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レッドソックス主力選手が爆弾発言!クラスター発生のチームに「MLBが検査を止めるよう言ってきた」

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
地元ラジオ番組で爆弾発言を行ったハンター・レンフロー選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【レンフロー選手が地元番組で爆弾発言】

 レッドソックスのハンター・レンフロー選手が、レッドソックスの試合中継を担当する地元スポーツラジオ局WEEIのトーク番組に出演し、MLBを批判する爆弾発言を行った。

 レッドソックスは8月下旬からチーム内でクラスターが発生し、現在も澤村拓一投手をはじめ8選手がコロナ関連の負傷者リストに入っている状態にあるが、レンフロー選手は番組上で「(クラスター発生を受け)MLBが我々にコロナ検査を止め、ただ症状だけに対処するよう言ってきた」と発言したのだ。

 さらにレンフロー選手は話を続け、「だが我々はそれを拒否し、今何が起こっているのかを確認し、それをコントロールしようとしてきた」と発言している。

 そして番組ホストから「MLBが検査を止めろと言ってきたのか?」、「(クラスターは)心配せずにプレーを続けろと?」と確認する質問を受けても、レンフロー選手は「Yes」と断言している。

 このやりとりは、番組の公式Twitterが動画を公開しているので、やりとりをチェックできる。

【MLBは即座に完全否定】

 レンフロー選手の発言が真実なら、明らかに看過できない問題だ。チームに徹底を求めているコロナ対策プロトコロルを、MLB自らがそれを無視するよう要請したことになるからだ。

 もちろんMLBはレンフロー選手の発言を完全否定したようだ。ボストン・グローブ紙のジュリアン・マムウィリアムス記者によれば、MLBは「彼は明らかに間違っており、不正確だ」との声明を発表している。

 またレッドソックスも、以下のような声明を発表している。

 「我々はシーズンを通してMLBのプロトコルに従っている。現在も我々がやるべきすべての面において緊密に彼らと協議を続け、検査も継続している。また彼らのメディカルスタッフも非常に協力的だ」

 レッドソックスの声明は、どちらかと言うとMLB側に立つ内容に受け取れるのではないだろうか。

 だがレンフロー選手も、声明の内容通りにレッドソックスがチームとして検査を続けてきたことは認めている。その一方でレッドソックスは、レンフロー選手の発言内容には言及しておらず、否定も肯定もしていないのだ。

 つまりMLBとレッドソックスの間で、その姿勢に微妙なズレがありそうに感じるのだ。

 またレッドソックスは、MLBが掲げていたワクチン接種率85%以上という目標に到達しておらず(6月の段階で30チーム中22チームが目標をクリア)、決してMLBとレッドソックスが一枚岩でコロナ対策に向き合っていたとは言い切れない面がある。

【不公平感が残るワイルドカード争い】

 レッドソックスは現在、ヤンキースとブルージェイズ、アスレチックスなどと熾烈なワイルドカード争いを繰り広げている。シーズンで最も重要な局面を迎える中、クラスターにより多くの主力選手たちが戦線離脱しているレッドソックスは、他チーム以上に厳しい戦いを強いられている。

 昨シーズンならば、レッドソックスのようなクラスターが発生した場合、チーム活動を休止し、感染拡大を食い止めようとしていたところだが、今シーズンは陽性反応者だけを隔離して、スケジュール通りに試合を続けようとしている。

 万全の状態で戦えないレッドソックスやファンからすれば、どうしても不公平感を抱いてしまうところだろう。

 レンフロー選手の発言内容の真偽については、現時点で確認するのは難しい。ただ彼が何かしらの誤解があった可能性はあったとしても、自らウソを創作する必要はまったくないことだけは確かだ。

 レンフロー選手の発言は、今後も波紋を広げることになるだろう。またMLBからも、更なる説明が待たれるところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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