知事が保守の慶尚南道が元慰安婦記録物を道指定の記録物に指定 道議会議員64人中60人が保守系与党!
日韓両国は元徴用工と元慰安婦の二つの「過去史問題」を抱えて、その対処に苦慮しているが、元徴用工問題は尹錫悦(ユン・ソクヨル)保守政権が誕生したのを機に解決に向けて始動したが、元慰安婦問題は依然、膠着状態に陥ったままだ。
待てど暮らせど動かないことに業を煮やした元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんはこの問題を国連拷問防止委員会(CAT)で取り上げてもらいたいと尹政権を突き上げているが、そうした最中、慶尚南道の記録院が昨日、元慰安婦関連記録物を道の記録物に指定した。
指定記録物は民間が保存している記録物のうち慶尚道と関連したもので永久に保存する価値があると認定されれば、知事がそれを指定し、保存、管理し、支援する記録物を指す。
今回、指定された記録物は「日本軍の慰安婦お婆さんらとの同龍渓市民会議」と「南海女性会」の二つの市民団体が所蔵していたもので、その数は3万7485点にも上る。元慰安婦の口述記録と登録関連資料、それに遺品と写真及び元慰安婦の心理療法作品、さらに日本政府に真相究明と公式謝罪及び法的賠償などを求めた活動関連が該当記録物に含まれている。
元慰安婦関連のモニュメントが全国自治体の中で記念物に指定されたのは慶尚南道が初めてのケースである。
慶尚南道の朴完洙(パク・ワンス)知事は2022年4月まで与党「国民の力」に所属していた議員である。今年3月の大統領選挙では尹錫悦大統領を当選させるため共同選挙対策委員長として奔走したことで知られる。知事選では野党のライバル候補に36.2%ポイントの差を付けて初当選を果たしたが、知事同様に道議会議員も64人のうち60人までが与党「国民の力」所属議員である。
保守であっても、例え日本との関係に前向きであっても朴知事及び道議会が「過去史」問題をスルーできないのは慶尚南道が最も多くの元慰安婦を抱えていたこと、また支援団体の運動が最も活発に行われた地域であるからで、その象徴がまさに2015年の慰安婦合意に反発し、この年の12月に釜山の日本総領事館前に元慰安婦を象徴する少女像を設置したことにある。
慶尚南道の慰安婦支援団体などはユネスコ(国連教育科学文化機関)の「世界の記憶」(旧・記憶遺産)への登録を目指しているが、文在寅政権下の2017年に申請した時は「世界の記憶」を審査する国際諮問委員会が登録の判断を保留していた。
韓国の外交部は文前政権下では「慰安婦問題を歴史の教訓として未来世代に伝えるため努力を続けるのが政府の一貫した立場だ」として民間団体の申請を支持していたが、尹政権はどう対応するのだろうか?
尹大統領は大統領選期間中の昨年9月、大邱(慶尚北道)市内にある「慰安婦記念館」で李容洙さんに会った時、「大統領になれば、私は必ず日本から謝罪を取り付ける。お婆さんらの心の傷を必ず癒すようにする」と指切りして約束していたが、その約束を果たすことができるのだろうか?
元徴用工問題と同様に元慰安婦問題への尹政権の対応が注目されてならない。