Yahoo!ニュース

週末の南岸低気圧は関東平野部で雨が主体か?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雨の都心(写真:アフロ)

関東平野に雪をもたらす南岸低気圧が新年明けてから何度か通過しており、都心の積雪は1月6日(木)10センチ2月10日(木)2センチ2月14日(月)は積雪なしという状態となっています。

1月6日(木)は予想以上の大雪となり、2月10日(木)と2月14日(月)は予想以上に積もらなかった雪となったわけですが、関東平野の雪は、上空500メートルより下への寒気の流れ込みや地上の風向きなど、ごくわずかな予想と実況のズレで、積もる雪になったりならなかったりするので、多くの場合、困難を極めます。

ところが今週末にやってくる南岸低気圧に関しては、山沿いを除き、平野部ではほぼ雨が主体ではないかと思われます。

週末に南岸低気圧が通過へ

降水域の予想(ウェザーマップ)
降水域の予想(ウェザーマップ)

これからあさって18日(木)頃までは、この冬最強レベルの寒波の影響で、日本海側を中心に大雪となりますので、警戒が必要です。

そして最強寒波が抜けると、今度は南岸低気圧の出番となります。

上図の様に19日(土)は西日本の南海上へ進み、20日(日)にかけて、本州の南海上を進む見通しで、低気圧に伴う降水域が西日本から東日本を通過し、関東平野では平均20ミリから30ミリ程度のまとまった降水が予想されています。

関東平野で降る雪は、降水量1ミリに対して大体1センチの降雪となりますので、もし全て雪で降れば20センチから30センチ程度の降雪となり、雨で降る時間が長くても、もし雪に変わった場合は、積雪も考えられるような降水量となる予想です。

しかし今回に限っては、平野部の降水はそのほとんどが雨が主体で終わるのではないかと計算されています。

下層寒気の状態は?

下層寒気の予想(ウェザーマップ)
下層寒気の予想(ウェザーマップ)

南岸低気圧が通過する週末の下層寒気の状態を見てみましょう。

おおまかな目安となる上空1500メートルの寒気で見ると、19日(土)夜の時点ではまだ雪となる可能性がある0度以下の寒気に覆われていますが、その後低気圧が接近するとともに上空には暖気が入り、0度以下の寒気は関東より北へ北上する予想です。

今回は純粋に南海上の低気圧だけではなく、日本海にも小さな低気圧が発生する可能性があり、ここに向かって寒気が引っ張られるように北上する計算ともなっているため、このあとよっぽどの計算変わりがない限り、平野部では雨が主体と言える状況だと思われます。

雨や雪の予想

雨や雪の予想(ウェザーマップ)
雨や雪の予想(ウェザーマップ)

ウェザーマップによる最新の分布予報をみてみると、19日(土)夜にかけては、まだやや寒気に覆われていますので、前橋や宇都宮などでは、雪を表す白い表示となっていますが、20日(日)になると、白い表示は主に標高1000メートル以上の北部山沿いに限定されるようになります。

埼玉や東京などでは雨か雪という表示になっていますが、予想されるような上空の温度場ならば、雪が多少混じっても、積雪が生じるような雪となる可能性はごくわずかだと予想することが出来ます。

アンサンブル予報もおおむね揃う

アンサンブル予報(ウェザーマップ)
アンサンブル予報(ウェザーマップ)

気象庁が発表している約50通りあるアンサンブル予報が上図で、表中の赤い小さな丸は低気圧の中心の位置を示しています。

これによると、南岸低気圧は西日本の南海上から関東の沿岸近い所を通過する予想でおおむね揃っていますので、平野部では雨が主体で降る可能性は80%から90%くらいあるものと思われ、実際、そのような計算も示されています。

ただ可能性はかなり小さいものの、低気圧がより発達する場合や最も南寄りのコースを通るようなことがあれば、下層寒気が強まる可能性もなくはないので、やはり最新の情報に留意していただけたらと思います。

南岸低気圧は通過するまで何が起こるか分からないことがあるのも事実です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事