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【橋本市(高野山エリア)】田舎で、特に過疎地の小規模校で教育を受けるメリットとデメリットと新しい視座

田中寛人地域のあしもとマイスター(橋本/高野/かつらぎ/九度山)

筆者は大阪市のような都会にも、人口50万人弱の地方都市にも住み、今は電車も通っていない人より野生動物の方が多い和歌山の山村の限界集落に住んでいます。

いま住んでいるところ。冬は雪が積もります。
いま住んでいるところ。冬は雪が積もります。

都会と田舎、両方住んでみて、現在は田舎発で日本各地の農山村の地域おこしの支援の仕事をして、田舎を盛り上げたいと動いています。

田舎は面白いです。私は都会よりも田舎で人生をかけてやりたいことがたくさんあります、刺激が常にあって全く飽きません。

いなか暮らしは大好きです。

ただ、「教育」については、特に過疎地の小規模校については私はまだ充分な価値を感じていません。

今日は、そんな子どもの教育についてのお話です。

(タイトルに市町村名を必ず入れないといけないので橋本市と書いていますが、橋本市だけでなく、全国的な課題だと思うので、どこの街が悪いとか言うことではありません)

実際に最近まで長年教員をされていて、小規模校も含めた各地を周られた元先生に現場のお話を伺うとともに、ネットでの小規模校で教育を受けるメリットとデメリット情報をまとめてみました。

※小規模校とは?
国の基準では、学校規模の分類として、小中学校で全学年合わせて11学級以下を小規模校としています。(私が仕事で関わるような地域では現実にはもっとクラス数が少ないです。)

①小規模校の学習面でのメリット・デメリット

メリット

・児童生徒一人一人の学力、発達段階、学習の習熟度を的確に把握しやすい。

・個に応じたきめ細かな指導を行いやすい。

・社会見学や遠足などの校外学習活動を機動的に行いやすく、しっかりと学ぶことが出来る。

・保護者や地域と連携した、効果的な生徒指導を行いやすい。

・文化祭や体育祭などで大役がまわってきたりするなど、一人一人の見せ場を作りやすい。

デメリット

・人数が少ないと多様な意見に触れ合う機会やグループ学習のような話し合う場が作れない。

・通常の体育、合唱、部活動、文化祭や体育祭で十分な活動ができず、制約が生じやすい。

・学校生活の中で、だれかと競ったり切磋琢磨する機会が少なく、学習面・精神面・体力面の向上を図りづらい。

・中学校の授業では、専門外(免許を持っていない)の教員からの教科指導が複数ある(理科、技術、家庭、美術、体育、養護、事務など)。

②小規模校の学校生活でのメリット・デメリット

メリット

・全員が学校・行事・学級の仕事を担い、いろんな場面で児童生徒ひとりひとりの活躍の場が設けやすく、責任感の向上、周りの状況をよく見る判断力・行動力の向上につながる(常に見守られているので手を抜けない)。

・さまざまな場面で意見や感想を発表できる機会を得やすく、人前で話す力が育つ。

・日常的に学年・学校間の児童生徒の交流がある。

・児童生徒と教員、地域住民との距離が非常に近い(運動会などは地域住民も参加する)。

・部活動や●●大会などに教員が必ず同行して、児童生徒と一緒に行動できる、目をかけられる。

・進路においても調査書に経歴として残すことができる。

デメリット

・毎年クラスが同じであれば、児童生徒の人間関係が固定になる。

・子ども同士の遊び、トラブル、思いやりなど、人間関係を構築するための体験が不足する。

・周りは大人の方が多いため、大人との会話、発表、交流スキルは向上するが、他地域の同年代の子どもとのコミュニケーションに十分慣れていない(他校との交流だけでは不十分で、日常の中で身に着く部分が足りない)。

・高校進学後、地域から出た後に大人数の中での学校生活に馴染めない子もいる。

③小規模校の学校側のメリット・デメリット

メリット

・学校が一体となりやすい。教職員間での情報交換・共通認識・意思疎通がしやすい。

・児童生徒の家庭の状況、地域の教育環境などを把握しやすい。

・環境整備作業、プール掃除、ふるさと学習など、地域の協力を得やすい(住民は生徒全員を知っていることも)。

・社会見学や校外学習などでも小規模だと受け入れ可能なところも増え、移動もしやすく、様々な場所を選ぶことができる。

・教職員数が少ないので、それぞれの仕事量・責任が増え、各自が学校運営に関わっているという認識が強くなり、「チーム学校」という意識で動ける。

・人数が少ないので、他校と交流やイベント参加(校外行事)にフットワーク軽く参加できる。

デメリット

・教職員数が少ないため、経験、特性を活かしたバランスのいい配置をすることが難しい。

・教職員個人の力量への依存度が高まる。

・教職員数も保護者数も少なく、PTA活動に制限が生じる。個々の負担が大きくなる。

・教職員一人当たりの校務負担や行事に関わる負担が重く、校内研修、校外研修、出張の時間が十分確保できない。

④小規模校の保護者のメリット・デメリット

メリット

・学校との連携がとりやすい。

・地域全体が子どもを見守る。

デメリット

・PTAなどのひとりにかかる負担が大きくなる。

などがあります。

⇒これらを踏まえて、

現在、都市部や人口のまだ多い田舎に住んでおられるご家庭で、もし農山村に移住するとなった場合には、大人の事情だけではなく子どもの立場からもメリット・デメリットを良く考えて行動に移すことを強くオススメします。

良い部分もあるし、悪い部分もあります。

私自身は、小規模校の先生方は、複数の教科の免許を持って、複数の教科を教えておられるものだと思い込んでおりました。現実には、そんなことはなく、専門外の先生が教えていると今回教えて頂いて初めて知り、びっくりしました。

それについて「細やかで臨機応変な対応が出来る環境だとしても、質の高い教育を提供できているのか?」と外の人から言われたら改めて考えざるを得ません。

逆に言うと、日本各地の地方で専門外の先生が教えている現場が多いのであれば、市町村が予算をつけて教科数に対応できる先生を確保し(または育て)た教育現場があれば、それは移住先を探している人にとっての魅力的で十分な価値を提供できることになります。

そのような移住施策であれば元々住んでいる地域の子ども達にも貢献し、外から見ても魅力的になり、移住促進や学校の統廃合・休校化を避けるきっかけにもなるかもしれません。

予算の都合や教員の成り手不足のためすぐには動くことは難しいかもしれませんが、橋本市や高野町だけでなく、日本各地の過疎で悩んでいる市町村でも、このような考えも検討の余地があるのではないか思います。

本文とは関係ありません。先日屋上で流星群を見よう企画をした廃校です。
本文とは関係ありません。先日屋上で流星群を見よう企画をした廃校です。

地域のあしもとマイスター(橋本/高野/かつらぎ/九度山)

和歌山県高野町在住。現場のフィールドワークを通してその土地ならではの地域資源を掘り起こし、地域づくりにつながる高付加価値商品開発や体験プログラムの企画造成支援や実践を行っています。そのスキルも活かして皆さまのまだ見ぬ和歌山県をお届けしていきたいと思っています。民俗学と発酵と和の薬草と昆虫食と染色のイベントもしています。社会教育士 (橋本市/高野町/かつらぎ町/九度山町 担当)

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