iPhoneより良い?Google Pixel 8 Pro のカメラをつかってわかった魅力と欠点
Google のスマートフォン Pixel 8 Pro を買いました。筆者が Google Pixel を使うのは初めて。Android のスマホを使ったこともほとんどない iPhone ユーザーなのですが、 Pixel 8 Pro は独自の魅力があって楽しいです。実際に使ってみると Pixel にしかないメリットや、iPhone と異なる特徴がたくさん見つかりました。
本記事では Pixel 8 Pro のカメラ機能の魅力と、iPhoneと比較したときの特徴についてお伝えします。
作例写真で見る Pixel 8 Pro のカメラの魅力
まずはPixel 8 Pro で撮影した写真を見てみましょう。
以下に掲載する作例写真は、最初からスマホにインストールされている「Pixel カメラ」で撮りました。Pixel のカメラや、Pixel でできる標準的な編集機能の参考例としてご覧いただければ幸いです。
Pixel シリーズのスマホなら無料で使えるこの「消しゴムマジック」の機能。とてもよくできているのでもう少し詳しく解説します。
「消しゴムマジック」は、Pixel に標準で搭載されている「Google フォト」を利用します。AI を活用して風景に写り込んだ人影などを写真から消して自然な仕上がりにしてくれます。下の画像が実際の編集画面です。
次の画像がこの「消しゴムマジック」を適用した写真です。
不自然さがほとんどなく、きれいに仕上がっています。普通このような修正を行う場合は専門の画像編集ソフトをつかってマニュアルで操作しなければならないのですが、Google フォトの消しゴムマジックなら自動で人影を検出してくれてボタンを押すだけで完了します。画像編集の初心者でも問題なく扱えます。
もちろん手動で消したいものを選ぶこともできるので、より繊細な修正にも対応できます。先ほどの車のナンバープレートを消した写真は「消しゴムマジック」機能をつかって手動でプレートの部分を選択して修正しました。
Pixel 8 Pro はメインとなる広角カメラ以外にも、より広く撮れる「超広角カメラ」(35mm判換算 約12mm)や、遠くのものを大きく撮れる「望遠カメラ」(35mm判換算 約110mm)を切り替えて利用できます。
望遠はなんと最大でメインカメラの30倍のズームになります。次の写真をご覧ください。
上の写真は最大の望遠30倍で撮った写真です。これがどれくらいのズームなのかを分かりやすく示したのが次の画像です。
この赤枠の部分が望遠30倍で撮った写真です。ふつうの広角カメラと比較すると非常に遠くのものが写っているのがわかります。どちらの写真も同じ位置から撮っているのですが、Pixel 8 Pro の望遠カメラをつかえばこれだけ遠くのものも鮮明に写すことができます。これは驚きのレベルです。
次に「ポートレート」モードの作例写真です。
「ポートレート」モードによるボケ感はあまりわざとらしさが少ないので、まるで一眼カメラかのような雰囲気です。ただし、背景がやや複雑なときなど、環境によっては輪郭が不自然になりやすいです。
iPhone と比べた Pixel のカメラの特徴
日本にユーザーの多い iPhone のカメラと比べて Pixel のカメラの特徴について解説します。
鮮明なシャープネス強めの描写
同じ構図で撮った写真で Pixel と iPhone を比べてみましょう。
※ iPhone は最新機種ではなく少し世代の古い iPhone 13 Pro との比較になります。
それぞれの写真を見比べてみると様々な違いがあります。色味の違いもありますが、個人的に特に印象深く感じたふたつのカメラの差は「線の太さ」です。Pixel のほうがよりシャープネスが強調されています。
シャープネスというのは、カメラ用語で輪郭や境界線をハッキリさせることです。Pixel のほうが服や肌のしわ、髪の毛などがよりくっきりしています。鮮明なのは良いことですが、逆に言うと柔らかさに欠けます。iPhone の写真のほうがソフトな印象です。
くっきりハッキリ写ったほうが性能が良いと思われがちですが、あまりディティールが強調されすぎると不自然になってしまうのでバランスが大切です。つまり Pixel と iPhone のどちらのほうが優れているという話ではなく、人によって好みが分かれるところです。読者の皆様はどちらの写真のほうが好きでしょうか?
白色を決めるホワイトバランスに癖がある
写真の色を決めるホワイトバランスについて解説します。Google Pixel 8 Pro のカメラのホワイトバランスは総合的に見るととても優秀です。多くのシチュエーションでとても自然で気持ちの良い色に仕上がります。
しかし、暖色の照明のもとで撮影する際にはやや癖があるように感じました。参考として次のふたつの写真を見てください。
同じ環境で Pixel 8 Pro と iPhone 13 Pro で撮り比べをしました。ここで注目してほしいのはそれぞれの写真の「色」です。ふたつを比べると iPhoneで撮った写真は全体的にやや黄みがかっているのに対して、Pixel の写真は白色がそのまま素直に表現されている印象です。
実はこのとき人の目に見えている色としては、iPhone の写真の色のほうが近いです。Pixel の写真は画角内にある食器などの白いものをできるだけ真っ白に写るように調整されています。写真だけを見れば、Pixel の写真は特に不自然ではないのですが、撮影しているときの感覚としては実際の色味とだいぶ差があるので違和感が大きいです。
いろいろな場所で撮影を試みましたが、飲食店やダイニングに多いオレンジがかった照明のときにこのホワイトバランスの癖が発現しました。実際の見た目との違和感が大きく、食事の写真だとどちらかというと暖色によった色のほうが美味しそうに見えるので、そういう意味では Pixel の色は短所と言えるかもしれません。
ただし、少なくとも白いものがきちんと白く写るようなホワイトバランスなので、写真だけを見れば決して悪くない発色です。また Pixel 8 Pro なら撮影時にホワイトバランスをマニュアルで設定できるほか、撮影後に編集で色を調整することもできます。
写真管理は「Googleフォト」がデフォルト
写真管理の面でも、Pixel と iPhone に特徴的な違いがあったので解説します。
Pixel 8 Pro で写真管理に用意されているアプリは「Google フォト」です。Googleフォトと言えばクラウドの写真管理ソフトのイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、最近の Googleフォトはクラウドに限らずローカルの写真も同時に管理できます。バックアップ機能もあるので、自動でバックアップをとって パソコンやタブレットなどほかの端末で同期して管理することもできます。
Googleフォトはとても便利なアプリですが、ローカル(Pixel の端末本体の中)の写真に限定して見ることができません。良くも悪くもクラウドの写真とローカルの写真が混ざってしまうわけです。これは iPhone の「写真アプリ」にはない仕組みなので、iPhone に慣れている人には使いづらいと感じるかもしれません。
iPhone からの移行ユーザーには、写真管理用に別のアプリもインストールすることを推奨します。おすすめは「ギャラリー」というアプリです。こちらも Google が提供しているアプリで、インターフェイスや機能は Googleフォトによく似ています。「ギャラリー」の良いところはローカル内の写真だけを管理できるところにあります。例えばスマホ画面のスクリーンショットや外部デバイスから保存した写真を閲覧するのに便利です。
総評
iPhone も Pixel も現代のスマホカメラとしてはどちらもトップレベルの性能でしょう。基本的にはどちらも発色がやや派手めで、くっきりと見えるようにコントラストやシャープネスが調整されている印象です。SNS 映えする写真が撮りやすいようなカメラだと思います。
細かく違いを見ていくと、Pixel のほうが線がより太くくっきりしていて、白いものをきちんと白く見せるような色味になっています。状況によっては色味がやや青いほうに寄りがちのホワイトバランスなので、iPhone と比べると Pixel のほうがスマートでクールな雰囲気の写真が得意だと感じました。
Pixel は、特に照明が暖色の環境で ホワイトバランスの自動調整が顕著になります。場合によっては色味に違和感があるので、その際はマニュアルで色を調整したほうが良いかもしれません。
本記事は筆者の下記ブログをもとにYahoo!ニュースエキスパート用に記事を再構成・編集したものです。ブログ記事ではよりカメラに詳しい人向けの解説をしているので興味のある方はこちらもあわせてご覧ください。
Pixel 8 Pro カメラレビュー!もう一眼はいらない?Google スマホカメラの実力を解説 | 神戸ファインダー