【マイルCS】グランアレグリアが有終の美を飾るか、勢いある有力3歳馬は!?
マイルCSは人気決着でおさまりやすいGI
21日、阪神競馬場でマイルチャンピオンシップ(GI)が行われる。出走は16頭。このレースは創設された1984年以降、比較的、手堅いGIだった。1番人気から3番人気までの馬が連対を外すことも少なく、特に1着は過去のマイルCSでは1986年以降で5番人気以内におさまらなかったのは35レース中5レースしかない。そんな荒れた年ですら、相手は人気どころでおさまっている。
過去、荒れた印象があるマイルCSは2011年だ。1番人気のリアルインパクトが5着、2番人気のリディル、3番人気の外国馬イモータルヴァースがいずれも着外で馬券対象から外れている。この年の優勝馬はエイシンアポロン。リアルインパクトは単勝1番人気といっても最終オッズは4.2倍と押し出された格好だ。リディルが4.5倍。エイシンアポロンが9.8倍だったことを考えると、人気が拮抗していたが数値の順番をつけるたらエイシンアポロンが5番目だった、というだけで比較的人気を集めた馬が優勝していたことには違いない。
■2011年 マイルチャンピオンシップ(GI) 優勝馬 エイシンアポロン
1986年以降、最も人気薄だった優勝馬は2000年のアグネスデジタルで単勝13番人気でオッズ55.7倍だったが、当時のアグネスデジタルはダートで結果を出せど芝は未勝利。芝とダートの"二刀流"でいく馬など殆どおらず、ジャパンカップダートと両睨みの末、距離的に合いそうなマイルCSを選んだ経緯がある。その後、芝でもダートでも結果を出してきたアグネスデジタルの活躍を考えると、たまたまそのマイルCSだけが"実力未知数"ゆえに人気を落としていただけのことだ。
■2000年マイルチャンピオンシップ(GI) 優勝馬 アグネスデジタル
というわけで、過去、人気薄だった優勝馬がフロック勝ちだったとは考えにくく、マイルCSはやはり実力どおりにおさまりやすいGIという考察に落ち着く。
前日オッズの1番人気はグランアレグリアだが…
前日オッズをおさらいしよう。
1番人気はグランアレグリアで2.2倍、2番人気はシュネルマイスターで4.5倍、3番人気がサリオスで6.4倍とここまでが一桁台。続く4番人気がグレナディアガーズの10.2倍、5番人気がインディチャンプで14.5倍、6番人気がダノンザキッドの15.5倍となっている。そのあとはカテドラルで21.3倍、ホウオウアマゾンで22.3倍と続く。
■2020年 マイルチャンピオンシップ(GI) 優勝馬 グランアレグリア
グランアレグリアが人気の中心になるのは当然だ。マイルでの実績はメンバー中でも抜けているし、鞍上は安定のルメール騎手。状態も良いように見受けられる。唯一、気がかりなのはこれがラストランである、ということ。そのレースでの結果はもちろん大事だが、繁殖入りが決定したグランアレグリアにとっての優先順位は"無事に引退して繁殖牝馬になること"が最優先課題なのだ。過去、ブエナビスタが引退レースだった有馬記念で結果を出せなかった。あのときのブエナビスタは追い込み馬が中山で内枠に当たるなどの不利なポイントは確かにあったが、それでもどこかで人間の心理として"無事に引退させなければ"という気持ちが働いたのではないか、と察する。グランアレグリアは筆者の邪推は見当違いで呆気なく有終の美を飾るかもしれない。ただ、それならばあのグランアレグリアがマイル戦で単勝オッズが2倍を切らない、という点がひっかかる。マイルなら2020年の安田記念でアーモンドアイを負かした彼女は、それ以降、マイルGIではずっと単勝1倍台の支持を得てきた。最終的には1倍台で落ち着くかもしれないが…。
■2020年安田記念 優勝馬 グランアレグリア
なお、蹄の状態の維持を考えて香港遠征を取りやめて国内でラストランとなったが、これについては不安要素が強く残るならマイルCSも取りやめていたはず。出走してくる限り、結果を出せる状態で出てくるとみている。
層の厚い3歳馬に注目!
今年のマイルCSは3歳馬の層が厚い。
まず前日2番人気に推されているシュネルマイスター。春はNHKマイルC優勝から安田記念3着というローテーションをこなした。続く、秋の緒戦は毎日王冠。スタートでは後手を踏んだが、見事にダノンキングリーを差し切って優勝を果たした。その勝ちっぷりが実に鮮やかだったし、新世代を担う1頭という印象を与えた。このシュネルマイスターの勢いが高い支持を集めているのだと察する。鞍上も今後の日本競馬を背負って立つであろう横山武史騎手だ。注目せずにはいられない。
■2021年 NHKマイルカップ 優勝馬 シュネルマイスター
前日オッズ4番人気のグレナディアガーズは朝日杯FS優勝馬、前日オッズ6番人気のダノンザキッドはホープフルS優勝馬。いずれもクラシックディスタンスではなくマイルこそが得意舞台と踏み、ここへ参戦してきた。
フランケル産駒のグレナディアガーズは気負いがちな気性が心配だ。ただ、前走は比較的落ち着いてレースができており、今回も無駄に力むところがなければ大きな結果も期待できる。ダノンザキッドはクラシック路線を狙っていたが、結果的にマイルから1800mくらいがベストと判断され、マイルCS出走に至った。
■2020年 朝日杯FS 優勝馬 ダノンザキッド
■2020年 ホープフルS 優勝馬 ダノンザキッド
過去3歳馬の優勝は2017年のペルシアンナイト、2018年のステルヴィオがいる。いずれも3歳クラシック前までに重賞を勝っているが、菊花賞へは向かわなかった馬たちだ。シュネルマイスターら今年の3歳馬はペルシアンナイト、ステルヴィオに続けるだろうか。
筆者はこの3頭と比べると実績は劣るが、ホウオウアマゾンにも注目している。春はマイルのアーリントンC(GIII)を優勝している。荒れた馬場が得意な1番枠に入った先行馬で、状態もすこぶるいい。いまノリの乗っている矢作厩舎が送り出す1頭だ。
■2021年アーリントンカップ 優勝馬 ホウオウアマゾン
特殊馬具で復活なるか、サリオス
サリオスは昨年のマイルCSでは大外枠が響いたこともあり5着に敗れた。春は正直なところパンチ不足の印象だったが、この秋はブリンカーやクロス鼻革など馬装でそのあたりのコントロールを試みるそうだ。吉と出れば、ダービー2着の鮮やかな差し脚が見れるだろう。
■2020年日本ダービー 優勝馬コントレイル (2着サリオス)
マイルでの実績が厚い一昨年の優勝馬インディチャンプだが、この馬は明らかな叩き良化型。休養明けの1戦目のほうが力を出しやすい馬もいるが、インディチャンプの場合は1回レースを走ったあとに"整う"タイプだ。地力の高さで上位にはくるだろうが、勝ちきるまではどうだろう。ここを叩いたあとの香港国際競走で本領発揮ではないか、と筆者は見ている。
■インディチャンプ音無師インタビュー/カンテレ公式
無事、全馬が完走する熱い戦いを期待したい。Good Luck!