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「8月14日はコルベ神父がアウシュビッツで殺害された日」バーチャルツアーで独房も展示

佐藤仁学術研究員・著述家
コルベ神父(アウシュビッツ博物館提供)

身代わりの餓死刑から80年

第二次世界大戦時にナチスドイツが支配下の地域でユダヤ人を差別、迫害して約600万人のユダヤ人、ロマ、政治犯らを殺害した、いわゆるホロコースト。そのホロコーストの象徴的な存在の1つがアウシュビッツ絶滅収容所。アウシュビッツ絶滅収容所では欧州からのユダヤ人やロマ、政治犯ら110万人以上が殺害された。

アウシュビッツ絶滅収容所は現在でも世界中からの観光客や欧米、イスラエルの学生らが社会科見学で訪問しており、2019年には過去最高の230万人以上がアウシュビッツ絶滅収容所を訪問していたが、2020年は世界規模でのパンデミックの影響で、アウシュビッツ絶滅収容所博物館も一時閉鎖しており、昨年の訪問者数は52万人程度だった。それでも現在でもアウシュビッツ絶滅収容所は世界的な観光名所の1つである。

そして、アウシュビッツ博物館ではツイッターでも世界中に向けて、様々な情報発信を行っている。世界的に根強い反ユダヤ主義に対しても警鐘を鳴らすツイートも多い。

アウシュビッツ博物館のツイッターの特徴は、毎日、アウシュビッツ絶滅収容所で犠牲になった方々の誕生日に、彼らの写真とともに生まれた場所、いつ殺害されたかを投稿している。またアウシュビッツ絶滅収容所で殺害された大きな事件やメモリアルな日も投稿している。110万人以上が殺害されたアウシュビッツ絶滅収容所なので、毎日誰かしらの誕生日か、何かしら事件があった日である。

「アウシュビッツの聖者」として映画やドラマも多数

そして1941年8月14日は、コルベ神父がアウシュビッツ絶滅収容所で殺害された日である。カトリックでユダヤ人ではないコルベ神父はナチスの思想に反するということでアウシュビッツ絶滅収容所で強制労働に従事させられていた。1941年7月29日に、脱走した囚人の見せしめのために選ばれた囚人が処刑されそうになったところ、自分が身代わりになるといって死刑を志願。選ばれた囚人の代わりに独房で餓死刑にされ、最後はフェノールを注射して殺害された。

コルベ神父はカトリックでユダヤ人ではないことからも、コルベ神父の偉業は日本だけでなく世界中でも語り継がれている。「アウシュビッツの聖者」とも呼ばれており、いくつかの映画やドラマにもなっている。日本の長崎にもカトリックの宣教に来ていたことから日本でもコルベ神父は有名である。

またアウシュビッツ博物館では最近ではオンラインやバーチャルでの展示にも注力している。バーチャルパノラマツアーでは、コルベ神父が餓死させれられるために収容された独房も展示されている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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