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<ガンバ大阪>今季リーグ戦では最多得点での完封勝利。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

勝ち点7で並ぶサガン鳥栖を迎えてのJ1リーグ11節。立ち上がりから攻守に連動し、主導権を握って試合を進めたガンバだったが前半は鳥栖の3倍以上のシュートを放ちながらゴールが奪えずスコアレスで折り返す。後半もペースは崩さず試合を進めると、68分にMF倉田秋が左足でミドルレンジから狙ったシュートがゴールに突き刺さり、待望の先制点を奪い取る。これを機に勢いを強めたガンバは82分にはFWファン・ウィジョが追加点。さらに、アディショナルタイムにはMFマテウスのJ初ゴールが生まれ3−0と突き放し、ホーム3連勝を飾った。試合後のガンバ監督、選手のコメントをお届けする。

●レヴィ・クルピ監督

ガンバ大阪として非常にいい戦いができたと思います。それはバランスがよかったというところ、そして決定力があったということです。本当に勝利しか考えられない状況の中で勝利に値する内容で勝てたということに対して選手たちを心から誇りに思います。

―中盤でテンポよくゴールを動かせました。手応えは?

中盤でのボール回しも1つの修正点ではあったので、そこも含めて今週いろいろな話を選手たちとしてきました。現在、試合の前の段階で降格圏にいたということもあるので、どんどんまずはボールを動かすということ、いかに相手のボールを奪うかというところ。本当に基本的なことですが、やるべきことを一人だけじゃなくてみんながやらなければいけないというようなところをかなり今週は話してきました。ですから1つだけではなくていくつかの点の修正ができたということではないかと思います。

―ずっとバランスが良くなかった中で今日はバランスが良くなった、一番の要因は?

本当におっしゃる通りで今日の試合においてバランスは良かったと思います。ただこれでバランスが良くなったと断言できるかといえば、そうではなくて、今後いい試合が続けることができて初めてバランスが良くなったと言えると思います。さらに言うと試合の中でもまだ波もありますので、攻守のバランスということに対してはこれからも常に選手たちに求めながらやっていきたいと思います。今シーズン、いちばんバランスが良かった試合であることは間違いないと思います。こういった試合がこれからも続くようにできればと思っています。

―倉田選手は今日素晴らしいゴールを決めました。シュートの練習が増えたということを聞いていますが、監督は意図的にシュートの練習を増やしてきたのでしょうか。

本当にガンバ大阪の選手たちを見ていると、プロの集団と呼べるグループだと思います。その中で個人個人でフィニッシュの精度を高める意識を持って練習をしているところもありますし、私がその練習を促すこともあります。日本の選手を長く見ていて思うのは、フィニッシュの意識が低いということです。パスはうまいのですが、やはりシュートを打てるときに打たないという傾向が非常に多く見受けられると思います。ただし、その意識さえ変えれば私は絶対にそこを変えることができると思っていますので、常に選手たちにはシュートの意識を持てという言葉をかけています。秋(倉田秋)ですが、今日は本当に難しいシュートを決めることができましたが、なぜ決まったかといえば、シュートにチャレンジしたからゴールが決まったということだと思います。あのシュートの意識を、今後もどの選手にも求めていきたいと思っています。それは今日のマテウスも同じです。試合の中でおそらく4本シュートを打ったと思いますが、最後の1本をしっかり決めたというところもシュートの意識の表れだったと思います。

●MF倉田秋

前半からみんなが気持ちを出して攻撃も守備も連動してできていた。1点取れれば、という展開で自分がそのゴールを決められてよかった。(左足でした)前を向いて仕掛けた瞬間にコースが見えた。落ち着いてそこに蹴るだけだった。まぐれかもしれないけど、打たないと入らないので、レヴィもシュートを打て、打てといっていたので、決めてやろうという意識で打ちました。初ゴールが遅すぎる。自分が決めれば勝てる試合もあったし、それはもう終わったこと。これから波に乗ってゴール、アシストができるようにしていければいい。ただ2点目が本当に大きかったと思います。(今日は藤本選手が真ん中に入って中盤も少し形が変わりました)淳吾さん(藤本淳吾)も含めていい感じに連動できていたし、動きもできていた。やっていて楽しかったです。(点を取ったあとベンチに向かって走って行きました)今年は全員で戦わないときついシーズンになると思っている。全員で喜びたいという気持ちが出ました。ダービーもいい試合をして、次が良くなくて…続けられていない現状があるので、こういう試合の次こそしっかりやっていきたい。今日は危機感を持って必死さも出た。まだ降格圏にいることも自覚しながらやっていかないといけない。(シュート練習が増えたことについて)意識は変えていないけど、打つ本数が単純に増えた。それが体に染み付いてきているんだと思う。

●MFマテウス

(試合を決める3点目。柔らかく足を振り抜いて決まったゴールでしたね)いい時間帯だったので、チーム的にはそこまでリスクはなかったと思いますが、きっちり得点をとれて勝利にもっていけたのは良かったと思います。(初ゴールの喜びも大きいですか)間違いないです。ゴールの喜びもありますし、今日はどんな形でも勝利という結果が必要だったのでガンバが勝てたということにすごく喜びを感じています。(藤本選手と遠藤選手が縦でいい関係を作っていた中で、マテウス選手もすごくいい散らしのパスが多かった)やっぱりヤットと自分たちでポジショニングをしっかり取って、チームのバランスがうまくとれるように、っていうところをお互いに意識してやっていましたし、ボールが前に入ったときにいけるタイミングならきっちりと顔を出す、逆に僕が前にいるときにヤットが後から顔を出してくれる。というところでうまくお互いにサポートできたのかなと思います。(ゴール決めた瞬間真っ先に監督のもとに走り寄りました)トレーニングの中でもそうですし、練習後にもああいう形のシュートはすごく練習していて、監督からも教えていただいていたので、得点を取ったあと、まずは感謝の気持ちを監督に伝えたいというのが一番でした。

●DFファビオ

いいゲームができたと思います。選手が団結して同じサッカーを目指すことができればいいサッカーができると思います。前線の選手がいい攻撃だけではなく、守備のところでもハードマークをしてくれた。今回の勝利はチームにとってもすごく大きかったと思います。(ボランチとサイドとの関係性をトレーニングでもしっかり確認して臨んだ試合。そのあたりでの手応えも感じられる無失点だったのでは?)いつも話はしているんですが、練習でもそうですし、日々コミュニケーションはとっていて、もっともっと改善できるところはしてパーフェクトなところにまでもっていきたいなと思っています。今はその過程で、良くはなってきているんですが、止まることなく継続していくことが大事だと思いますし、ここからさらにレベルアップできるようにしていきたいです。(パーフェクトにもっていくために、あと何が足りませんか?)本当にパーフェクトを追求すると、そこに到達するのは相当難しいことになりますが、ですが、捉え方として、日々満足することなく、いいプレーをした中でもどこか改善して上にいけるところはないか、成長できるところはないか、というところをみんなで突き詰めていくのが大事だと思います。

●MF米倉恒貴

(全員が意識持って入った中で、前半は点を取れなかったけれど、焦れずに後半もやり続けられましたね)そうですね。このあいだの湘南ベルマーレ戦は完全に相手に主導権を握られてしまっていて、守備もはまらずに、っていう試合でしたが、その前のセレッソ大阪戦はみんなで戦えていたので。自分が出場したら、そういう試合をしたいなと思っていて、それができて良かったです。(右サイドMFで先発するのは初めてだったと思います。かなり攻撃も意識してプレーしていました)そうですね。急だったのですが、やるしかなかったので自分にできる前でのプレーをしようと思ってやりました。(シュートもかなり打ちました)そうですね。結果を出したかったですけど、チームが勝ったので良かったです。(米倉選手が守備のスイッチも入れていました)そうですね。やっぱりサイドバックの嫌なプレーがわかるので、自分でも。ここで追われたら嫌だなとか、ここで走られたら嫌だなっていうのは分かるので、それは両方のポジションをやっている利点かなと思います。(攻撃に関わる中での質の高さも見られました)本当にあとは決めるところだったと思います。(後半、運動量がどうなるかなっていうところでも守備まで戻って、気持ちを出した)そうですね。要所要所でサボった部分もあったのですが、本当にやられちゃいけないところはサボらずにできたので、そういうメリハリも大事かなと思います。(このポジションでの手応えは?)両方できるというのはメリットだと思うし、でもサイドバックでも負ける気はないし、前でやっても負けたくないと思っています。(縦への推進力も出た)自分があそこで出るということはそういうことを求められているのかなっていうのはあったので、奪ったあとに出ていく、というところはすごく意識してやっていました。(ホームで勝てる状況が続いているのは明るい要素ですね)ホームで勝てるというのはチームも波に乗れる要素だし、でもいい勝ち方をした後に負けてっていうのが2回続いてしまうので、次が本当に大事だと思うので、そこをみんなが気を引き締めてやらなくちゃいけないと思います。

●DFオ・ジェソク

全員がしっかりハードワークをしたことが勝利につながった。(守備への意識ももちながら試合を進められた)失点しなければ勝つチャンスはあると思ったので。相手はセットプレーも強いチームですしまずはしっかり守備の意識を持って入った上で、後半チャンスを作れば得点も生まれるんじゃないかと思っていました。実際に秋(倉田秋)、ウィジョ(ファン・ウィジョ)、マテウスが点を取ってくれて良かった。(ジェソク選手の前の米倉選手もかなりハードワークをしていました)ヨネくん(米倉恒貴)が結構前からハードワークをしてくれて、守備としてはすごく楽だったし、ヨネくん自身は後半途中からかなり疲れが見えましたけど(笑)、すごく助かりました。みんなでこのあとのスケジュールもしっかり乗り越えていきたいです。(鳥栖もハードワークをしていましたが、ガンバもそれに対してしっかり気持ちをみせて動いていました)走らなければいいサッカーはできないので、走れる体力と強い気持ちを持っているチームがこの連戦を乗り越えられるチームだと思うので、次も水曜日に中二日で試合がありますが、みんなで戦って今シーズンの初連勝がしたいです。(試合前に話をしたことは?)負けが多いのは監督の責任だけではなく選手の責任だと思っているので、みんなで監督のためにも勝ちたいという気持ちが強かったです。(練習でもセンターバックとボランチの関係を修正して臨みました)そうですね。3バックのチームとやるときは特に、同じ流れで負けてしまう試合が多かったので、今回は前のポジションとか動きを少し変えてやった部分が良かったと思います。

●MF遠藤保仁

(理想的なサッカーをできた時間が長かった)前半のうちに先制できれば良かったですけど、終わってみれば3−0で勝てたし、ものすごくピンチな場面も本当に数少ない試合だったので、安定した戦いができたのかなとは思います。(藤本選手、マテウス選手との関係性もすごく良かった)淳吾も(藤本淳吾)もかなりいい選手ですし、マテウスもポジショニングだったり、うちのやり方にも慣れてきて3人の関係も良かったし、守備の部分でも後ろとうまく連携しながらやれていたと思う。全体的に見ればバランス良く、やれていたと思います。(複数得点を取れたというところは?)3−0というのは理想的なスコアだと思いますし、その他の場面でも4点、5点目をとれたシーンはありましたけど、後ろも踏ん張りながら進められましたし、今日くらい安定した戦い方ができれば十分勝ち点を積み上げていけるかなって思います。(5バック、3ボランチ気味の相手を崩すのは容易じゃなかったと思いますが、攻め切れた要因は?)相手のプレッシャーもそんなになかったですし、苦労することなく前に押し込めたので、今日の試合はそんなに参考にならないですね。これがよりプレスの早い相手にできればいいと思います。今日は球離れも早かったしパスコースもたくさんあったと思うので、今日くらいテンポよく回れば十分崩せるかなとは思います。(米倉選手のところで主導権をとっていたのも大きかったのでは?)ヨネ(米倉恒貴)の特徴は出せていたと思いますし、後半の交代する間際は少し疲れていましたけど、それでも前半からあそこでいい場面を作っていたし、より前へという意識が今日は強かったと思います。(チーム全体がしっかり動いていたことでパスコースも作れたのでしょうか)バックパスが多いというのはチーム全体でも話していたことで、できる限り前へという話はしていましたし、選手の特徴がうまく使えたかなと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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