劇場でも、実力派として着実なキャリアを築いてきている。ロバート・アルトマンの「ザ・プレイヤー」(92 、) フランク・ダラボンの「ショーシャンクの空に」(94)で高い評価を得た後、95年に「デッドマン・ウォーキング」を監督。同作品は、監督部門を含め、4部門でオスカーにノミネートされた。2003年のクリント・イーストウッド監督作「ミスティック・リバー」では、助演男優部門で受賞を果たしている。その後も、スティーブン・スピルバーグの「宇宙戦争」(05、)マーティン・キャンベルの「グリーン・ランタン」(11)などに出演。近年は主にインディーズ映画に出演しているが、その一方で、1981年に設立した実験的な劇団グループActors’ Gangの活動も熱心に続けている。

12歳年上のスーザン・サランドンと長年事実婚状態にあり、ふたりの子供も授かったが、2009年、破局を発表した。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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