ドバイで見たマルチメダリスト。パラ陸上の醍醐味を体現するパフォーマー。世界パラ陸上閉幕(2)
ドバイ(アラブ首長国連邦)でのパラ陸上世界選手権は120カ国から1500名の選手が参加し11月15日まで9日間開催され幕を閉じた。
出場した国々のメダルランキングのトップ3は、1位・中国、2位・ブラジル、3位・イギリスとパラリンピックを開催した国の競技レベルが高まっている。
日本代表は13位。43名により金メダル3、銀メダル3、銅メダル7の合計13のメダルを獲得した。
パラリンピックでも花形競技であり、肢体不自由、視覚障害、知的障害の選手が一堂に会し、観る人に多くの魅力を伝える陸上競技。まもなくオープニングイベントが行われる新国立競技場で行われる。
「マルチメダリスト(=複数の種目でメダルを狙える選手)」という言葉が聞かれた。競争による名誉を得た彼らは、いま、東京でのパフォーマンスにむけて準備をしている。
ドバイでみた、パラ陸上の醍醐味を体現するパフォーマーの中から6人を紹介したい。
<中国>
過去3大会連続首位の中国は、今回もあらゆる種目で上位を占めていた。日本選手と絡む部分では、男子T54(車いす)中国のショウ・ユウ(章勇/ZHANG Yong)。400mで銀、800mで銅、1500mで銀、5000mで銅と、金メダルはなかったが、NHK解説を務めた元T54アスリート花岡伸和氏が注目。日本選手にとって避けては通れない強さを示していた。
<ブラジル>
男子100m T47(上肢障害)では、ブラジルが世界新記録を含む成果をあげて表彰台を独占した。中でも、フェレイラ・ドス・サントス( FERREIRA dos SANTOS Petrucio)は「パラリンピックのウサイン・ボルト」と呼ばれている。このほか、ブラジルは、男・女ともに視覚障害のスプリント種目、フィールド種目で多くの選手が活躍していた。
<ヨーロッパ勢>
ヨーロッパ勢は、パラリンピックがオリンピック記録へ挑戦するジャイアントキリングをいくつも再現し、楽しませてくれた。
男子走り幅跳びではT64のマルクス・レーム(REAM Markus/GER)の華麗な8m17cmの大ジャンプに多くの人々がため息した。世界記録更新とはならなかったものの安定した8メートル超えで会場を魅了した。
20歳のジャリド・クリフォード(CLIFFORD Jaryd/AUS)は、男子1500m、5000mとT13のレースにT12で出場。T13を制して両レースとも世界進記録で優勝した。5000mT13のレースでは伴奏者とともに走った。ブラインドレースの可能性を堪能させてくれる一幕を見せてくれた。
両足義足T62のスプリンターヨハネス・フロア(FLOORS・Johannes/ドイツ)はコンバインドレースである男子100m T64(T44,62,64)に出場。障害の重いT62で優勝。予選では世界新記録。さらに、400mT62決勝も世界新記録で優勝した。
100mT54で「車いすのウサイン・ボルト」を名乗るのは、レオ=ペッカ・タハティ(TAH TI Leo Pekka/フィンランド)。フィンランドはT54の男・女がそろって金メダルを獲得していた。
※紹介したマルチメダリストはドバイ2019のパラフォト記事内で取り上げた選手。実際には女子も多くのマルチメダリストがいる。今大会に出場していない選手の中にも該当するであろう選手がいる。以下のリンクで詳細を確認して欲しい。
<参考>
Dubai 2019 パラ陸上 マルチメダリスト