欧州議会選挙で極右や右派などEU=欧州連合に懐疑的な勢力が伸長し、欧州国債が売られる
EU=欧州連合の重要な政策を左右する欧州議会選挙(定数720)は、6月6日から9日にかけて加盟27か国で投票が行われ、極右や右派など欧州連合(EU)に懐疑的な勢力が伸長し、2割超の議席を獲得する見通しとなった。
フランスやオーストリア、イタリアなどで国内第1党になったもよう。フランスのマクロン大統領は欧州議会選での極右RNの躍進と与党の劣勢を受けて、仏国民議会(下院)を解散すると発表した。
欧州の物価高や治安、移民政策などが主要な争点となり、ポピュリズム(大衆迎合主義)的な手法をとる極右などが支持を集めた可能性がある(10日付日本経済新聞)。
10日の欧州債券市場では、政治リスクとともに財政悪化を懸念した売りが出て、イタリアやフランスの国債を中心に価格が大きく下落した(国債利回りは上昇)。
欧州の国債の下落を受けて米債も下落し、米10年債利回りは4.47%に上昇した。米10年債利回りは5月29日に一時4.6%台まで上昇したあと低下基調となり、6月5日には4.2%台まで低下した。
しかし、その後は上昇基調となり7日の米雇用統計で非農業雇用者数は前月比27.2万人と予想の19万人増を上回ったことなどから、米10年債利回りは4.4%台に上昇していた。
そこにあらたな材料が加わった格好となった。欧州での欧州連合(EU)に懐疑的な勢力が伸長したことは、今年の米国大統領選挙の動向を占う上でも気になるところ。
ECBは6日に2019年9月以来の4年9か月ぶりに利下げを決定した。これを受けて欧州の国債利回りも低下基調に転じる可能性もあった。
しかし、すでにドイツの10年債利回りは昨年末に2%を割り込んだあたりが目先のボトムとなって上昇基調となっており、その基調がまだ続く可能性も出てきた。
これまでは物価の上昇とそれを受けての中央銀行の利上げなどから長期金利が上昇していた。しかし、今後は財政悪化などが意識されての長期金利の上昇となる懸念も出てきた。
これまでは、さほど財政悪化には焦点があてられていなかったが、もしこちらが材料視されると米債や日本国債にも影響が出る可能性も否定できなくなる。