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hide20回忌、8年ぶりに献花式開催 語り継がれる人、聴き、歌い継がれる音楽

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
没後20年、そのミュージシャンとしての存在感は、今も多くのアーティストの憧れだ

hide20回忌。時代を超えて愛され続ける理由

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今年ももうすぐあの日がやってくる。X JAPANのギタリスト・hideが、33歳の若さで急逝したのは1998年5月2日。あれから20年という、短くはない時間が流れたが、人々の心の中のhideは、変わることはない。“語り継がれる人、聴き継がれる音楽”がhideであり、その音楽である。なぜ時代を超えてhideはこんなにも愛され続けるのだろうか。これまでに色々な人がそれを語り、書いてきたテーマだ。20回目の命日を前に、いつもにもまして、hideを偲び、讃える声が飛び交い、少し特別なhideの季節がやってきたことを教えてくれる。ファンの中には逆に、哀しさを思い出すこの命日が来るのが、嫌だという人も多いと思う。でもやはり多くの人がhideについて語りたいし、その音楽の素晴らしさを改めて多くの人と共に感じる機会でもある。

森雪之丞『hideの未来~20回忌に寄せて』

1993年8月に発売された、hideのソロ第1弾シングル「EYES LOVE YOU」と、同発の第2弾シングル「50%&50%」の作詞を手がけ、以来hideが“師匠”と慕っていた作詞家・森雪之丞から、今回の20回忌にあたり、メッセージが届いた。

『hideの未来 ~20回忌に寄せて』

 今更hideの何を語れと言うのか?

 昨今、打ち込み系のアーティスト達が競っているアイデア、まるで遊園地のジ

ャングル・コースターに乗ったように目まぐるしく色や匂いや温度の変わるア

レンジを、20数年前に創りあげていた天才ぶりについてか?

 昨今、歌詞を画策するアーティスト達が辿り着いた境地、たぶん偽りの中に

しか真実は存在せず、矛盾の海にしか答えは浮かんでいないという哲学を、20

数年前にヤンチャな生き様として実践した怪物君の素顔についてか?

 何も知らず今日初めて『Ja,Zoo』を聴いた若者は、この時代だからこそのアー

ティストが登場したと勘違いするに違いない。

 今更hideの何を語れと言うのか?

 あの頃、泥酔した僕に酩酊したhideが言った。「昨日、タイムマシン飛ばして

2018年で遊んで来ちゃいました。」

 言われてみればすぐ側に、hideのいる気配がする。

 彼の過去は、とっくに未来になっているのだ。

“hide 20th Memorial Project”

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hideが生み出す楽曲はいつも実験的で、音楽性も幅広かった。音楽もファッションも常に新しいものを捉えて自分の中に取り込み、hideという圧倒的なセンスのフィルターを通して昇華させていった。しかし音楽の核にあるものは“普遍性”だ。だから聴きつがれる。アレンジという名のカラーを纏わせ、ポップで攻撃的な音楽を作った。見た目も奇抜で斬新、でもスタイリッシュ。そんな作り手、発信者としての姿勢が、リアルタイムでhideを知らない今の若い世代のアーティストにも、しっかりと受け継がれている。音楽センスもファッションのセンスも、そして人を愛し、人に愛されたその性格や生き方も含めて、ミュージシャンとしての存在感が、多くのアーティスト、ファンの憧れの対象になっている。

だから人はhideの命日が近づいてくると、hideに少しでも近づきたい、願わくはhideの息遣いを感じたいと、hideを感じる事ができる場所、瞬間を求める。20回目の命日を迎える今年は、hideの名を呼ぶ声がさらに大きくなり、“hide 20th Memorial Project”が発足し、様々な催しが予定されている。

メモリアルライヴ、ドキュメンタリー映画、トリビュートアルバム、言葉・音声・映像集、献花式…人を惹きつけて離さない魅力

4月28・29日にはお台場でメモリアルライヴ『hide 20th memorial SUPER LIVE 「SPIRITS」』が開催された。hide with Spread Beaverのメンバーが集結し、PATA(X JAPAN)、BUCK-TICK、氣志團、J、布袋寅泰他錚々たるアーティストが熱狂のライヴを行なった。4月28日にはメモリアルライヴにも出演した、hideの盟友、hide with Spread BeaverのI.N.A.が初めてその想い綴った書籍『君のいない世界~hideと過ごした2486日間の軌跡~」が発売された。

5月26日に公開される映画『HURRY GO ROUND』は、hide初心者である俳優・矢本悠馬のナビゲートで、亡くなる直前3か月間の軌跡に迫るドキュメンタリーだ。亡くなる3か月前に過ごしていたロサンゼルスでの映像、X JAPAN・YOSHIKIのインタビュー、初公開となる亡くなる前日の映像など、hideがどう生き、亡くなっていったのか、その真実に迫る貴重な映像で構成されている。

さらに最新版トリビュートアルバム『hide TRIBUTE IMPULSE』も、6月6日にリリースされる。西川貴教、HISASHI(GALY)×YOW-ROW、MIYAVI、Cocco、Dragon Ash他バラエティに富んだミュージシャンが参加し、改めてhideの影響力の大きさが伝わってくる一枚だ。このトリビュート盤についてHISASIH(GLAY)は「初めてメールでやり取りした相手はhideさんでした。内容は超アングラサイトの情報交換、そんな関係が心地よかったです。今のレコーディング技術も率先して楽しんでいる姿が浮かびます。遊びの天才、hideさんに敬意を込めて」とコメントを寄せている。

そして命日の5月2日には、1998年春のhideの言葉、音声、映像をまとめた『hide 1998 ~Last Words~』が発売される。ニッポン放送で1998年4月10日~計4回放送された、ロサンゼルスで録音された「hideのオールナイトニッポンR」の音声と、その収録シーンの映像、幾つかの音楽誌でのインタビューと写真、そしてbay fm「RADIO LEMONed」(1996年)の人気コーナー「hide’s voice」を計10回分(約65分)を収録した、貴重な記録集だ。

命日の5月2日には、3万5千人が参列した13回忌の献花式以来、8年ぶりとなる『hide Memorial Day 2018~献花式』が開催される

(C)HEADWAX ORGANIZATION CO., LTD. photo by HIDEO CANNO(CAPS)
(C)HEADWAX ORGANIZATION CO., LTD. photo by HIDEO CANNO(CAPS)

さらにこの日は、hideもライヴを行なった事があるゆかりの地・川崎CLUB CITTA’で、3万5千人の一般参列となった13回忌の献花式以来、8年ぶりとなる献花式『hide Memorial Day 2018~献花式』が行われる。祭壇には4月28・29日に行われた『hide 20th memorial SUPER LIVE 「SPIRITS」』のhide with Spread Beaverのステージに登場した、hideのライヴ衣装やレコーディング時に使用したギターなどが展示される。神奈川県三浦市にあるhideのお墓で手を合わせ、川崎で花を手向け、一人ひとりがその心の中に、hideの存在を大きく感じる一日になりそうだ。

他界してから20年経ってもなお、こんなにも多くのメモリアル企画が行われる稀な存在

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この他にも様々な形でhideを偲ぶ企画が予定されている“hide 20th Memorial Project”。

亡くなって20年経ってもなお、こんなにも多くのメモリアル企画が行われる例は、極めて稀だ。改めてhideの存在の大きさと、hideへの愛を感じる事ができる、“忘れられない時間”になるはずだ。

『hide Memorial Day 2018〜献花式』

【日程】2018年5月2日(水)

【会場】川崎CLUB CITTA’ (〒210-0023神奈川県川崎市川崎区小川町 5-7)

【一般献花開始】13:00 / 【献花受付終了】 20:00(予定)

 ※会場の混雑状況により受付終了時間よりも早く終了させていただく場合もあります。

 ※当日はフィルムライブなどの公演はありません。

【献花引換券】800円(お花1本とメモリアルフォトカード)

 ※お花は会場にてご用意しています。お花の持ち込みはご遠慮ください。

 ※当日の入場時にお引き換えとなります。

 ※お子様は無料です。

 ※現金のみのお取り扱いになります。

【お問い合わせ】チッタワークス TEL:044-276-8841(平日12:00~19:00)

hide 20th Memorial Project オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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