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オートバイのあれこれ『RC30にも劣らない“ガチレプリカ”。ヤマハ・FZR750R』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は『RC30にも劣らない“ガチレプリカ”。ヤマハ・FZR750R』をテーマにお送りします。

「8耐レーサーレプリカ」として、市販車の範疇を超えるハイスペック&ハイグレードで生み出されたホンダの「アールシーサンマル(RC30)」こと『VFR750R』。

▲ホンダが「8耐レプリカ」として開発したVFR750R(RC30)
▲ホンダが「8耐レプリカ」として開発したVFR750R(RC30)

このホンダ製ガチンコレプリカへ立ち向かうべくヤマハが開発したのが、『FZR750R』(OW01:オーダブリュー・ゼロイチ)でした。

▲ヤマハの8耐マシン・YZF750のレプリカとして開発されたFZR750R(OW01)
▲ヤマハの8耐マシン・YZF750のレプリカとして開発されたFZR750R(OW01)

RC30も相当な「マジっぷり」でしたが、このOW01のキャラクターもなかなかのモノ。

まず、パワーユニットを見てみましょう。

ベースは、既存の『FZR750』へ搭載されていた5バルブの4気筒エンジンです。

▲ベースとなったFZR750
▲ベースとなったFZR750

とはいえ、ヤマハはOW01へ搭載するにあたり全面的な設計見直しを行っていて、OW01のエンジンは実質FZRのそれとは別物だったと言えます。

簡潔に言えば、OW01のパワーユニットは(RC30と同様に)照準をほぼ100%サーキットに絞っていました。

“低速域での扱いやすさ”などは考えない、高回転高出力に振り切った設計にされたということです。

ボア×ストロークは、68.0×51.6(mm)から72.0×46.0(mm)へと改めてショートストローク化を促進。

またそれにともないコネクティングロッドを軽量高強度なチタン製とし、ピストンリングも2本タイプにするなど、レーシングマシンさながらの設計とされました。

▲純レーサーのYZF750。OW01の作りはどこもかしこもYZFにかなり近かった
▲純レーサーのYZF750。OW01の作りはどこもかしこもYZFにかなり近かった

これらのアレンジは功を奏し、OW01のエンジンは12,000rpmを超えても安定したパワーデリバリーを実現していました。

国内向けモデルこそ規制に合わせ77psに抑えられていましたが、本領発揮すると少なくとも120ps以上は出ていたと言われています。

そして特性変更だけにとどまらず、エンジン自体もコンパクト化。

バルブステム径の縮小など、主にヘッド周りの小型化が進められ、OW01のエンジンはFZRのものから約2cm上下長が短くなっていました。

▲OW01のモチーフとなったYZF750は、1987年・88年と2年連続で鈴鹿8耐を制覇
▲OW01のモチーフとなったYZF750は、1987年・88年と2年連続で鈴鹿8耐を制覇

次にフレーム。

VFR750Rのフレームがレーシングマシン『RVF750』のものとほぼ同じだったように、OW01のフレームも『YZF750』(ヤマハのワークスマシン)に準じたものを採用。

エンジンブロックの剛性も踏まえてフレームの剛性を吟味し、結果的にOW01のフレームはFZR比で4割軽量&剛性は約2倍となっていました。

その他、アルミタンクにアルミスイングアーム、オーリンズ製のリヤショックユニット、高荷重を受け止める43mm径のフロントフォーク等々、OW01の“特別な部分”は想像以上に多岐にわたります。

▲RC30にも劣らぬスーパーレプリカ。プレミア価格だったが即完売
▲RC30にも劣らぬスーパーレプリカ。プレミア価格だったが即完売

こうした作りこみを見るに、OW01はヤマハが開発時に掲げたコンセプト「YZF750の性能・品質を提供するモデル」を過不足なく実現していたと言えるでしょう。

販売価格は200万円と、「超高価!」と騒がれたRC30の148万円をも完全に凌駕する値付けがなされていましたが、それでもOW01を欲しがるバイクファンはひじょうに多く、限定生産500台はすぐに売り切れてしまったと言われています。

画像引用元:ヤマハ発動機

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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