北朝鮮の女子大生20人「夏休みの乱れ」で吊し上げ連行
1カ月間の夏休みが終わり、北朝鮮の大学のキャンパスに学生たちが戻ってきた。彼らを待ち受けているのは講義でもゼミでも試験でもない。吊し上げだ。
平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、道当局は、道内の安全局(県警本部)、保衛部(秘密警察)、教育部が合同で、道内の全大学生の夏休み期間中の過ごし方を把握し、反社会主義・非社会主義現象を取りまとめ、今月中旬から思想闘争会議を開くように指示した。つまり、風紀の乱れがなかったかチェックし、あれば吊し上げにするというのだ。
当局は、反社会主義・非社会主義連合指揮部、大学、社会主義愛国青年同盟、居住地の安全部(警察署)や保衛部などが、夏休み期間中に大学生の反社会主義・非社会主義現象の取り締まりを行ったが、依然として根絶されていないと批判した。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
例えば、カネも力もある家の学生は、夏休み中に大学で行われる政治行事や、建設現場への勤労動員を、担当者にワイロを支払って出席扱いにするという不正行為を働いた。
このようなことは、大学生に限らず、北朝鮮で広範囲に行われている。一銭の儲けにならないばかりか、時間をドブに捨てることになるため、人々はあれこれ理由をつけてサボろうとする。
政治行事や勤労動員をサボった学生は、商売に精を出したり、自宅でゆったりと休息を取ったりした。
自宅で楽しむものと言えば、映画、ドラマ、ダンス、歌などの韓流コンテンツだ。一人で韓流の時間に浸る者もいれば、CDやUSBメモリに保存して他の地域で販売した者もいた。
安全局、保衛部、教育部は「社会主義朝鮮の未来を担う若者が、敵対国を崇めて、敵対国のものを他の地域までに広げて金儲けをしたのは、反動的行為で、今回は事情を考慮せず問題にするとのことだ。
これ以外にも、国境沿いの地域でも密輸に加担したり、男女が風紀紊乱行為を行ったり、平壌文化語保護法に違反する行為を行ったりと、様々な問題が噴出した。
そこで、問題が発覚した学生を舞台に立たせて、まずは自己批判させた上で、代わる代わるいろんな人に批判させる吊し上げを行うということだ。様々な法律に違反していることから、中には教化所(刑務所)送りにされたり、それ以上の処分を受けたりする場合もある。
実際、江原道の元山師範大学で行われた同趣旨の公開思想闘争では、壇上に上げられた60人の女子大生のうち20人は、批判だけでは済まされず、手錠をかけられてどこかへ連行されてしまったという。
大々的に繰り広げられる思想闘争会議だが、こんなことをしたところであまり意味はない。大学生とて、新しもの好きの北朝鮮の若者であることに変わりはない。冬休みになれば、いや、その前にでもまた韓流コンテンツを楽しんだりするだろう。また、それなりの家の出の学生ならば、親の力を使ってもみ消してしまう。