試合終了。ファイナルスコアは「1725 対 1697」! アメリカで行われたこの試合は何のスポーツ?
今日(現地時間)はアメリカの独立記念日(インディペンデンス デー)。
日本のメディアでは、トランプ大統領の話題が数多く報じられていますが、アメリカ(を拠点とした北米)のスポーツの話題をチェックしているという方も多いのでは?
そんなスポーツファンの方に、質問です!
独立記念日を前に、ニューヨーク州で行われた試合が昨日終了し、ファイナルスコアは、このような結果となりました。
「1725 対 1697」!!
絶句してしまいそうなほど、壮絶な点の取り合いになったようですが、一体何のスポーツの試合だったのでしょう?
▼ケタ違いの得点
正解は「アイスホッケーの試合」です!
と言っても、さすがに信じていただけないかも?
確かに、100年間続いたNHLの記録を紐解いても、1試合の最多得点は、モントリオール カナディアンズの「16点」(1920年3月3日 vs ケベック ブルドックス戦)
身近なところでは、日本のトップチームが加盟しているアジアリーグであっても、日本製紙クレインズの「24点」(2005年11月3日 vs チチハル戦)というように、両チームが1000得点以上を記録するなんて、文字どおり “ケタ違いの得点” だと言えます。
▼11日間続いたアイスホッケーの試合
しかし、ケタ違い(それも2ケタも違う!)な得点が記録されたのには、理由があります。
その理由とは、「11日間続いたアイスホッケーの試合」だったのです!
「11Day Power Play」と銘打たれた試合は、ナイアガラの滝に程近く、NHLのセイバースのホームタウンであるニューヨーク州・バッファローで開催。
40人の選手がチームホワイトとチームブルーに分かれて、先月22日の午後9時にフェイスオフ(=試合開始)!
その中には、NHLのモントリオール カナディアンズなどでプレーしたキャリアを誇るレス・クンタルの姿も見られました。
▼元NHL選手も出場した理由は?
スタープレーヤーだったとは言えないものの、元NHL選手まで駆けつけて出場した理由は、「ガン撲滅のためのチャリティ活動」です。
この試合を企画した環境エンジニアの マイク・レサコウスキ は、妻と母親が癌を患い、そのうち母は帰らぬ人になってしまった自らの体験から、最先端のガン治療の必要性を痛感。
バッファローにあるガン治療の研究所への寄付金を集めるために、アイスホッケーのチャリティゲームを企画しました。
それが、「11日間ぶっ続けの試合」でした。
▼ギネス記録を塗り替えろ!
バッファローでの試合に先駆け、カナダのエドモントンで、一昨年の2月に、足掛け11日間にわたる「250時間3分20秒」のロングゲームが繰り広げられ、ギネスワールドレコードに認定されました。
そこでレサコウスキは、この記録を塗り替える試合を戦って、ガン治療のため寄付金を集めようと考えたのです。
そうは言っても、11日もの間、ずっとアイスホッケーをプレーするのは、さすがに困難なため、アイスホッケーの試合に必要なプレーヤー(FW&DF)5人とGK(試合に出場する選手と控え)2人の合計7人ずつのグループを3つ構成。(20人しかいないため、掛け持ちする選手も)
4時間ずつプレーしたあと、次のグループと交代するというローテーション制を基本に、試合がスタート。
▼NHLよりもタフな試合
1時間ごとに整氷のための時間(10分間)が設けられていましたが、プレーヤーは交代要員がいないため、整氷が始まるまでの50分間休みなし。プレー中のアクシデントで負傷者が出てしまった時は、ローテーションで「休み」の時間だったグループから、代わりの選手が駆り出されることから、安心して休息をとる時間もままなりません。
そのため、どの選手も試合が続いていた間は自宅へ帰らず、ずっとアイスリンクに泊まり込み。
このような状況で試合が続くにつれ、当然のように負傷者が増えていきました。
しかし、ギネス記録に申請する前提で決めたルールの中に、最初に登録した40人の選手だけで戦い続けると定めたため、追加の選手登録ができず、パック(=野球やサッカーのボールに相当=硬質ゴム製)が顔にあたって鼻骨を折りながら、プレーを続行した選手も!
この試合を企画したレサコウスキも、試合中に足を痛めてしまい、毎晩深夜2時に起きて、氷を入れたバケツに足を入れて痛みを和らげたというほど。
負傷者が出れば、下部リーグのアフィリエイトチームから選手を呼び寄せることができるNHLよりも「タフな試合」だと言っても、過言ではなかったようです。
▼ついに新記録達成!
過酷な11日間を戦い続け、ついに40人の男たちが、新記録を達成する瞬間が訪れました!
前述のエドモントンで達成された記録を上回り、「250時間3分21秒」という新記録を達成 !!
追って試合のビデオや記録など送付して、ギネス世界記録の申請もする予定です。
▼11日間ぶっ続けの試合直後に・・・
さらに、彼らが上回ったのは試合時間だけでなく、ガン治療の研究所への寄付金の額。
想定していた100万USドル上回って、「120万USドル(およそ1億3600万円)」も集まり、大成功に終わったとのこと。
その知らせを聞いたレサコウスキは、足を痛めて満足な睡眠時間が、とれなかったにもかかわらず、試合直後のインタビューに応じて、こう話していたそうです。
「また新たな記録を作るために、新たなマラソンゲームを考えているよ」
新たな記録の前に、ひとまず独立記念日の祝日くらいは、ゆっくり休んで欲しいですね。
<追記>
現地メディアの報道に異なるファイナルスコアの表記がありました。主催者に確認の上、正しい得点に改めました。