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子育ては「発達課題」をクリアできるかがカギ!?

ピッグママチャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー
Photo:Pixabay

子育てに正解はないですが、子どもを育てる上で何を意識しているでしょうか。

子育ての「ゴール」と言えば、『子どもの自立』ですよね。

「ゴール」を意識すれば、そこに向かって目標も立てやすいかと思います。

今回は、「子どもの発達課題」についてご紹介したいと思います。

人間の成長による心の変化を心理学者の理論を元に、詳しく解説していきます。

発達理論を理解し、これまでの自分の人生を振り返ることで、自分への理解を深め、これからの人生の道筋を示してくれるかもしれませんよ。

発達理論ってなに?

Photo:pixabay
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人間の心の発達について、心理学者によって様々な理論があります。

なぜ様々な理論が生まれたかというと、それぞれ心に対する捉えかたが違うので、心の発達についても違う見解が出てきたためです。

例えば、スイスの心理学者であるジャン・ピアジェは子どもの発達を「認知を獲得する過程」とみなしました。

認知とは、五感で感じた現象の理解、問題解決のための考えかたのことです。

オーストリアの心理学者で精神科医であったジークムント・フロイトは、心のエネルギーである「リビドー」(性的衝動)によって、心の働きを説明しました。

同じくオーストリアの精神科医であり、児童心理学者のマーガレット・マーラーは、発達を「子どもの独立」という観点から考えました。

イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィは、発達を「愛着行動」という観点から考えました。

愛着行動とは、親の養育行動を誘うような行動(微笑む、泣く、しがみつく等)を表し、それが発達の過程で変化していくという考えです。

アメリカの発達心理学者であるエリック・エリクソンは、人の発達が一生続くという「生涯発達」を唱えました。

人生には8つの発達段階があり、乗り越えるべき「危機」と「課題」が繰り返し発生するという視点をもっています。

乳幼児期の課題

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乳幼児期の発達課題として重要なのは、「好奇心の制限」「仲間との遊び」「愛着関係の形成」の3つといわれています。

「好奇心の制限」とは、子どもに道徳的な心を育てることです。

親は規範を逸脱しない範囲で、子どもの好奇心を健全に伸ばしていけるように関わり、「やっていいこと・そうでないこと」の区別(良心)がつくように関わっていくことが求められます。

そして、子どもは遊びを通して様々な生活能力を習得していくため、仲間との遊びが大切な学習機会になります。

社会学者であるミルドレッド・パーテンは、子どもの遊びの発達について、1人遊び(2〜2歳半)→並行遊び(〜3歳半)→連合遊び(〜4歳半)→協同(共同)遊び(4歳半以降)と遊びの形態が変化していくと述べています。

子どもは、おままごとなどで様々な役割を演じることを通じて、意識が次第に社会へと広がっていきます。

相手の立場になることで自己中心性からの脱却を図り、社会集団に適応する力を身につけるのに役立ちます。

最後に、「愛着関係の形成」とは、親と安定した愛着関係を築くことです。

乳幼児期に子どもが親から離れても、安心して遊べるようになったり、純粋で自由な質問ができるようにするためには、親と子どもとのあいだに安定した愛着関係が形成されていることが必要不可欠です。

エリクソンは、この時期に「基本的信頼感」を習得することが重要だと述べています。

この信頼感を育てるには、親が子どもの質問に耳を傾け、心の通ったコミュニケーションをすることが必要でしょう。

学童期の課題

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学童期は「劣等感との戦い」が重要な発達課題です。

この時期は学校という少し大きな社会で、友人関係を築きながら懸命に課題に取り組む時期です。

友達と自分を比較したり、ときには意見をぶつけ合いながら、社会に適応する術を模索していきます。

私たち大人は、子どもの自己確立に大きな影響を与える時期に、劣等感を抱かせないよう言動には十分に配慮しなければなりません。

青少年期の課題

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青少年期の発達課題は「自分を1人の人間として意識すること」です。

この時期は「これから自分はどんな人生を歩めば良いのか」「自分には何ができるのか」といった疑問を抱え、試行錯誤しながら答えを見つけなければなりません。

精神的に非常に不安定な時期なので、周りの環境に振り回され、感情の起伏も激しくなりがちです。

私たち親は、この時期の不安や苦しみを受け止める姿勢が重要です。

さいごに

子ども時代は、発達課題を達成しながら、社会生活に柔軟に溶け込む大切な時期です。

したがって、安定した居場所を見つけるための環境作りが重要と考えられています。

子どもの発達課題は、大人の問題を考えるときのヒントにもなります。

子育てのしかたや、子どもとの関わりかたに迷った際に、参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考文献:

『よくわかる発達心理学』著:無藤隆、大坪治彦、岡本祐子、ミネルヴァ書房(2009年)

『絵と図でよくわかる心理学』ニュートン編集部編著、株式会社ニュートンプレス(2023年)

チャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー

一児の母として、コーチングや心理学を子育てに応用する方法などを発信しています。年間180本ほど見る映画ファン。

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