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トライアンフから新型「デイトナ765」が登場! Moto2エンジン搭載のドルナ公認モデルだ!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
※画像はトライアンフ メディアサイトより

MotoGPドルナ公認のコラボモデル

トライアンフからいよいよ待望のMoto2マシンのストリートモデルが登場する。

2019シーズンからFIMロードレース世界選手権Moto2クラスにおける独占的エンジンサプライヤーとなったトライアンフと、MotoGPを運営するドルナスポーツ社がコラボレートした初の公認モデル「DAYTONA Moto2 765リミテッドエディション」が 発表された。販売台数はわずか765台とのこと。第12戦イギリスGPが開催されるシルバーストーンで8月23日にアンベールされるとともに、元世界チャンピオンの2人がパレード走行を行う予定だ。

デイトナ675の強化発展型か!?

そこで、大胆予想を含め、発表が目前に迫ったニューマシンの素顔に迫ってみたい。

トライアンフのリリースには「世界的レースで勝利を収めたDaytonaのシャーシと、Moto2エンジンをベースとした新設計765ccエンジンを搭載し、Daytona史上最強の出力とトルクを誇るこのマシン」とある。

限られた情報から推測するに、このマシンは従来のデイトナ675の発展型スーパースポーツとみていいだろう。少なくともMoto2マシンをそのままストリート用に仕立てたものではないはずだ。何故なら、Moto2マシンはレギュレーションでプロトタイプと規定されているので、シャーシは「カレックス」や「テック3」などのコンストラクターが製造したものを使用しているからだ。

※画像はトライアンフ メディアサイトより
※画像はトライアンフ メディアサイトより

これに対しリミテッドエディションは「Daytonaのシャーシ」とはっきりと謳っている。発表に先立ち公開されたイラストを見る限り、メインフレームやスイングアームの形状、フロントカウルのデザインなども従来のデイトナ675によく似ている。足まわりにはオーリンズ製倒立フォークにブレンボ製ラジアルマウントキャリパーが付いているように見え、エキゾーストはレーシングタイプの右一本出しのアップマフラーになっている。

参考までに、昨年ドイツ・ケルンで開催された国際モーターサイクルショー「インターモト2018」のトライアンフブースに展示されていたMoto2プロトタイプはレーシングタイプの外装を装着していたが、足まわりを含むシャーシに関してはデイトナ675ベースの仕様だった。もし次期モデルがあるとすればやはりその線でいくのか、と確信を得たことを覚えている。

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▲インターモト2018で発表されたMoto2プロトタイプ(撮影/筆者)
▲インターモト2018で発表されたMoto2プロトタイプ(撮影/筆者)

エンジンはMoto2ベースの最強3気筒

エンジンについても、少し掘り下げてみたい。

話は遡るが、2017年にトライアンフがMoto2用エンジンを開発していることを初めて発表したとき、そのパワーユニットはDaytona 675R用の大幅な発展型であり、2017年新型ストリートトリプルの3気筒765ccエンジンをベースにレース専用チューンを施し、パワーとトルクの大幅な向上を目指して開発されたもの、ということだった。参考までに現行のストリートモデルに搭載される新型765ccエンジンは、最上級のストリートトリプルRS用で123ps/11,700rpmの最高出力と77Nm/10,800rpmの最大トルクを発生する。

これに対し、レース仕様にチューンナップされた「Moto2」エンジンは、吸気効率を高めつつ内部パーツの摺動抵抗を極限まで低減。軽量クランクの採用や高回転化により全体のパフォーマンスを向上。さらにレース用として適合させるための特別な変更を施すことで、最高出力133ps、最大トルク80Nmと大幅にポテンシャルを引き上げられていた。

Moto2エンジン開発先行テスト車(撮影/筆者)
Moto2エンジン開発先行テスト車(撮影/筆者)

実は開発先行テスト車に試乗していた

実は昨年2018年2月にスペイン・アルメリアサーキットにおいて、今回のリミテッドエディションの前身となるマシンに試乗している。正式には「Moto2エンジン開発先行テスト車」という位置付けだったが、一見するとデイトナ675にそっくりでシャーシはデイトナ675をほぼ流用。前後サスペンションに英国・Kテック製を装着し、アロー製レーシングマフラーと鍛造ワイドホイールにスリックタイヤを履いていた。

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リミテッドエディションでは足まわりや電制をはじめ、細かい部分はストリート用に最適化した仕様になっているはずだが、おそらくはコレに準じたものになると思われる。というよりも、今思えばコレが新型デイトナ765の開発テスト車そのものだったのではと思えるのだ。

詳しくは当時のレポートを参照していただきたいが、ひと口に言うと希代の名車と謳われたデイトナ675のバランスの良さはそのままに、トライアンフ3気筒ならではの分厚い中速トルクと湧き出る高回転パワーをともに2割増した感じで、とりわけ印象的なのがレーシングマシンそのものの鋭いエンジンレスポンスだった。

▲Moto2エンジン開発先行テスト車 試乗時の様子(ライダー/筆者)
▲Moto2エンジン開発先行テスト車 試乗時の様子(ライダー/筆者)

トライアンフがMoto2に進出した当初から次期デイトナ765開発の噂は絶えなかったが、ついにファン待望のストリートモデルがなんとMoto2ブランドをひっさげての登場となった。この見事なブランド戦略には脱帽である。そして、おそらくは限定版に続くスタンダード仕様も用意されているはず。まずは8月23日のお披露目に注目したい!

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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