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神奈川県川崎市、「自転車スマホ」で衝突し77歳女性死亡「ぶつかるまで気付かなかった」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:アフロ)

 神奈川県川崎市で、電動式自転車に乗りながらスマホ操作をしていた20歳の女子大生が、歩行中の77歳の女性と衝突、歩行者が死亡するという事故が起こった。いわゆる「自転車スマホ」だ。しかもイヤホンをしながら、左手にスマホで、右手には飲料カップを持っていたようだ。以下に時事ドットコムから引用しておく。

スマホ自転車で女性死亡=女子大生を書類送検へ-神奈川県警

スマートフォンを見ながら電動自転車を運転し、女性に衝突して死亡させたとして、神奈川県警麻生署が、重過失致死容疑で川崎市麻生区の大学2年の女子学生(20)を年内にも書類送検する方針を固めたことが14日、分かった。

同署によると、事故は7日午後3時15分ごろ、同区上麻生で発生。遊歩道から車道へ出ようとした女子学生が、前を横切った無職の女性(77)に衝突。女性は転倒して頭蓋骨を骨折し、2日後に死亡した。

 

事故当時、学生は左手にスマホ、ハンドルに添えた右手に飲料カップを持ち、左耳にイヤホンをしていた。「スマホをいじっていた」と話したという。同署は前方不注意が原因とみている。発進直後だったが、電動式で初速が高く、勢いよく衝突したことが死亡の要因になったとみられるという。

出典:時事ドットコム(2017年12月14日)

自転車スマホは危険、加害者になる

 「歩きスマホ」も問題になっているが、自転車運転中のスマホ操作「自転車スマホ」も非常に危険である。「自転車スマホ」をしている人も「歩きスマホ」と同様に、自転車を運転しながらも、気持ちはスマホの中のメールやSNS、ゲームまたはイヤホンの音楽にいっている。そして「自分だけは大丈夫。周囲がちゃんと見えているから問題ない」と自己中心的な思考に陥っていることが多いが、そのようなことは絶対にない。

 今回の事故でも、女子大学生は「ぶつかるまで気付かなかった」と話しているということだ。まさに「自分では大丈夫」と思い込んでいても、気持ちはスマホの中にあるので、全く周囲が見えていないのだ。

 自分自身が事故に遇うだけでなく、今回のように相手に大怪我をさせてしまったり死亡させてからでは遅い。「自転車スマホ」は他人の命を危険にさらしてまで、やるようなことではない。

自転車でのイヤホンも危険:聴覚でも周囲の危険察知

 しかも今回の事故はイヤホンをしながら、左手にスマホで、右手には飲料カップを持っていたようだ。両手離しで、耳まで塞がっているようでは危険を察知してからの即座の反応が出来ない。スマホを見ているだけでも危険なのだが、イヤホンはもっと危険である。

 自転車に乗っている人でイヤホンをしている人が多いが、目(視覚)だけなく、耳(聴覚)も人間にとっては周囲の危険を察知するのに、非常に重要な役割を果たしている。最近はスマホで動画を見ながら、イヤホンで音声を聞きながら自転車に乗っている人も多いようだ。もはや恐ろしくて近寄りたくない。

 そして「自転車スマホ」やイヤホンをして自転車に乗っている人は、車を運転している人から見ても、物凄く危険な存在だ。「目の前にいる『自転車スマホ』をしている人は、自分が運転している車の存在にちゃんと気づいているのだろうか」と、緊張感が高まる。なぜなら、自動車の存在に気が付いてないと、"自動車が突然、目の前に飛び出してきて"、大惨事の事故に繋がるかもしれないからだ。

危険な自転車の「ながら運転」通話、スマホ、イヤホン(内閣府)
危険な自転車の「ながら運転」通話、スマホ、イヤホン(内閣府)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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