10日に放送された『FNSラフ&ミュージック』(フジテレビ)第1夜で松本人志と爆笑問題が再共演を果たした。
(参考:証言・ダウンタウンの“伝説の漫才” 爆笑問題・太田はどう見たのか?)
松本人志と太田光とのやり取りの中でこんな会話があった。
太田が「ジョーカー」と名前を伏せてボケているところにすかさず田中がツッコミを入れつつ補足する“悪さ”も爆笑問題らしいが、ここでやはり注目すべきは松本人志が太田に“公開オファー”ともいえる投げかけをしていることだろう。もちろん、これは太田の漫才師としての実力を認めているという証明に他ならない。
太田光のポリシー
だが、太田は「審査員」は絶対にやらないと事あるごとに語っている。
たとえば、先日も『爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ、22年5月17日深夜)で、おぼん・こぼんから漫才コンテストの審査員のオファーがあり断ったことを明かしていた。その際も「お笑いの評価はしたくない」「俺は審査員やらない主義だから」とその理由を語っている。
また、1月25日深夜の同番組ではとろサーモン・久保田から「巨人師匠も抜けたし、上沼さんも抜けたし。太田さん、審査員の話は来ないんですか?」と聞かれたエピソードを語り、「来ないよ、俺のところなんか。来るわけないじゃん」「もしやったら、2点とか出すから」「だって、俺がボケたいもん。俺の方がウケたいもん」「俺と出場者の勝負だから、もし俺が審査員だったら。で、俺が優勝するから!」と答えて「絶対やるなよ、M-1審査員。断れよ、お前!」と言われたと笑って話していた。
そんな太田が真剣にそのポリシーの真意を語ったのが『林修の初耳学』(MBS/TBS、22年1月23日)だ。そこで太田は次のように言葉を選びながら話していた。
同様のことは「Yahoo!ニュース特集」で筆者がインタビューしたときにも語っていた。
太田の「笑いは審査するものではない」という強い信念を感じる。
だが、実際、太田が言うように、たとえば松本も「なんでもアリ」だと考えている。
その上で審査をしているのだから、「笑いにセオリーはない」という考え方と決して矛盾するばかりではない。
太田光の変化
太田の信念はなかなか揺るがない。けれど絶対に変わらないかといえばそんなこともない。
太田は、ずっと「テレビ」にこだわり続けてきた。けれど、昨年筆者が行なった『Quick Japan』(Vol.156)のインタビューではその考えを柔軟に変えている。
実際、爆笑問題はつい先日、コントを披露するYouTubeチャンネル「テレビの話」を立ち上げたのだ。
未来はいつも面白い
太田光は色紙に「言葉を書いてください」と言われると、「未来はいつも面白い」と書くという。
それが太田の座右の銘になった。
太田は正式に『M-1』審査員のオファーがあったとしてもきっと引き受けないだろう。
けれど、上記の発言の数々でも自明のとおり、屈指の理論派であり、しかも現役で漫才をやり続けている。これ以上の適任者はいない。
もちろん、審査コメントではボケ続け顰蹙を買うに違いない。けれど、点数にかんしては生真面目につけてくれそうな予感もある。
未来はいつも面白い――。
太田の信念に変化が訪れ、松本人志と太田光が審査員席に並ぶようなあっと驚く面白い未来がいつかやってきたら。そんな想像をするだけでワクワクしてしまうのだ。