矢作穂香のぶっ飛び毒舌キャラが再び!『おしゃ子!2』で「ヘン顔には表情筋の準備が必要でした(笑)」
矢作穂香が男性の部屋を強烈な毒舌でぶった斬る役で主演したドラマ『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』のシーズン2がスタートする。正統派女優のイメージの矢作が全力の顔芸も見せてコメディに開眼。「今回も深夜に何気なく観て笑ってほしい」という。このぶっ飛んだキャラクターに、どう取り組んでいるのか?
気分が乗って、いつの間にかあんなことに(笑)
『おしゃ家ソムリエおしゃ子!2』(テレビ東京ほか)で矢作が演じるイエーガー・おしゃ子は、オシャレな家に住んでいる男性としか付き合えない特殊体質。結婚相手にふさわしい“おしゃ家”に住む男性を探すが理想は高く、お持ち帰りをされては“ぶしゃ家”にズバズバとダメ出しを繰り返す。
――『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』ではシーズン1から、目をひんむいたりと強烈なヘン顔を見せていましたが、あれは振り切って出した感じですか?
矢作 気分がどんどん乗っていったら、あんなことになっていました(笑)。自分の中では意識してやったわけではなくて、いつの間にかああなって定着した感じです。シーズン2の撮影初日に、監督から「前みたいな表情で」と言われたのですが、久しぶりすぎて、シーズン1のときの感覚まで上げるのがなかなか難しかったです(笑)。
――かなりのテンションが必要で?
矢作 そもそも表情筋の準備ができてなくて(笑)。徐々に前回と同じ感じになっていきました。
――美人女優のイメージを守ろうとは考えませんでした?
矢作 全然。やれることはやったほうが得かなって。もともとヘン顔は結構得意だったんです。そういう部分も見ていただいたほうが、親近感を持ってもらえるとも思いました。
――自分でオンエアを観ると、どう思いました?
矢作 楽しいです。今までは自分が出た作品を観るのは恥ずかしい部分もあったんですけど、『おしゃ子!』ではそういうのがなくて。ただただ楽しんで、何回も観ました。
――自分のヘン顔とかを見るほうが恥ずかしくないですか?
矢作 最初は「どういうふうに映っているんだろう?」と思って観たんですけど、思いのほか、自分が面白くて(笑)。それを皆さんが「腹を抱えて笑った」と言ってくださったので、本当に良かったです。
その場で下りてきたものを出しています
――ツッコミのテンポも研究したんでしたっけ?
矢作 シーズン1のときは芸人さんのコントや漫才をたくさん観て、マネたりしていましたけど、今回はおしゃ子が下りてくれば、自然にああなります。
――ノリと勢いで行く感じ?
矢作 『おしゃ子』の現場って、段取りで動きを決めたらテストがなくて、すぐ本番なんです。段取りから大声を出すとノドが嗄れちゃうので本番まで抑えて、プラス、本番では違うことをやったり(笑)。そのときに思いついたものを出しています。テストがないから、本番でおしゃ子のテンションを一発で出さないといけなくて、鍛えられていると思います。
――穂香さんにコメディ的な反射神経も備わっていたんでしょうね。
矢作 あると思ってなくて、自分でも意外な一面でした。おしゃ子はツッコミが多くて、私は普段ボケなんですけど(笑)、こういうこともできるんだとわかりました。
――普段はズバズバものを言うタイプでもなくて?
矢作 言わないです。どうしても譲れないこと以外は、自分の中にしまっておきます。
――演技とはいえ、あれだけダメ出しをするのは気持ちいいものですか?
矢作 おしゃ子としては相当気持ちいいのかな。私自身は「おしゃ子、すごいな」と思いながらやっています。あそこまで的確なダメ出しが出てくるのがすごい。私は自分と違う価値観でも「ああ、そうなんだ」となっちゃうタイプなので。おしゃ子は自分の芯を強く持っていて、だからこそ、人にもちゃんとものを言える。自分のことも、分析してわかっているんだと思います。
『ドラゴンボール』をちょいちょい入れて(笑)
――シーズン2のおしゃ子は、たたみ掛けるようなダメ出しがパワーアップしているようですが、カンを取り戻してからは、サクサク演じられているわけですか?
矢作 悩むことはないです。強いて言うなら、台詞の量が多いくらい(笑)。
――台本を読んで、「これはどうやれば?」と思うこともなく?
矢作 監督さんやカメラマンさんと相談して、「こう動いたほうがいい」とかアドバイスをいただいています。それがあって私も最高潮に行けるので、おしゃ子というキャラクターはみんなで作り上げている部分があります。
――シーズン1から、穂香さん発信でやったこともあります?
矢作 全然あります。面白そうなことを提案したり、本番中にふとやって、「それ、いいね」と言っていただいたり。シーズン1の1話の(両手をクロスして)「ハーッ!」というところとか、ちょいちょい『ドラゴンボール』を入れています(笑)。
――「ドーーーン!」とかめはめ波もやってましたね(笑)。
矢作 2話のアゴをくっつけるシーンや3話の傘を持ってダンスするシーンは、監督さんの要望でした。皆さんのアイデアをいろいろ混ぜ込んでいます。
――シーズン2ならではのこともありますか?
矢作 おしゃ子の前髪がパッツンになりました(笑)。1話ごとの終わり方が今までと違う部分があります。あと、毎回それぞれ個性豊かな男性ゲストの方たちが出てきて、一緒にアイデアを出し合いながら、お芝居をさせていただいてます。
力を抜くことが大事だと実感しました
――おしゃ子は25歳の誕生日までに、オシャレな家に住む理想の男性を見つけないといけないということでしたが、来年3月で25歳になる穂香さんは、それまでにやらないといけないことはありますか(笑)?
矢作 30歳までに気持ちが変わると思いますけど、25歳はそこまで区切りという感じはありません。でも、周りの友だちもだんだん25歳になってきて、「もう?」という気持ちにはなります。
――中学生の頃から女優をやってきて、演技に対する考えが変わってきたりはしました?
矢作 学生の頃はただ一生懸命で、すごく力が入っていました。でも、今年、舞台『月とシネマ』の稽古をやっていたときに、力を抜くことがこんなにも大事なんだと教えていただきました。残念ながら公演は中止になってしまったのですが、演技について改めて考える貴重な時間を過ごせました。
――最近のことだったんですね。
矢作 私は三役あって、どう演じ分けるか。時代は今よりちょっと前で、どう生きていくのか。今までなかったくらい悩んでいたんです。「やらなきゃ。やらなきゃ」と気持ちが空回りしていた部分があったのが、ストーンと肩の力を抜いたら、こんなにお芝居の幅が広がるんだとわかりました。おしゃ子もシーズン1から、あんなに力が入ってそうに見えて、実は力が抜けていた役だったんです。別の部分に一生懸命で、無意識に力が抜けていて。それを意識的にするようになったのが、『月とシネマ』でした。
平泉成さんの言葉がずっと心に残っていて
――それまでの女優人生の中でも、誰かに言われて糧になった言葉や考え方はありますか?
矢作 高1のとき、『一休さん』でご一緒した平泉成さんの「自分の気持ちに正直に生きなさい」という言葉は、今でも心に残っています。辛いと思ったらやめる。頑張りたいなら頑張る。「とにかく自分の気持ちが一番大事なんだから」と。今考えると、私が18歳のときにニューヨークに留学したのも、その平泉さんのひと言があったからかもしれません。いろいろあっても、最後は行きたい気持ちを大切にしたので。今の私があるのは、平泉さんのおかげでもあります。
――穂香さんはオードリー・ヘップバーンが憧れでしたよね。それはいつからですか?
矢作 この世界に入る前から、作品を観ていたそうです。
――小学生の頃から。
矢作 母に「『ティファニーで朝食を』のお店があるニューヨークに行きたい」と言っていたみたいで、私が「ニューヨークに留学する」と話したときも、別に驚かなかったと聞きました。
――実際、留学中にティファニーに行ったんですか?
矢作 行きました。さすがにパンは食べませんでしたけど(笑)。
ハッピーエンドが好きなんです
――オードリーが『ローマの休日』を撮ったのは、23歳のときでした。
矢作 私はもう超えちゃいました(笑)。
――追い付くためには急がねばと?
矢作 そんなことは考えませんけど(笑)、私も大人になったので、コロナが落ち着いたらローマに行って、ロケ地巡りができたらいいなとは思います。
――国際派女優は今も夢ではあるんですか?
矢作 はい。でも、今はとりあえず日本で頑張っていきます。まだまだ勉強が必要なので。
――最近の映画も観ていますか?
矢作 自粛期間から家にいる時間が多くなったので、配信でよく観ます。洋画がほとんどで、何回も観たのは『ファミリー・ゲーム』。双子の女の子が生まれてすぐ親が離婚して分かれて暮らしてきて、たまたまキャンプで出会うんです。そこで2人が入れ替わって、お話が進んでいきます。私の好きなハッピーエンドの物語なので、オススメです(笑)。
スキンケアにこだわってマスクの悩みも解決できたら
――穂香さんにはおしゃ子のような、家へのこだわりはありますか?
矢作 ソファーが気持ちいいかどうか、とか(笑)? 今はとりあえず、カギを置ける棚がほしいです。カギはいつもカバンの中にしまうんですけど、カバンはファッションによって変えることが多くて。それで「どこやったっけ?」となるのがイヤなんです。だから、棚というか、キャビネットみたいなものがほしいです。
――シーズン1のときは、おしゃ子にとっての家くらい自分がこだわっているものとして、スキンケアを挙げていました。今はどうですか?
矢作 まったく変わっていません。スキンケアには相当気をつけていて、事務所のYouTubeチャンネルで美容の動画を上げているのがきっかけで、よりこだわるようになりました。今はマスクで悩んでいる方もいらっしゃるので、解決できる方法を探しています。
――新たに興味を引かれていることはないですか?
矢作 ないですね。飽きっぽいタイプなので、スキンケアにここまでハマっているのが珍しくて、継続していきたいです。
悪役で繊細なお芝居もしてみたい
――女優としては、この『おしゃ子!』シリーズで、新たな扉が開いたわけですよね?
矢作 そうですね。他の現場でも「おしゃ子みたいにやってください」という要望をいただきます。同じ作品を2回やらせていただいたのも嬉しくて、シーズン2はもっと盛り上げていきたい気持ちでいっぱいです。以前はコメディのお話が来たら「できるかな?」となっていたのが、今後は違うタイプのコメディもできる気がします。
――さらに演技で磨いていきたいこともありますか?
矢作 私はわりとハッピーな役が多いので、人間の悪の部分を出す役や裏に何かを秘めている役で繊細なお芝居をして、幅を広げられたらいいなと思います。
――自分で映画を観ていて、「こういう役をやりたい」と思うことも?
矢作 アマンダ・サイフリッドの『クロエ』ですね。セクシーな役で、目の動きひとつで「何を考えているんだろう?」と心を動かされて、ダークな部分も見えてくる。そういうお芝居ができたら、素敵だなと思います。
――最後に、『おしゃ子!2』が放送されるこの秋は、どんな楽しみがありますか?
矢作 おいしいごはんを食べたいです(笑)。サンマ、さつまいも、栗ごはん……。食べることは大好きなので、皆さんがコロナ禍の中で大変な思いをして収穫してくださったことに感謝しながら、秋の味覚を噛みしめたいです。旅行にはなかなか行けないと思うので、行けるようになったら存分に楽しめるように、お仕事以外はステイホームで紅葉の画像を見ます。
Profile
矢作穂香(やはぎ・ほのか)
1997年3月7日生まれ、千葉県出身。
2010年にドラマ『夢の見つけ方教えたる2』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『イタズラなKiss~Love in TOKYO』、『今夜、勝手に抱きしめてもいいですか?』、『ピーナッツバターサンドウィッチ』、『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』、映画『マリア様がみてる』、『思春期ごっこ』、『クレヴァニ、愛のトンネル』、『花筐/HANAGATAMI』、『いなくなれ、群青』など。『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』(NHK Eテレ)に出演中。
ドラマ25『おしゃ家ソムリエおしゃ子!2』
10月8日スタート テレビ東京ほか/金曜24:52~