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ノーマンの新ツアーに出た大学生ゴルファーは「対象外」!世界一のゴルフツアー、「PGAツアー」の本気度

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 世界一のプロゴルフツアーとして君臨してきたPGAツアーが、グレッグ・ノーマンが打ち立てようとしている新ツアーへの「あらゆるゴルファー」の流出を阻止すべく、徹底姿勢を見せ始めた。

 昨日(5月10日=米国時間)、PGAツアー(米ツアー)とDPワールドツアー(欧州ツアー)は各々のツアーメンバーである選手たちから提出されていたノーマンの新ツアー「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」の初戦(6月9日~11日、ロンドン・センチュリオンGC)への出場許可申請をすべて却下した。

 言うまでもなくノーマンは「PGAツアーが取ったアクションは、プロゴルファーの戦う権利を否定するものだ。ゴルフファンに対しても、ゴルフ競技に対しても、間違った方向と言わざるを得ない。しかし、これで我々の動きが止まるわけではない。我々はこれからも前進し続ける」と怒声を上げている。

 しかし、動きを止めるどころか、即刻激化させたのは、むしろPGAツアーの方だった。

 5月11日、PGAツアーは、将来のPGAツアー選手を夢見る大学生ゴルファーたちを対象に組織している「PGAツアー・ユニバーシティ」の規定を一部変更することを発表した。

 これは、大学生ゴルファーがノーマンの新ツアーの大会へ出場する流れを阻止するための対抗策だ。

 「PGAツアー・ユニバーシティ」は、米国の大学生ゴルファーたちの強さをランキング化し、NCAAナショナル・チャンピオンシップ終了後の6月1日時点でトップ15に入った大学生ゴルファーに、PGAツアーの下部ツアー(コーンフェリー・ツアー)やPGAツアーのインターナショナル・ツアー(PGAツアー・カナダ、PGAツアー・ラテン・アメリカなど)への出場資格を付与するというシステムだ。

 今回発表された規定変更は「世界ランキングの対象ではない大会(PGAツアーが認めている大会を除く)に出場した大学生ゴルファーは、最終ランキングでトップ15に入ったとしても、その際に享受できるはずの権利や資格を失うことになる」というもの。

 端的に言えば、ノーマンの新ツアーに出場した大学生ゴルファーは、PGAツアーが設けているサポートシステムの対象外とし、授けるはずのものも授けないし、何のサポートもしないことを決定し、そう言い渡したのである。

 ノーマン側の発表によれば、ロンドンで開催される初戦には、世界のトップアマチュア5~6名に特別招待をオファーしているとのこと。特別招待をオファーされていなくても、自ら出場を希望し、エントリーした大学生ゴルファーも、それなりの人数がいるということなのだろう。

 ゴルフ界の未来を担う若い選手たちの間に、そうした動きや傾向が見られる以上は、それを食い止めることが肝要と考えたからこそ、PGAツアーは大学生ゴルファーに対する規定を大急ぎで変更したと考えられる。

 ノーマンの新ツアーへの出場は、PGAツアーの選手はもちろんのこと、その予備軍である大学生ゴルファーだって全力で阻止する。

 そんなPGAツアーの本気度が伝わってくる。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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