ACLでJリーグ勢の3チームが2連敗。アジア王者との試合で見られた鹿島の課題
Jリーグ勢の劣勢が続くACL。ここまで1勝1分の柏レイソルをのぞく3チームが2連敗で、グループリーグ突破に後が無い状況となっている。
「1on1 Football TV」では2月25日に鹿島スタジアムで行われたWSWことウエスタン・シドニーと鹿島アントラーズの初戦(1−3でWSWが勝利)を題材として、アジア王者の強さと鹿島を通して見られたJリーグ勢の課題を語った。
進行:藤間洋介(フットプロム代表)、胡桃彩子(@kurumisaiko グラスタ)
解説:今矢直城(早稲田ユナイテッド監督)、河治良幸(サッカージャーナリスト)
■日本のチームが負ける典型的なパターン
(藤間)この試合、河治さんは現地で取材したそうですが?
(河治)内容的に言えば、ACLのグループリーグで日本のチームが負ける典型的なパターンというか。ボールは持つけどなかなか崩せないうちに、ちょっとしたミスやセットプレーの流れからチャンスを作られました。
シュート数もウエスタン・シドニーが4本、鹿島はその5倍を記録してもやられてしまうと。決めるべきところを決められて、鹿島は本山選手を入れたところで流れを掴んで1点返しましたけど、そのあとミスがらみで2点追加されて終わってしまったという。
(今矢)選手のコメントはどうでしたか?
(河治)鹿島は悔しくて語りたくないぐらいの感じで、普段は明るい昌子選手も「ファンに申し訳ないとしか言えない」と。彼らもいろいろ考えさせられる試合でしたね。柴崎選手も植田選手も、昌子選手も若くていい選手、日本代表に絡んでいく様な選手たちがミスをしてしまった。そこは今後も彼ら3人だけじゃなくて、もっと全体的に考えていかなければいけないと思います。
■WSWで高萩選手と田中選手が学んでいること
(今矢)ウエスタン・シドニーの高萩選手は何か言っていましたか?
(河治)技術的には鹿島の方が上ですと。ただ、勝負に対するこだわりや相手のストロングポイントをうまく消してウィークポイントを突く。そこで自分たちの持ち味である当たりの強さもそうですし、隙を突くところもそうですけど、自分たちの持ち味と相手の持ち味の関係をしっかり勝負に入れていくというか、さすがはアジア王者ですよね。
環境なんかはJリーグよりいい訳じゃないみたいですけど、その中で学ぶことがあると言っていましたね。田中選手もそうした環境で充実しているみたいですし、2人にとっては良かったなと思う一方で、Jリーグは技術的にはアジアの中で高いものがある、でも何で勝てないのかは本当に考えていかないといけないですね。
(今矢)試合前にワンダラーズの選手と話していて、アントラーズの施設で練習したらしいんですけど、もうオーストラリアのサッカーがどれだけ遅れているかと言っていたんですよ。とはいえ彼らは昨年のACLで優勝しているじゃないですか。でも、もしかしたらアントラーズには自分たちが完全に上だろという感覚に隙があったのかもしれないですね。
でもワンダラーズの選手たちは「アントラーズ?どうせずっとボールを回されて鬼ごっこでしょ?明日試合に出たくないよとか(笑)。自分たちはACLを優勝しているけど、自分たちの強みで勝負するし、相手の弱点は突くし、ゴールは動かないわけじゃないですか。だから、その前は絶対にブロックするし。彼らにはしたたかさがあるんですよね。
(河治)田中選手が言っていたことで印象に残ったのが、相手にボールを回されても別にストレスを感じないと。自分たちが得たチャンスでしっかりと決め手いけばいいし、チャンスを作っていけばいいから、ボールを回されてもそこで崩されなければいいという気持ちになれたと。
マリノスや川崎にいた時にはそういう風になれなかったけれども、今はそう思ってサッカーをしているから、勝負に勝てばいいと。そういう意識でやれていると言っていましたね。
(藤間)だから、ここだとなった時の集中力がより高まるということはあるでしょうね。
(河治)もちろんバルサやバイエルンの様にボールも回せて勝負強さも出せれば理想ですけど、ボールを回せることが隙を与えるきっかけになってしまったらダメで。ウエスタン・シドニーはポゼッションの数字で負けていても、シュート数が少なくても、自分たちの持っているものを出せるということですね。
<第2部>ユース年代の育成と審判問題
~オーストラリアの強さから日本サッカーが学べることvol.2~1on1Football TV1502 2