なぜ人はネットに騙されるのか…デマに踊らされる人々
一昨日、正午過ぎ、ツイッターに、JR高崎駅に救急車両や警察車両が多数集結しているという投稿が投げられました。「何が起こっている?」という多数の問い合わせとともに、高崎駅の周辺にいるという人たちが様々な書き込みを行い、「殺人事件が発生したようだ」とか「犯人が立てこもっている」、さらに「一人が心肺停止のようだ」という内容になり、やがて、それらをまとめるように「JR高崎駅構内の店舗で刃物を持った男が無差別に切り掛かり、一人が心肺停止、さらに店舗に立てこもっている模様」というような内容で流れたのです。その間に「JR高崎駅には行かないほうが良い」とか逆に「見物に行ってくる」というような投稿も見られ、警察車両が駅前に集結している写真も投稿された事から、多くの人が事件が起こっている事を信じて疑わない状況になりました。
その後、2時間経っても3時間近く経っても、新聞社のwebサイトやテレビ放送でのニュースで問い上げられない事から、はっきりしたニュースソースを求める投稿内容が出てきました。結局、その数時間後にテレビで事件が取り上げられ、男が飲食店で単独自殺を図ったことが判明したのです。まったく事実と異なる事が、憶測で書かれ、その憶測を元に、さらに信憑性のない尾ひれや背びらがついて、まったく異なった内容でツイッターに書かれたのです。さらに、まとめサイトが早々にできるなどして、結果的に多くの人が騙される事になりました。
ネットでは「炎上」と呼ばれる現象があります。最初、ある一つの事柄について様々な意見が書かれ、その意見が意見を呼び、さらにその事柄に関係のない雑音のような内容が大多数を占めるようになり、次にその雑音とまったく無関係な内容に話題が移り、話題が話題を読んで、大概の場合、個人や組織、さらにその周りに対する誹謗中傷となってしまう現象です。
ツイッターでの速報もそれが正しいか否かが大きな問題なのです。結局、正しい情報が不確かな情報に埋もれてしまい、正しく伝わるどころか、間違った情報のみが伝わってしまうのです。これは災害時には大きな問題となり得ます。結局、今回の事件の際もそうでしたが、新聞社やテレビ局等の旧来からのニュースソースに頼る事になるのです。
新聞社やテレビ局等の旧来からの権威に頼る事と逆に、新聞社やテレビ局を根拠なく、あるいは不確かな根拠に基づいて、不正を行っていると強調している記事も多く見られます。例えば、
テレビ局は、一般の人のコメントを取る際に、「やらせ」を行っているというものです。確かに、特定の人が、数多くの番組に一般人と称してコメントを発したり、映り込んだりしています。ただ、これだけではテレビ局が「やらせ」を行っているとは言えないでしょう。一般人である個人が、テレビで目立ちたさに、イベントや取材を受け易い場所で待ち受けて、わざと取材受けしそうな行動や発言を取っていることも多々あるのです。
「ミスリード」という言葉を最近よく見かけるようになりました。これは、人を誤った方向に導くことです。特に故意に導くことを指します。ネットの記事では、結果的にこのミスリードが数多く存在します。もちろん、記事を掲載しているサイトではミスリードを承知の上で、特定の方向に導こうとしているのです。
ネットでの記事の読み手である人、ネットで情報を得ようとする人は、その記事の意図、そしてその記事を掲載しているサイトの意図を含め、常に真偽を検証しつつ、理解しようとする心構えが必要なのです。あなたも無意識のうちにミスリードされて暗示をかけられ、意識の遠隔操作を受けているかもしれません。