日銀の緩和策が異質にみえたジャクソンホール、円安要因に
日銀の植田和男総裁は26日午前(日本時間27日未明)、国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」の討論会に出席した。
植田総裁は、足元の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率が3%を超えることなどに触れたうえで、「基調インフレは依然、目標をやや下回っていると考えている」とし、まだ2%の物価目標を安定的・持続的に達成する段階にないとして、「それが現行の金融緩和の枠組みを堅持している理由だ」と述べた。
これに対して、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は25日、米西部ワイオミング州で開かれたジャクソンホール会議で講演した。インフレ率について「依然として高すぎる」と指摘したうえで「適切ならさらに利上げする用意がある」と述べた。
また欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、やはり講演において、インフレ率を目標値へ引き下げるため必要に応じて金利を高水準に設定し、必要な限りその水準に維持すると述べた。また、「不確実な時代」において中央銀行が経済の頼みの綱として、それぞれの責務に従い確実に物価を安定させることが重要だと述べた。
「不確実な時代」だからこそ、物価高にあって強力な金融緩和を続けると主張する日銀に対して、欧米の中央銀行のトップは、だからこそ強力な金融引き締めスタンスを継続するとしている。真逆である。
日銀は主要国のなかで唯一、マイナス金利政策を続けており、長期金利コントロールの上限は引き上げても、イールドカーブ・コントロールの撤廃もせず、正常化すらからも距離を置こうとしている。
果たして日本だけが特殊なのか。中央銀行のなかで日銀だけが特殊というか異色にみえる。当然ながら、金融政策のこの違いが円安要因となっている。