夏休みの死亡事故から子供を守れ
しつけの観点から、水の事故を防ぐ
気温が上がった週末の夜。ニュースでよく目にするのが、水の事故。幼い子が川に流されたり、海で溺れたり。せっかくの楽しい夏休みの一日が、悲劇に一転する。いたたましい限りです。
海や川で遊ぶときには、子どもだけでは遊ばせない、ライフジャケットを着用する、絶対に目を離さない、万が一の時のために浮き輪などの救命具を用意しておくなどが大前提の事故防止策なのですが、意外な盲点もあります。
盲点とは、しつけ。普段から「ものをなくしてはいけない」「ものを大切にしなさい」と厳しくしつけられている子ほど要注意。
うっかり風で帽子が飛ばされてしまったり、水際で遊んでいるときにサンダルが脱げて流されてしまったりしたとき、「あ、パパに怒られる!」「ママに怒られる!」という恐怖心から、帽子やサンダルを追いかけてしまうことがあります。「子どもだけで水の中に入ってはいけない」と言われていても、パパやママに怒られる恐怖心が勝ってしまうのです。
それを防ぐためには、海や川に到着する前に、「帽子やサンダルが流されてしまっても、パパもママも絶対に怒らないから、自分で取りに行ってはだめ。すぐにパパかママか、周りの大人に伝えなさい」としっかり教えて上げることです。何度も何度も。
それでも普段厳しくしつけられている子は、パパやママに怒られるんじゃないかって心配がぬぐえなかったりします。普段「怒らないから言ってみなさい」って怒りながらいうパパやママも多いでしょう。そんな場合は、予備の帽子やサンダルを用意して、「ほら、もし流されたらこれを使えばいいから」といって、見せて上げて、安心させてあげてください。
「帽子やサンダルは買い直せるけど、命は買い直せない」ということを伝えることは、しつけなんかよりよっぽど大事なこと。日本人はやたらと「しつけ」が好きですが、「命」を危険にさらしてまでしなければいけない「しつけ」などないことを親が今一度肝に銘じるべきでしょう。
トイレに行くだけでも車中に置き去りはダメ
聞くたびにいたたまれなくなるのが、車中に置いておかれた幼い子が、そのまま車中で熱中症になり、最悪の場合命を落としてしまうという事故です。
子どもがすやすやと寝ていると、起こすのもかわいそうで、ちょっとトイレに行く間だけだからとか、缶コーヒーを買いに行くだけだからと、子どもを置いたまま車を離れてしまうことがあるのかもしれません。でも、絶対ダメです。
トイレに行く途中で、自分が他の車と接触してケガを負ってしまったらどうするのですか。缶コーヒーを買っているときに、怖いお兄さんに絡まれてしまって、身動きが取れなくなってしまったらどうするのですか。
曇り空で、今日はそれほど気温が高くないからと思っていても、雲の隙間から直射日光が差し込めば、瞬く間に車中の気温は上昇します。幼い子であればものの数十分で命を落とします。
車の中に子どもを一人では絶対に置いておかないでください。また、たまたま駐車場でそういう子を見かけたら、しょうがないですけど、保護者が戻ってくるまで見ていてあげましょう。もし保護者が戻ってきたのなら、「ま、良かったと」と思って、黙ってその場を去りましょう。
本当は「万が一のことがあったらどうするの?」と一喝したいところですが、そうしたところで残念ながら反省してくれるとも限りません。お礼を言われるどころか因縁を付けたといってトラブルになってしまう可能性もありますから。
もし保護者なかなか戻ってこず、重度の熱中症になる恐れがあるのなら、ためらわず警察に通報しましょう。それと前後して、保護者が戻ってきたりすると、それもトラブルになるかもしれませんけれど、そうなったら「余計なお世話をしました。すみません」と謝って、その場をあとにすればいいだけです。あとで、その子がなくなったというニュースを聞いて、一生後悔するよりはましですから。
事故を防いで、楽しい夏休みを!