キーボード世代からタッチパネル世代へ? 漸減する子供達のパソコン使用率
パソコンを使っていない小中高校生は5人に1人
最近では主力がデスクトップからノートに移りつつあるものの、パソコンがインターネットへのアクセスツールとして欠かせない存在であることに違いはない。それではパソコンの子供達への浸透度はどれほどのものなのだろうか。内閣府が2014年3月末に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」の結果を基に、現状などを確認していくことにする。
次に示すのはPC(パソコン)を使っているか否か、使っている場合はどのような場面でなのかについて、小中高校生に尋ねた結果。自宅にパソコンがあり、そのパソコンを家族共有のものとして使用している事例が一番多く、全体の6割強を占めた。
次いで多いのは「学校に置かれているパソコンを使っている」で3割近く。いずれも「自分の所有物では無いパソコンを使う」事例。その次にようやく「自分専用のパソコンを使っている」があるが、これはわずかに6.7%。小中高校生の時分では、自分自身のパソコンを持つのは難しいようだ。
一方で、所有権の有無や場所を問わず、パソコンを一切使っていない子供も20.3%いる。5人に1人は「パソコンとは無縁(使っていない)」という計算になる。
経年変化で減る子供のパソコン利用率。なぜ?!
上記グラフの結果の限りでは、子供達において明らかにパソコンの「家族共有」、そして「学校利用」が減り、「使っていない」が増えつつある。一方、同調査では年々子供の携帯電話保有率は上昇する傾向も確認できる。しかも一般携帯電話から、より高機能でインターネットへのアクセスもたやすいスマートフォンを所有する率が上昇を示している。
場所を問わず、パソコンを使っているか否かを聞いても、どの学校種類でもパソコンの利用率は減退傾向にある。中でもスマートフォンの利用率が急速に上昇している、高校生の減少具合が著しい。
今件データからのみでは因果関係までは説明できないものの、携帯電話、特にインターネットへのアクセスという観点ではパソコンに近い働きが期待できるスマートフォンの利用浸透に伴い、パソコンとは疎遠になりつつあると考えれば道理は通る。スマートフォンの普及状況とパソコンの利用減退傾向のタイミングはほぼ一致しており、連動性という点でも納得はいく。
さらに子供の立場で考えれば、多分に保護者などから監視されうるパソコンよりも、自分の手元で操作を完結できるスマートフォンの方が、インターネットへのアクセスツールという観点でも「色々と」使いやすいのは言うまでもない。
昨今では大学生において、パソコンが使えない、キーボードの利用経験がほとんどない生徒が少なからず見受けられるとの話を耳にするようになった。スマートフォンの普及、幼少時からの利用は同時に、少なくとも子供時代におけるパソコンの必要性を減らし、その結果としてパソコンやキーボードへの経験が浅い大学生や社会人が登場する事例が増えつつあるのかもしれない。
あるいはこれらの人たちを「タッチパネル世代」とでも呼ぶようになるのだろうか。
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