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将棋界一のドジっ子? 渡部愛女流三段、ゆるふわエピソード集!

松本博文将棋ライター
クッキーを焼く渡部愛現女流三段(記事中の写真撮影:筆者)

「絶叫系女流棋士」(命名:先崎学九段)と呼ばれる渡部愛女流三段。過去には女流王位のタイトルを獲得した、現女流棋界トップグループの一人です。主たる棋歴は多くの記事に書かれていますのでそちらをご覧いただくとして、本稿では数々の盤外のエピソードの中から一部をまとめてみました。

・公開対局で相手に絶妙手を指され「うわっちょ!」と自分でも謎の言葉を叫ぶ。以後、ファンから色紙に「うわっちょ」の揮毫を求められるようになる。

・スマホの対戦アプリで「あっ!」とよく叫ぶ。電車の中でも、何度も叫んだ。

・最近、オンライン対局で、相手に飛車を打たれて横から王手される。上に逃げるべきところ、マウスミスで横に逃げて玉を取られる(反則負け)。パソコンの前で「ああああ!!!!」と叫ぶ。

・年末、部屋を暗くして寝ていたところ、未明に突然テレビがついて、ホラーかと震える。『天国と地獄 〜サイコな2人〜』の再放送を録画予約したつもりが視聴予約になっていた。なお録画は失敗。

・入院中、左手の指に心電図の機械をつけられて爆睡していたところ、それがはずれてしまう。夜中に左手を触られて暗闇の中に看護師さんが立っているのを見て「びっくりしたああ!」と叫ぶ。

・整体で寝落ちしている際「鮭のハラス」という自分でも謎の言葉をつぶやいて、驚いてわれに返る。

・名前をよく「わたべ」に間違えられる。正しくは「わたなべ」。小中高、ずっと出席番号が最後。席は廊下側の後ろで教室の端っこ率が高かった。

・高校生のとき、間違って洗顔料を口に入れ「衝撃すごい」と思う。

・高校時、英語の授業でシロクマの「nanuk」 (ナヌーク)を「ナヌーケ」と訳してしまい、そのままあだ名になる(現在のTwitterアカウント名「nanu_ke」の由来)。他教科の教師からは「マヌーケ」と呼ばれてしまう。

・小学生のときの将棋大会。詰みだと思って王手で歩を打ったら、二歩だった。

・対局中、間違って隣りの対局のチェスクロックを押したことがある。

・初期配置に駒を並べていたら、うっかり桂のところに銀を置いてしまい「銀銀金玉金銀銀」になっていて、強そうな初形だなと思う。

・記録係を務めた際、タブレットに「女流三段 渡部愛」と入力すべきところ「女流三段 階渡部愛」となってしまい、そのまま対局者に提出。あとで「三段」が「三段階」に変換されていたと知る。

・ラインで予定を連絡する際「4月6日(銀)」と謎の「銀曜日」を指定。指摘されるまで気づかず。

・母から送られてきた荷物の宛名で「愛」という字が最初「受」と間違えて書かれていた跡があった。自分が日頃よくミスする原因は、遺伝子レベルなのかと思う。

・母からパーティー会場を尋ねられ、「雅叙園」(がじょえん、ホテル)が正しいのに「叙々苑」(じょじょえん、焼肉店)と伝える。

・駅で切符を買って母に渡したつもりが、領収書だった。母が改札で通れないのを見て、自分のせいなのに盛大に笑う。

・周りから「ドジっ子」だと言われてきたが「私はドジっ子ではなく、落ち着きないだけです」と思っている。「身振り手振りが大きい結果、いろいろ怪我や失態を起こすことも多いと思っていました」(本人談)

・2016年、仕事先の旅館で、自室の部屋の鍵ではなく金庫の鍵を持って外出。オートロックで閉め出される。

・2018年、地元北海道でおこなわれた女流王位戦五番勝負第1局。大一番を前にした朝、ホテルの自室からオートロックで閉め出される。

・2021年白玲戦七番勝負。「今回のタイトル戦ではオートロックで閉め出されませんように」とツイートしたところ、第2局で閉め出される。

・2018年女流王位戦五番勝負。第2局がおこなわれるのは兵庫県姫路市なので、新幹線に乗るため品川駅に。そこでもらった切符と新幹線の名称が違うことに気づく。パニックになって駅員さんに尋ねたところ、逆方向である東京駅行のホームにいるとわかる。

・よく逆方向の電車に乗る。中井広恵女流六段から「そのうち将棋の駒も逆に進めてしまわないだろうか」と心配される。

・靴をしばしば履き間違える。右と左でバラバラだったり。

・バラバラな上に、右足に左側の靴を履くことも。

・仕事先でジャケットにクリーニングのタグがついたままと指摘される。恥ずかしかったので今後は気をつけると決意したところ、1週間後にはワンピースのタグをつけたまま仕事に行く。

・それから数年後。駅のエスカレーターで靴が脱げる。恥ずかしすぎて早歩きになったら追いかけてくる人がいる。「タグ付いてますよ!」と洋服のタグがついたままなのを指摘される。

・それから数年後。こんどは靴がエスカレーターにひっかかって壊れる。

・冬、対局室でコートを脱ぎ、そこでジャケットを着忘れて外出したことに気づく。軽装で対局。

・仕事で宮城県の新春将棋大会に。そこでiPhoneを落とし、ジャケットも忘れて帰る。

・外に出たら強風雨。帽子が吹き飛ばされて地面に落ち、それを拾おうとしたら傘がひっくり返って壊れる。

・メルマガの冒頭で「全国的に暖かくなり桜の季節となりました」と書いたところ、みぞれまじりの超寒い日に配信された。

・とにかくよく転ぶ。

・高校の文化祭を訪れて指導対局する際、学校に行く途中で木に引っかかって転んだ。

・対局が終わって将棋会館を出たところ、何もないところで「ぐきっずしゃー」と転ぶ。膝から出血して帰宅。

・対局後、駅のエスカレーターで盛大に転んで貧血を起こし、本気で意識を失う。

・25歳の終盤、階段を踏み外して青あざを作る。誕生日を迎え「26歳は落ち着きのある女性になりたい」と誓う。それから1週間も経たないうちに、また段差でつまずき、今度は膝からダイブして出血。

・電気コードに引っかかって転び、腕にたんこぶをつくる。

・ファニーボーンをぶつけて「壁に強打してしまだた」と痛そうにツイート。

・寝る直前、ベッドへ背面飛びでダイブ。枕を通り越してベッドの上の充電器を置くところに見事に着地。頭部強打で半泣き。

・家の外でサイレンが鳴っているので見ようとしたところ、頭を窓にぶつける。痛くて半泣き。

・床のものを取ろうと屈み、起き上がろうとした瞬間、顔面の真中を全体的にドアで強打。何が起きたのか自分でもわからないが、とりあえず痛すぎて泣く。

・電車から降りようとしたところ、手すりの鉄にひじを思いきりぶつける。あまりの痛さに動けなくなり、ホームの椅子で休む。悲鳴をあげなかったのは一つの成長かもと、ポジティブシンキング。

・研究会で唐突に「歩いていて電柱にぶつかったことがありますか」と聞かれ「あるよ」と返したら「仲間を探していました!」と言われ、衝撃を受ける。

・中倉彰子女流二段から、何もないのに転ぶことを「まなちゃん現象」と名づけられる。料理で指を切ってしまった際には「まなちゃんに近づけた気がします」とツイートされる。

・切れ味の良い包丁を買ってから、1か月に3回ぐらい、指を軽く切るようになる。なかなか血が止まらないとき、貧血になりかける。

・大根おろしを作っていたところ、自分の親指までおろす。2回目は傷が深かった。

・じゃがいもの皮をピーラーで高速にむいたら指まで「シュッ」とする。2回目にやらかしたときは超低速だったが、いつも以上に傷が深く「シュッ、ドバーッ」と出血する。

・ガスコンロの近くで計量カップを溶かす。

・揚げ焼きの春巻きをフライパンへ入れたあと、すっかり忘れて黒焦げにする。

・ビーフシチューを作っている間、将棋のことを考えていたら鍋(ティファール)の下が黒焦げになる。それをツイートしたところ、ティファール公式アカウントに心配される。

・夕食を作る際、指10本をすべてやけどしそうになり、指を冷やしている間に鍋の底を焦がす。「1つやらかすとぷよぷよみたいに連鎖する」と感じる。

・冷蔵庫から味ぽんの瓶を落として割る。床を拭いた後、そこですべって足をひねる。

・年始に雑煮を作って鍋を片づける際、手が滑っておせちの重箱を盛大にひっくり返す。

・揚げ物をしていて、鍋に温度計を落とす。

・なんだかいろいろよく落とす。

・研究会に出かける前、好きなFrancfrancの花瓶を割ってしまい落ち込む。

・レンジの回転皿を割る。新しく買ってくるも、サイズが間違っていた。レンジの中で回転しなくなったけれど、何事もなかったようにそのまま使い続ける。

・色紙に押す落款をうっかり自宅のカーペットの上に落としてしまい、あわてた結果、落款を自分の足の上にも落とし、赤く「渡部愛」と押される。

・洗濯前、柔軟剤のボトルを床に落として大惨事。ここまではよくあることなので驚かない。冷静にボトルの蓋を閉め、洗濯機を起動し、床の掃除を始める。洗濯が終わって、なぜか棚に戻したはずの柔軟剤ボトルが洗濯機の中から出てきて驚く。

・浴室乾燥機のフィルターを掃除。戻そうとしたら、突っ張り棒が頭に落ちてくる。

・お風呂の排水溝を掃除。終わったあと蛇口をひねり、頭から盛大にシャワーを浴びる。

・夜に洗濯。浴室に干して乾燥機かけて寝たつもり・・・だったが、洗濯したまま放置。朝、洗濯物を畳もうとして浴室を開けたら、何もなくてひっくり返りそうになる。

・紅しょうがを買い忘れる。再度スーパーへ出かけ、ラーメンと魚だけ買って帰ってくる。

・コンビニに切手を買いに行ったものの、財布を忘れていて買えず。

・切手を買ってきたものの、どこにも見当たらない。探した結果、冷蔵庫でヨーグルトと一緒に冷やしていたとわかる。

・トイレットペーパーを買ってきて、袋を開け取り出してみたら、なんだかおかしい。「不良品?」と思ったら、まさかのキッチンタオルだった。

・ツイートに書かれているやらかしだけでもファンから心配されるが、実際の生活ではもっといろいろある。「ツイートしていないだけで毎日やらかしています」(本人談)

・理想の結婚相手は「私の毎日のようにやらかすのを怒らず、温かい目で見守って笑ってくれる人」。

 以上、数々のエピソードの中から一部をまとめてみました。LPSA代表・中倉宏美女流二段にも本稿をチェックしてもらったところ「このまとめは、迫力ありますね! つい、何かやらかしてくれないか期待してしまう自分がいます(笑)」とのことでした。渡部女流三段の今後に注目です。

(2018年9月、女流王位就位式)
(2018年9月、女流王位就位式)

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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