パチンコ離れはハードパチンカーでも…パチンコ高頻度利用者の推移をさぐる
大人の娯楽として認知度の高いパチンコだが、昨今では様々な問題から厳しい立場にある。パチンコの利用者は昔と今でどのような違いが生じているのだろうか。ハードパチンカーとも呼ばれる、パチンコに頻繁に通う人の推移を総務省統計局による社会生活基本調査(※)の公開値から確認する。
社会生活基本調査の公開データにおいて、具体的な値が取得可能な1986年以降のパチンコの行動者率(調査日において過去1年間に1日でもパチンコを利用した人の割合)と行動者数は次の通り。なお1986年と1991年分は総数の行動率における計上がされていない(対象年齢が異なるためだろう)。
明らかに男女とも、パチンコの行動者率は減少の一途をたどっている。1996年当時は男性で3割近く、女性でも1割近くがパチンコに年1日以上足を運んでいたが、直近の2016年では男性は14.0%と約半分、女性に至っては3.2%とほぼ1/3にまで減っている。
それでは単にパチンコに足を運ぶ意思がある人では無く、頻繁に通う、パチンコに熱心な人はどれぐらいいるのだろうか。今調査項目では利用頻度別での回答値も確認できるが、そのうち一番高頻度となる「年200日(週4日)以上」に該当する人(今記事ではハードパチンカーと命名)の具体的人数を、総数と年齢階層別に算出したのが次のグラフ。1986年と1996年の調査では頻度の結果が非公開のため、グラフにも反映されていない。
まず総数だが、男性は大よそ減少傾向、ところが女性は増加傾向だった。もっとも直近の2016年では女性も大きく減っている。
これを年齢階層別に見ると、男性は単純なパチンコ利用者同様に現役世代が減少し、60代以降が増加する動きを示している。ところが女性の場合、法則性が見出しにくい状態となっている。あえて言えば20代までは減少傾向、60代後半以降は増加傾向にあると読めるぐらいか。
元々人数が少ないため統計上のぶれが生じている可能性はあるが、そして人数の上では男性と比べてはるかに少ない値だが、女性のハードパチンカーの動向には今後注意を払う必要があるに違いない。
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※社会生活基本調査
5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。