鈴鹿の保育園で保育士が逮捕「なぜ殴ることに」現役保育士が危惧する行事が多すぎる保育園の危険性
共働きの現役保育士です。
三重県鈴鹿市の保育園の保育士が、担任する6歳の女の子を殴るなどして怪我をさせたとして逮捕されました。
参考リンク
逮捕者本人についてコメントすることは控えますが、限定された情報からも垣間見られたのが保育士への過度なプレッシャーです。
今回は現役の保育士の立場から、この事件が起こってしまった環境的な背景を想像してみたいと思います。
マーチングに3回の参観会 多すぎる行事
現役の保育士としては事件が起こってしまった職場環境にまず注目してしまいます。
該当の保育園のWebサイトで調べてびっくり。
行事の多さが尋常ではありませんでした。
春
入園進級式、端午の節句会、花祭り、砂浜遊び、尿検査・歯科検診・内科検診、園外保育、交通安全教室、保育参観
夏
プール遊び、七夕会、プラネタリウム、運動会、マーチング、水遊び、特別保育、自然体験学校
秋
総合防災訓練、敬老参観、お月見会、マーチング、遠足、津波避難訓練、給食参観
冬
もちつき、クリスマス会、特別保育、生活発表会、マラソン大会、節分会、卒園式
仏教の保育園なのにクリスマス会も欠かさない・・・
行事の負担が大きすぎて、筆者はこの保育園では勤務できる気がしません。
季節の行事の他、定期的な行事も盛りだくさんの保育園です。
- 習字教室(月1回)
- リズム教室(月1回)
- マーチングの外部演奏(年間3回)
- 英語教室(月2回)
- 仏教保育(月1回)
- 科学教室(月1回)
- 茶道教室
特に、マーチングに力を入れているとあり、園内での発表だけではなく、年3回の外部演奏まで行っていて、非常に驚きます。
と紹介されていますが、楽器はすべて奏法が異なるため先生たちが子ども一人ひとりに指導しなくては演奏できるようにならないだけでなく、マーチングともなれば動きまで指導する必要があります。
外部演奏も行っているということは、演奏にクオリティまでも求められていると考えられます。
一方、子どもの発達の過程は様々です。
筆者は、正直なところ、この保育園の運営が期待する演奏レベルに園児全員を到達させることはそもそも無理なことだ思います。
多すぎる行事をこなしながら、演奏活動のクオリティまでも担保させられる担任の先生たちのプレッシャーは相当なものであると想像しています。
昼寝なし 事務作業時間なし
行事の他、該当の保育園の1日の流れを見ても驚くことがあります。
まず、年中や年長になると午睡(昼寝)がない。その代わりに設定保育が行われています。
保育園での保育は計画書に基づいて行われます。このため、保育士にとって計画書作成などの事務作業もまた、重要な職務のひとつです。
事務作業には、指導案作成の他、行事毎の企画案や月案・週案・年間カリキュラムなどの作成、振り返りなどがあります。
さらに、制作活動のための素材準備や発表会の装飾作成などの仕事もあります。
当然、保育室の掃除や備品整備なども毎日の業務として存在します。
これらの事務作業をするためにも、保育士にとって午睡時間は非常に貴重な時間ですが、この保育園では午睡が削られているので、いつやっているのだろうというのが素朴な疑問です。
1日中、ノンストップで保育活動が入っているので、休憩などあるはずもなく、長時間残業や持ち帰り作業が常態化していたのではないかと想像しています。
園児の方も、活動内容についていける子であれば、学びも多い保育園と思われますが、発達の遅れなどの理由によりついていけない子にとっては、辛いことも多いはずです。
まとめ
鈴鹿市の保育園で保育士が園児にけがをさせた事件について、この事件が起こってしまった環境的な背景を想像してきました。
怪我をさせた本人についてコメントすることは控えるものの、あるべきことではない点は明記させていただきます。