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2025年新NISAに投資する前に知っておきたい、2024年の他人の財布事情

高橋成壽お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA
日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)

2024年のリニューアルしたNISA。昨年からNISAを始めた人も増えた印象です。2024年12月に日本証券業協会が発表したNISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)によると、2023年末のNISA口座数2,125万口座から2024年9月末時点で2,509万口座と384万口座増加したとあります。

※今回の情報は全て日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)」に基づきます。元データは金融庁の「NISA口座の利用状況に関する調査結果」となります。

■国民の5人に1人はNISA口座をもつ時代

2014年末に825万口座であったNISA口座(一般NISAのみ)は、つみたてNISAが始まった2018年の末時点で1254万口座となり10人に1人が口座開設に至る状況でした。つみたてNISAの浸透で2023年末には2,125万口座が開設され、2024年9月末時点で2,509万口座に至り、国民の5人に1人がNISA口座をもつ時代になりました。

日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)
日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)

日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)
日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)

■30代~50代の資産形成層に浸透、高齢層には不人気?

年代別NISA口座数をみると、40代が483万口座、50代が481万口座と並んでいます。次いで、30代の439万口座、60代の369万口座、20代の288万口座、70代の286万口座、80代は150万口座となっています。

情報としては、各年代の人口に対してどのくらいの浸透率になっているのかに興味がありますので、今後金融庁からの情報提供を待ちましょう。

高齢世帯は、①NISAへの投資余力がない世帯、②NISAが必要ない富裕世帯、③NISAを利用可能な金融資産を有する世帯に3つに分類すると、②のNISAが必要ない富裕世帯では金融リテラシーが高く、情報が多いため利用が進んでいる一方で、③NISAを利用可能な金融資産を有する世帯は、それほど利用が進んでいないような印象です。

もしくは高齢期になると金融取引に都度、証券会社等のコンプライアンス部門のチェックが入るため利用が進んでいない可能性もあります。

日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)
日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)

■買い付け額は成長投資枠がつみたて投資枠を圧倒

前掲画像の「年代別NISA新規買付額」によると、買付額の割合は以下の通りとなります。

10代 成長投資枠:つみたて投資枠=196億円(約75%):64億円(約25%)

20代 成長投資枠:つみたて投資枠=4877億円(約55%):4061億円(約45%)

30代 成長投資枠:つみたて投資枠=14288億円(約62%):8697億円(約38%)

40代 成長投資枠:つみたて投資枠=19062億円(約68%):8786億円(約32%)

50代 成長投資枠:つみたて投資枠=21543億円(約74%):7718億円(約26%)

60代 成長投資枠:つみたて投資枠=21068億円(約83%):4464億円(約17%)

70代 成長投資枠:つみたて投資枠=15884億円(約92%):1461億円(約8%)

80代以上 成長投資枠:つみたて投資枠=5539億円(約96%):226億円(約4%)

筆者の個人的な印象ですが、10代は親からの贈与金などで成長枠を買うため、成長投資枠の比率が高い可能性あり。20代以降は手元資金にゆとりのある人は成長投資枠、資産がない人、話題に乗っかりたい人はつみたて投資枠を利用している可能性あり。高齢世帯ですと、銀行や証券会社経由での購入が多いと考えられますので、保有資産を把握した上で、一括投資を提案し、一部NISA口座で成長投資枠を利用している可能性がありそうです。

口座当たりの取引額については下記の通りです。

※2024年1月~9月のNISA新規買付額÷年代別口座数

10代:20万円

20代:31万円

30代:52万円

40代:58万円

50代:61万円

60代:66万円

70代:61万円

80代以上:38万円

ご自身の年代がどの程度買い付けているか気になる方は参照ください。

■人気は成長投資枠での一括買い?つみたて投資は少数派?

前掲の「NISA口座での買付額の推移(全金融機関対象)」によると、2024年1月~9月までの新NISA経由での買付額は13.8兆円。うち、成長投資枠が10.2兆円、つみたて投資枠が3.5兆円となっています。金額の桁数が「兆円」になっているため、あまりピンとこないかもしれません。

日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)
日本証券業協会が発表した「NISA口座の開設・利用状況(2024年9月末時点)

買付額の比率は成長投資枠74%、つみたて投資枠26%。さらに、成長投資枠の買付商品は株式49%、投資信託が51%となり半々です。

成長投資枠は一括購入とつみたて購入いずれもできますが、成長投資枠を一括購入と仮定すると、投資信託の一括購入が最も人気があり、次いで個別株式、最後につみたて投資枠でのつみたて投資となっています。

個別株式を購入して配当金を受け取る投資戦略は、短期的にメリットがあり人気です。投資信託の一括購入は長期的に資産を増やす考えですから、数年後の結果を楽しみに待つことになりそうです。つみたて投資においては、成果が出るのが一括投資よりも先になりますので、我慢強く、忍耐強く、あるいは、ほったらかし、忘れるくらいが丁度いいのかもしれません。

お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA

日本人が苦手なお金を裏も表も解説します。お金の情報は「誰がどんな立場から発信したのか見極める」ことが大切。寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター代表。無料のFP相談・IFA相談マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「アセマネさん」を運営。1978年生神奈川県藤沢市出身。慶応大学総合政策学部卒業後、金融関係のキャリアを経て有料FP相談を開始。東海大学では非常勤講師として実務家教員の立場から金融リテラシー向上の授業を担当。連載:会社四季報オンライン。著書:ダンナの遺産を子どもに相続させないで。メディア出演、メディア掲載多数。

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