ガソリン価格は3週連続の低下も、年末にかけては上昇か?
資源エネルギー庁が11月13日に発表した石油製品価格調査によると、11月11日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比-0.5円の158.6円となった。
3週連続の値下がりとなっており、7月22日の週以来の安値を更新している。基本的には160円の節目を挟んでの不安定な値動きが続いているが、今年の年間高値161.40円(9月9日)をピークに、若干の値下がり傾向が見受けられる。
都道府県別では、値上がりが1県、横ばいが2県、値下がりが44都道府県となっている。ちなみに値上がりしたのは鳥取県である。
■中東産原油価格は10月安値を下回る
ガソリン価格が値下がりしている原動力は、輸入原油価格が11月入りしてから急落したことである。要するに、原油調達コストの低下分が、ガソリン価格に反映されたのだ。
米国のWTI原油相場の方は9月からほぼ一本調子で急落していたが、中東産原油価格の大きな値崩れは回避されていた。これが、WTI原油先物相場の急落にもかかわらず、日本の石油製品価格が高止まりしていた原因だった。しかし、ここにきて中東産や欧州産原油に対しても値下がり圧力が強くなっていることで、漸く国内ガソリン価格も値下がりが許容できる環境になっている。
ドバイ産原油の場合だと、10月は1バレル=104.25~108.25ドルで取引されていたのが、11月11日時点だと103.55ドルまで値下がりしている。WTI原油価格の急落で精製マージンが拡大した米系製油所が石油製品輸出を拡大する中、世界的に製油所向け原油需要がやや抑制された状況になっている。
もっとも、WTI原油価格の急落は米国内製油所のメンテナンスという季節要因を反映したものである。このため、今後は暖房油の増産体制に移行することで、WTI原油が期近限月から値崩れを起こした状態は解消に向かい、国際原油価格はボトム形成に向かうだろう。
このままガソリン小売価格が大きく値下がりする可能性は低いと考えている。年末に向けて160円台を回復しても何ら違和感の無い状況にあり、年間高値圏での推移が続くことになるだろう。寧ろ、現在の値位置からは値上がりリスクの方が高いと考えている。
■灯油の買い付けは早めに
一方、灯油店頭価格は1リットル=101.8円となり、3週連続で横ばいとなった。前年同期を12.3%上回っているものの、足元では特筆すべきような動きは見られない。
今統計が集計された11日時点ではまだ寒波は本格化しておらず、特に季節要因を反映したような動きは見られなかった。ただ、灯油出荷量は徐々に上向いており、業者転売価格は若干の値上がり傾向にある。原油調達コスト低下でガソリン価格は値下がりしたが、灯油価格は需給要因から下げ渋っている。
今週に入ってから、北海道や東北地方で降雪の報告が増えていることを考慮すれば、月末に向けては需要サイドから需給引き締め圧力が強くなるだろう。少なくとも、年内はじり高傾向が続く可能性が高く、灯油の買い付けは少し早めに済ませておいた方が良いと考えている。気象庁の予測通りにこれから冬型の寒波が本格化すれば、改めて年間高値を更新する可能性が高い。