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「強盗に入ったらゲイの家で犯人は5日間監禁されレイプされた」はデマ。2016年のフェイクニュース

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
拡散している投稿。Twitterより筆者キャプチャ

 4月19日にTwitterで投稿された「強盗に入った家の家主がゲイのレイプ魔で、押し入った方が返り討ちに遭い5日間に渡り監禁され掘られ続けた」とのツイートが3,500件以上もRTされ拡散していますが、デマです。

元々はイギリスのタブロイド紙の記事

 この記事自体はイギリスのタブロイド紙『Sunday Sport』に掲載されたもので、2016年10月に海外のバイラルメディアが面白がって取り上げたことから拡散しました。

2016年に『Sunday Sport』に掲載されたという記事。『Snopes』より転載。
2016年に『Sunday Sport』に掲載されたという記事。『Snopes』より転載。

 ニュースは「2人の強盗ガーフィールド・モーガンとキム・ゴートンがフロリダに住む男性ハリー・ハリントンの家に押し入ったものの、ハリーは数多くの性的暴行の罪で刑務所に服役したこともある人物で、2人の強盗は逆に監禁され5日間レイプされた」というものです。

 ただ、このニュースは同月7日にフェイクニュース検証サイト『Snopes』にて「デマ」だと否定されています。

被害者とされる男性の写真は2009年から存在

 まず、ハリー・ハリントンという名前の被害者の男性の写真は、2009年からインターネットで確認されています。

 と言っても6年前の情報のためか『Snopes』のリンク先は404 not found(ページが存在しない状態)になっており、現在は確認できません。

 そこでほかに記録がないか探してみたところ、タイのニュースサイト『We go inter』に2009年掲載の情報がわかるキャプチャが残されていたため、そちらを紹介します。

『We go inter』に掲載されていたキャプチャ。『We go inter』より
『We go inter』に掲載されていたキャプチャ。『We go inter』より

 こちらを見れば2009年には写真共有サイト『flickr』に投稿されていた写真であるとわかります。

 また、ギリシャのフェイクニュース検証サイト『ELLINIKA HOAXES』によると、記事の写真はよりワイルドに見えるように毛深く加工されているとのことです。

2人の犯人のうち1人は別人の逮捕写真

 もうひとつ、これが決定的と言えるのですが、被害者の家に押し入った強盗とされる2名の犯人ガーフィールド・モーガンとキム・ゴートンのうち、1人は別の事件で逮捕された人の顔写真が流用されています。

犯人のうち左側の顔写真はこの人物のもの。FDLE Sexual Offenders Searchより筆者キャプチャ。
犯人のうち左側の顔写真はこの人物のもの。FDLE Sexual Offenders Searchより筆者キャプチャ。

 顔写真は2004年にアメリカで未成年淫行の罪で逮捕されたマイケル・パトリック・ケリーなる人物のものであり、犯人とされる人物とは名前が異なります。

 上記2つの理由により、このニュースはデマであると結論付けられています。デマを拡散しないようにしてください。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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