勇敢! その時、女性乗務員は”危険な出口前”に立ち塞がっていた =韓国アシアナ機非常口開放事件
26日に起きた「アシアナ航空着陸前非常ドア開放事件」で事故当時の新事実が明らかになった。
済州発大邱行きのOZ8124便で非常口の横に座った男性乗客(イ氏/33歳)が、着陸直前に突然ドアを開放。通常は上空350メートル以上だと気圧のために物理的に開かないが、213メートル地点だったため、185センチ120キロ級の巨漢の乗客はこれをこじ開けたという事件だ。
直後に機内には耳を突き刺すような爆音が轟き、突風が吹き込んだ。乗客194人は泣き叫び、そのうち12人以上が呼吸困難等で緊急搬送されたという事件だ。容疑者の33歳男性は「息苦しくて早く降りたかった」と供述している。本人は「長い失業状態にある」と口にしており、韓国メディアは「搭乗直前に失恋」の事実を報じている。
事件直後から韓国メディアでは乗客による様々な供述が飛び交っていた。そのうちのひとつ「ドア開放時から着陸まで、乗務員は混乱状態で何も出来なかった」という話。これが事実だったのか。韓国内で新たな話題になっている。
29日に大手経済紙「毎日経済」系のニュースメディア「MBN」がスクープとしてある写真を報じた。
着陸前に客室乗務員が、誰一人として非常グから落下しないように立ちふさがっている姿だ。
同メディアはアシアナ航空関係者による当時の状況証言をこう伝えている。
「非常口を開けた男性は着陸後にも引き続き暴れ、脱出しようとしていた危険な状態」
「乗客が落下しないように女性の乗務員が非常口前に立っていた」
この時、男性乗務員と援助要請に応じた男性乗客2人が大柄な容疑者を取り押さえようとしていたという。彼女の行動は「勇敢」というよりほかない。「MBN」は「普段から責任感の強いことで知られている職員」だという。
- MBNによるスクープ報道
じつは事故直後の26日には、乗務員たちの対応の未熟さが批判の対象になっていた。地上波「MBC」大邱支局のインタビューに答えた男性乗客が「混乱状態に陥って何も出来ていなかった」「シートベルトを締めて着席し、自暴自棄になった状態」と発言したのだ。
結果的にこれは「勘違い」だったか。別の男性乗客によるこういった証言もある。
「乗務員たちの対応は非常によかった。なかでも男性乗務員が暴れる容疑者を取り押さえる際のサポート要請を”アイコンタクト”でも行っていた。大声を出さずに容疑者を興奮させないためにはとてもよい対応だったと思う」
いずれにせよこの写真の公開により各メディアは「乗務員たちは何も出来なかったという点は否定された」という内容を伝えている。
いっぽう非常口を開放した男性イ氏(33)に対し、裁判所は「逃亡の可能性がある」と判断し速やかに逮捕令状を発行した。韓国航空保安法第23条に基づき、航空機内での出入口や脱出装置の操作を行った疑いによる。刑は最大で懲役10年以下となっている。
容疑者本人は移送される際にメディアの前に立ち、こう発言した。
「早く飛行機から降りたかった。子どもたち(非常口近くに座っていた全国少年体育大会に参加する済州道の中学生ら65人の選手団)に申し訳なない」
事件の余波は続いており、ショックを受けた済州道の選手たちの一部は帰路を船便に変更。またアシアナ航空側は一時非常口近くの座席を販売しない方針を決めた。